hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

正木香子『本を読む人のための書体入門』を読む

2014年05月10日 | 読書2

正木香子著『本を読む人のための書体入門』(星海社新書2013年12月発行)を読んだ。

宣伝文句は、
文字の味わい方がわかれば、本の読み方も変わる。
この本は「書体」の入門書ですが、デザイナーなどの専門家がノウハウを学ぶためのものではありません。読書好きの「ふつうの人」が、文字の味わいを知り、自らの感受性を育むことで、本を読むことがもっともっと好きになるための一冊です。・・・

夏目漱石の「吾輩は猫である」の冒頭の1ページが、明朝体、ゴシック体、行書体、ファンシー書体で現れる。(確かに、同じ文章なのに書体によりなんだか印象が違う)

「淡古印」(たんこいん、マンガのホラー書体)、「大髭書体」(TVなどに登場)、「ボカッシイ」など見たことない書体、いや見たことあっても気にしていないので意識していなかった書体が並ぶ。


私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

字体そのものでなく、字体の印象に特化した特徴ある本で、かつ、読みやすく、興味を引くのだが、内容が整理されていなくて、体系的でなく、バラバラな印象だ。
書体に対する著者の思い入れだけが先走っている。もう少し、距離を置いて眺めてから書けばよいのにと思う箇所が多い。

かっては「読書」と言えばイコール「音読」であり、人間は長いあいだ、本にかかれた言葉を声に出して読んできました。・・・日本人の中でようやく「黙読」が主流になったのは明治時代以降のこと。・・・私たちが文字を「なぞって」いるからです。手でなぞる代わりに、目をつかってなぞっている。(そのことで私たちは書体の影響を受けることになる)
そういえば、私は本を早く読むために黙読というか、一字一字でなく、文字のかたまりを見て、次に進んでいる。流し読みの一種なのだろう。それでも字体の違いによる文の印象は大きく異なる。

手紙を崩して続け字で書く場合、一文字の長さは字ごとに違う。例えば「し」は長くなる。これが活字になると、一文字の大きさはどの文字も一定となる。英文のワードだと、次の行へ移るときに単語が途中で途切れないように、単語間・字間の長さを調節したりしているが、日本語はどこで切っても良いので、一枠に一文字だ(と思う)。
文字入力も、かな入力なら音読しながら入力できるが、ローマ字入力では難しい。
著者が指摘するように、これらの文字の表記方法、入力方法によって、たしかに文体が影響受けることはあるのだろう。


正木香子(まさき・きょうこ)
1981年神奈川県生まれ、福岡県育ち。文筆家
早稲田大学第一文学部卒業。幼いころから活字や写植の文字に魅せられる。
2011年にウェブサイト「文字の食卓――世界にひとつだけの書体見本帳」を開設。
「書体の滋味豊かな味わい」をテーマに連載した文字と言葉をめぐる読書エッセイが、今までにない読者目線の書体批評として話題となり、「文字の食卓展」を開催する。著書に『文字の食卓』(本の雑誌社より書籍化)。



こんな団体、つい最近まで財団法人だったという、があったとは!
「カナモジカイ」
http://www9.ocn.ne.jp/~kanamozi/
日本語の 表記に 漢字を もちいる ことの 不合理性を アキラカにし、漢字廃止論・カナ文字専用論を となえ、日常生活では もっぱら カナ文字を もちいる 時代を つくる ことを 目的と して います。
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