林真理子著『RURIKO』(2008年角川書店発行)を読んだ。
浅丘ルリ子を中心に、石原裕次郎、小林旭、美空ひばりなどが実名で登場する小説。
浅丘ルリ子、本名浅井信子が4歳の時、「すごい美人になりますよ。きっと女優にしてください」と、満州映画協会理事長の甘粕正彦が父にそう語った。甘粕とは、大杉栄、伊藤野枝、幼子を惨殺した男だ。
バンコックで終戦となって、日本に戻った信子は、画家の中原淳一に見いだされ、「浅丘ルリ子」としてデビューした。昭和30年代、石原裕次郎、小林旭、美空ひばりなどがすでに大スターになっていた。
ルリ子は、調布撮影所で石原裕次郎と出会い16歳で初恋を知る。看板女優として睡眠時間3、4時間という中での小林旭とのデート、美空ひばりとの深夜の電話。(具体的場面はすべて林さんの創作だという)
やがて、映画は斜陽となり、TVの時代となる。そこで、ルリ子の前に石坂浩二が現れる。
林さんの質問にルリ子が言った。「そういえば男の人とのおつきあいは途切れたことはないけど、この次の人は誰だったのか忘れちゃった……思い出すわね」
初出:「野生時代」2006年12月号~2008年2月号
巻末には、「本書は取材に基づいて、実在の人物をモデルに書かれたフィクションです。」とある。
私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)
暇つぶしで読むには「いいんじゃない」。
ルリ子さんと時代を共有する人が、ワイドショー的興味で読むには良いが、だいたい知った話が多い。だれもが知っている大物芸能人が実名で登場し、イメージ通りの動きをするので、読みやすく、下世話におもしろい。
山口組三代目の田岡が、小林旭に美空ひばりとの結婚や、離婚を迫るなんて話もはっきり書いてある。
林さんらしい筆使いは感じられず、表面的事実の羅列で、小説としては物足りない。
林真理子の略歴と既読本リスト