hiyamizu's blog

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NHKスペシャル取材班『キラーストレス』を読む

2017年02月04日 | 読書2

 

 NHKスペシャル取材班著『キラーストレス 心と体をどう守るか』(NHK出版新書503 2016年11月10日発行)を読んだ。(執筆はNHKディレクターの青柳由則・梅原勇樹)

 

 表紙裏にはこうある。

NHKスペシャルシリーズ「キラーストレス」の出版化。知らないうちに、私たちの心と体をむしばむストレスを“キラーストレス"と名付け、そのメカニズムを最先端の知見で明らかにしていく。また、効果が実証されている「コーピング(ストレス対処)」や、世界で話題の「マインドフルネス」など、さまざまなストレス対策法を紹介する。ストレス大国ニッポンに生きる人々に警鐘を鳴らす一冊。

 

 

第一章 これがキラーストレスの正体だ
第二章 脳を破壊するキラーストレス
第三章 体をむしばむストレスの暴走
第四章 対策I 脳を変化させる運動と病を防ぐ食生活
第五章 対策II ストレスを観察し対処するコーピング
第六章 対策III 世界の注目を浴びるマインドフルネス
終 章 ストレスから子どもを守る

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 いくつかの点では成るほどと思う知見が得られるが、基本的には従来から言われていることが書かれている。

 最新の脳科学の成果で、なぜそうなのかという立証された仕組みについて解りやすく説明されているが、私も、またおそらく多くの人も、人体の仕組み自体にはとくに興味ないだろう。

 

 びっくりするような新事実はないが、ストレスの重大さの説明は説得力あるし、ストレス対策法のマインドフルネス逓減法も具体的に説明されている。

 

 

以下、私のメモ

 

ストレスの正体と暴走の仕組み

 数万年前はストレス反応が必要だった。危険に遭遇したとき、心拍数が増え、血圧が上がり、血糖値が上昇し、エネルギーが全身に供給されて、闘うか、逃げる態勢が準備される。

 

 不安や恐怖を感じると、脳内の扁桃体が興奮し、対処指令が脳の視床下部へ伝わり、副腎はストレスホルモンの「コルチゾール」を分泌する。心臓は心拍数が増え、自律神経は全身の血管を締め上げ血圧が上昇する。

 

 仕事でノルマに追われるような「頑張るストレス」によりアドレナリンなどが過剰分泌され血圧上昇などが起る。一方で嫌な上司と毎日顔を合わせるなどの「我慢するストレス」が心の病につながる。

 

 慢性ストレスが与えられると、脳内にあふれたコルチゾールによって海馬の神経細胞がむしばまれ、突起が減少する。

 

 子供の頃に虐待など強いストレスを受けると扁桃体が大きくなり、刺激に過敏になり、ストレスホルモンがどんどん出るようになってしまう。

 また、虐待などのダメージを受けやすい時期が存在する。記憶と感情に関わる「海馬」は3~5歳の幼児期、左脳と右脳をつなぐ「脳梁」は9~10歳の思春期前、思考や行動を司る「前頭前野」は14~16歳の思春期以降にダメージを受けると特に容積が減少してしまう。

 

ストレス対策

(1)ストレスを避ける、(2)笑い、(3)友人や家族のサポートを得る、(4)運動、(5)瞑想

 

コーピング:ストレスがかかったときにどんな気晴らしをすれば気分が良くなるか、あらかじめリストアップしておく。ストレスの内容やレベルによって適切な気晴らしを選択する。

 気晴らしは出来るだけ多く、例えば100個。「鳥の唐揚げでビールを飲む」「叱っている上司の顔のほくろを数える」「『お前も大変だなあ』と自分を慰めてみる」「机の上を15分間だけ片付ける」「雨音を聴く」など。

 

「マインド・マンダリング」:目の前の現実についてではなく、過去や未来についてあれこれ考えを巡らせてしまう状態。脳がストレスを感じるとマインド・マンダリングの状態になり、心の状態を悪くしやすい。

 

「マインドフルネス」:今の瞬間の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚し、それに対する思考や感情にとらわれないでいる心の持ち方。

 

実践マインドフルネス

(1)背筋を伸ばして、両肩を結ぶ線がまっすぐになるように座る

(2)呼吸をあるがままに感じる(膨らみ、膨らみ、縮み、縮みと実況)

(3)わいてくる雑念や感情にとらわれない(雑念から呼吸へ戻す)

(4)体全体で呼吸する。

(5)体の外にまで注意のフォーカスを広げていく(部屋の空気の動きや温度、広さ、部屋の外の音などに気を配る)

(6)瞑想を終了する(普段の自分に戻る)

 

例えば、入浴するとき考え事をせず、冷えた体が奥まで温まってきたなどその瞬間の感覚に注意を向ける。散歩中も考え事をせずに、風景、空気を感じる。マインドフルな時間を増やし、マインド・ワンダリングを減らす。

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