中嶋繁雄著「日本の大名家はいま」1995年11月、学習研究社発行、を読んだ。
いつも図書館のHPから人気の本や、新刊を予約して読んでいる。先日図書館に本を返しに行ったついでに、古めかしい本が並ぶ架をさまよい、小説のところはパスして、伝記、新書をあさった。ワイドショー的興味から選んだのがこの本「日本の大名家はいま」だ。といっても、狙いははずれていたし、またそれほどの本ではなかった。
公卿・大名は明治2年の版籍奉還で華族となり、17年に華族・維新の功臣・官僚・軍人・僧侶・神官らに公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の爵位が授与されて、総称して華族となった。そして、昭和22年の新憲法発布により消滅した。
18の大名家と華族のこの激動期の変遷、話題の人について記述するとともに、そもそもの大名家興隆の事情を述べている。また、現在、といっても20年程前、の現当主に触れている。
昭和初期、軍部が戦争に傾斜していく時代、多くの華族の子弟が左翼に走っていって、悲劇の結末を迎えた。
大名家の系譜を見ていると、あらためて互いに複雑に、密接に縁戚関係にあることがわかる。
近衛文麿は華族の星として45歳の若さで首相となるが、東条英機内閣に代わり、太平洋戦争に突入する。このとき、近衛を支えたのが、細川護貞で、やがて、その子細川護熙が日本新党を結成して首相となる。これは記憶に新しいのだが、はや16年前のこととなった。
もう亡くなったが、女優の河内桃子は、豊橋7万石の大河内家の人で、ご主人は今治3万5千石の現当主、TVプロデューサー久松定隆氏だった。
昭和5年、前田家は敷地1万3千坪、建物9百坪の豪邸を駒場に建てた。家族6人に使用人が130名いたという。「一時連合軍の公邸となり、東京都近代文学博物館に変わった。」と本書にあり、私もそう思っていたが、調べてみると、現在、閉館し、土日祝日のみ見学できる旧前田邸洋館として公開されている。
中嶋繁雄は、1929年福井市生まれ。福井新聞記者から、『歴史読本』創刊スタッフ、2代目編集長。著書に、『諸藩騒動記』『日本の名門200』など。
私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば)
とくにこの関係に興味のある人以外、読むほどのものではない。18の家系について触れているので、総花的になっている。元新聞記者だけあって、簡潔にポイントはまとまっているのだが。