香山リカ『ノンママという生き方 ~子のない女はダメですか?~』(2016年7月5日幻冬舎発行)を読んだ。
宣伝文句は以下。
ときどき悔やむ。ときどき寂しい。 でも大丈夫。これが私の選んだ道。私の幸せのかたち。 さまざまな理由で、生涯子どもを持たない・持てない女性が全女性の3割とも言われています。 「女は子どもを産み育てて一人前」「女の本当の幸せは子どもを持つこと」という伝統的価値観はまだまだ強く、さらに最近は、少子化対策が国をあげての課題となり、子育ても仕事も頑張る「ワーキングマザー」が礼賛されます。 そんななか、子どもを持たない人生を選んだ「ノンママ」は、何を思い、どんなふうに生きているのでしょうか? 子どもを持たなかったそれぞれの事情、悩みと葛藤、後輩ワーキングマザーとの軋轢、介護と自分の老後の不安等々。「ノンママ」のリアルな胸のうちを、自身もノンママである精神科医の香山リカ氏が、ときに切なく、ときに明るく描きます。 ママもノンママも、シングルも既婚も、すべての女性を応援!
『ノンママ白書』としてドラマ化。東海テレビ・フジテレビ系、主演鈴木保奈美、毎週土曜 夜11時40分から、8月13日(土)スタート。
第1章 「子のない女性」3割の時代
現在では25%、もしかすると3割近い女性が「生涯子どもゼロ」。
未婚の「あきらめ型」、既婚の「あきらめ型」、選び取った「ノンママ」、いつのまにか「ノンママ」
第2章 「私はノンママ」、それぞれの事情
香山さんは赤ちゃんが苦手なのに(で)、猫を6匹かっている。
第3章 ノンママ女性へのハラスメント
第4章 自分を肯定できないノンママたち
第5章 母親にかなわないノンママたち
第6章 ノンママたちの<介護>と<最期>
第7章 誰もが当事者――保育園落ちたの私だ!
すべての女性たち、連帯しよう
指原莉乃さんは言った。「産めれば産めるほど産みますよ、国に貢献したい。からだの限界がくるまで産みます。いまの安倍さんの話を聞いて、私もちゃんと子どもを産んで、しっかりお母さんにならなきゃと思いました」
反射神経だけで生き抜いているお調子者なんだろうから仕方ないが、そこまでへつらうのか。
あとがき
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
書いていることの多くは「その通り」と思う。しかし、ほとんどの部分が、しかたなくノンママになってしまったという事情説明と、子供を持たない女性ノンママがいかに差別されるかという話で、何か後ろ向きだ。もっと、好きなことをしっかりやってきたので、子どもを持たなかったと言いきれば良いと思う。かっての男性が、家庭より仕事だと平気で公言して実行してきたように。
多くのノンママは香山さんよりはるかに辛い仕事をし、収入が少なく、将来に経済的不安を抱えている。本書には子なし故の将来不安への言及も少ない。
昔は、貧乏人は子のうちのだれか一人でも出世して、その世話になれるように、子を沢山産んだのだが。今は子どもを育てるのに金がかかり、子沢山どころか一人もきついのだが。
「あとがき」で、香山さんは書いている。
私は、多くの女性あるいはそのパートナーの男性が「子どもより自分やカップル」と考えた結果、「子どもは持たない」という人生を選び、少子化が進むのは、尊重されるべき選択肢のひとつと思っている。
この点はまったく同感だ。私も結婚前は、将来はひどい世の中になるだろうから子どもはいらないと思っていた。結婚してからも子どもが居なければ居ないで、二人でいつまでも楽しく気楽に暮らせると思っていた。もちろん子どもができれば、可愛いし、私自身は平凡に終わっても、これで良かったと思うようになるのだが。
香山リカ(かやま・りか)
1960年北海道生まれ。東京医科大学卒。精神科医。立教大学現代心理学科教授。専門は精神病理学。
学生時代から雑誌などに寄稿。その後も、臨床経験を生かして、新聞、雑誌などの各メディアで、社会批評、文化批評、書評など幅広く活躍。
『おとなの男の心理学』『<雅子さま>はあなたと一緒に泣いている』『雅子さまと新型うつ』『女はみんな『うつ』になる』『精神科医ですがわりと人間が苦手です』『親子という病』『弱い自分を好きになる本』『いまどきの常識』『しがみつかない生き方』『だましだまし生きるのも悪くない』『人生の法則』『できることを少しずつ』『若者のホンネ』『新型出生前診断と「命の選択」』『がちナショナリズム』『半知性主義でいこう 戦争ができる国の新しい生き方』『リベラルですが、何か?』