東野圭吾著『疾風ロンド』(2014年12月25日実業之日本社発行)を読んだ。
宣伝はこうだ。
強力な生物兵器を雪山に埋めた。雪が解け、気温が上昇すれば散乱する仕組みだ。場所を知りたければ3億円を支払え―そう脅迫してきた犯人が事故死してしまった。上司から生物兵器の回収を命じられた研究員は、息子と共に、とあるスキー場に向かった。頼みの綱は目印のテディベア。だが予想外の出来事が、次々と彼等を襲う。ラスト1頁まで気が抜けない娯楽快作。
図書館の本に著者のサインがあった。
泰鵬大学医科学研究所から新種の炭疽菌「K-55」が盗まれた。しかし、秘密裏に作った生物兵器なので警察に通報することも出来ない。さらに「全国民を人質にに身代金3億円を要求する」というメールが研究所所長宛に届く。残された時間は4日間。
しかし、なんと、犯人の葛原はメールを出した直後に交通事故で死亡し、手掛かりは、葛原の遺品の受信機とデジカメに残されたテディベアの写った7枚の写真だけ。気温が10℃を超えると容器が破裂するため、急いで写真に写っているスキー場を突き止め「K-55」を回収しなければならない。研究所主任の栗林和幸は所長の東郷から、秘密裡に回収と無理難題を突き付けられる。
写真からテディベアの居所を推理した息子の秀人と共に里沢温泉スキー場に向かう。しかし、スキーが下手な栗林は滑走禁止の林の中へスキーで突っ込み足首を負傷してしまう。栗林の救助を行ったスキー場のパトロール隊員の根津とスノーボード選手の千晶を「新薬を隠されてしまった」と「K-55」捜索に巻き込むんでしまう。しかし、そんな彼ら見つめる不審な男がいた。
初出:2013年11月実業之日本社より文庫書下ろしとして刊行
2016年、阿部寛主演で映画化
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
犯人が開始早々死んでしまうという意外性はあるが、あとは平凡。主人公がドジ過ぎて、そのわりに笑いは取れなくて、軽い軽いユーモア・サスペンスといった感じである。
軽すぎるが、気軽に読める。
登場人物
葛原克也(くずはら・かつや):泰鵬大学医科学研究所の元研究員。「K-55」を盗み出して脅迫状を出した直後に交通事故で死亡。
東郷雅臣(とうごう・まさおみ):泰鵬大学医科学研究所所長。生物学部長。ただただ強引に栗林和幸に「K-55」の回収を命ずる。
栗林和幸(くりばやし・かずゆき):泰鵬大学医科学研究所 主任研究員。
栗林 秀人(くりばやし・しゅうと):栗林和幸の息子。中学2年生。スノーボードに夢中。
折口真奈美(おりぐち・まなみ):泰鵬大学医科学研究所 補助研究員。鈍臭く真面目と思われている。
折口栄治(おりぐち・えいじ):折口真奈美の弟。事業に失敗して大きな借金を抱えている。
根津昇平(ねづ・しょうへい):里沢温泉スキー場のパトロール隊員。
瀬利千晶(せり・ちあき):スノーボード選手で、里沢温泉スキー場での大会に出場予定。
山崎育美(やまざき・いくみ):地元の板山中学の2年生。里沢温泉スキー場でのスキー教室に参加。
川端健太(かわばた・けんた):地元の板山中学の2年生。里沢温泉スキー場でのスキー教室に参加。
高野裕紀(たかの・ゆうき):地元の板山中学の2年生。里沢温泉スキー場でのスキー教室に参加。両親は喫茶店「カッコウ」を経営。