hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

宮下奈都『メロディー・フェア』を読む

2013年04月07日 | 読書2
宮下奈都著『メロディー・フェア』(2011年1月ポプラ社発行)を読んだ。

結乃は、大学を卒業し実家に戻り、ひとをきれいにする仕事、化粧品カウンターで働く道を選んだ。
職場で敏腕との噂の先輩の馬場さんは、とくに御愛想も言わずさっぱりした対応なのに、お客さんがとても多い。一方、できる限りの愛想を振りまく結乃にはお客さんは来ない。
家では口紅が好きの結乃に対し、化粧嫌いの妹との間には溝がある。

そんなある日、世間話しかせず買物しない浜崎さんが真剣な顔で化粧品カウンターを訪れて・・・。
また、鉄仮面のようなメイクの女性は、幼なじみのミズキだった。

メイクを通して自分と向き合い、成長してゆく女性たちの物語。

初出:「astra」2009年10月号~2010年8月号



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

なにしろ、最初から最後までメイクの話だ。男性には、少なくとも昔の男性が読み通すのはキツイ。「ビューティーパートナー」というわざとらしい名前にも馴染めない。

接客業をしていて、人間嫌いになりそうな女性たちにとっては、真っ直ぐなヒロインの「様々な個性を持つ人々と接するのは素敵な仕事なのだ」という考えは癒しなのかもしれない。

若い女性の日常がしっかり書けているのだが、登場する脇役の女性たち(馬場さん、ミズキ、妹や母)についてはさらりと書きすぎていて、物足りない。それが著者の持ち味とも感じられるのだが。

幼いときには、勉強も運動も出来て元気だったミズキが、やがて、女の子は可愛い事が一番の尺度になり、10歳で失恋し、鉄仮面の化粧になるという話も、少々極端で説得力が不足する。



宮下奈都(みやした・なつ)
1967年福井県生れ。 上智大学文学部哲学科卒。
2004年、「静かな雨」が文學界新人賞佳作に入選、デビュー。
2007年『スコーレNo.4』がメディアで絶賛され、ヒット。
その他、『遠くの声に耳を澄ませて』『よろこびの歌』『太陽のパスタ、豆のスープ』『田舎の紳士服店のモデルの妻』『 誰かが足りない』、本書『メロディ・フェア』。
参考「作家の読書道



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