hiyamizu's blog

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中野信子『サイコパス』を読む

2017年10月19日 | 読書2

 

 

 中野信子著『サイコパス』(文春文庫1094、2016年11月20日文藝春秋発行)を読んだ。

 

 表紙裏にはこうある。

とんでもない犯罪を平然と遂行する。ウソがバレても、むしろ自分の方が被害者であるかのようにふるまう…。脳科学の急速な進歩により、そんなサイコパスの脳の謎が徐々に明らかになってきた。私たちの脳と人類の進化に隠されたミステリーに最新科学の目で迫る!

 

サイコパスとは

 平気でウソをつき、不正を働いても平然としていて、罪悪感ゼロ。それどころか、時には自分が被害者であるかのようにふるまう。

 残虐な殺人や詐欺事件を冷静沈着に実行する。他人を巧みに利用し、人の痛みを感じない。
 外見はクールで魅力的。会話も巧みで、評判も良い場合が多い。

 

 アメリカでは全人口の4%。明確に定義できないし、境界の人もいるが、おおよそ100人に一人。カナダの刑務所にいる受刑者の平均20%がサイコパスというデータもある。

 

 サイコパスと一般人のIQの平均は変わらない。

 

 サイコパスは周囲の人間が自分に敵意を持っていると認識していて、だからこそ彼らも敵意を持って対抗している。

 

「道徳ジレンマ」の実験

 村に殺人鬼が来たので、みんなで隠れていた。赤ん坊が泣き始めた。ほとんどの人は「なんとか声が漏れないように工夫する」と答えるが、サイコパスは迷わず「絞め殺す」と答える。

 

 

サイコパスと脳

 サイコパスは偏桃体の活動が低く、恐怖や不安など動物が本来持っている基本的情動の働きが弱い。加えて、前頭前皮質の活動が低く、恐怖や罰から社会的な文脈を学習して痛みや罪、恥の意識を覚えることができない。

 

勝ち組と負け組

 サイコパスには、成功して勝ち組と、捕まりやすい負け組がいる。

 負け組は、ためらいなく犯罪をおかしていまうので悪事が発覚しやすい。

 勝ち組は、他人をうまく利用して生き延び、容易に本性を見せず、私たちの身近にもいる。

(金持ち、高学歴、社会的地位が高い人ほど、ルールを守らず反倫理的振る舞いをするとの実験結果がある)

 

日本とサイコパス

 日本の国土面積は全世界の0.25%しかないが、自然災害の被害総額では全世界の約15~20%を占める。日本では集団での協力体制が強く求められ、サイコパスは育ちにくく、生き残りにくい。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 解説本なら、もっとストレートの自分の見解を述べて欲しい。

 この本では新しい章節は論文の引用で始まる。論文の引用により成り立っている本だ。そうではなく、まず著者自身の考えで筋道、論拠を述べ、必要なところに論文の引用をして欲しい。

 

 サイコパスの歴史や、脳内の各器官の働きなどの説明が多い。そういう人も多いと思うが、私にも興味がなく、飛ばし読みした。

 

 

中野信子(なかの・のぶこ)

脳科学者。2013年から東日本国際大学客員教授。

1998年東京大学工学部応用化学科卒業後、東京大学大学院工学系研究科修士課程

2004年東京大学大学院医学系研究科医科学専攻修士課程修了

2008年東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士号取得。
2008年から2010年まで、フランス国立研究所ニューロスピン(NeuroSpin。高磁場MRI研究センター)に博士研究員として勤務。

 

 

以下、メモ

 

 サイコパスは相手の感情は理解できるのだが、相手の気持ちに共感することができない。

 

 サイコパスは恐怖を感じないからこそ、合理的選択ができる。したがって、経営者層や外科医、政治家にサイコパシー傾向の高い人が多い。しかし、恐怖を感じないため、ハイリスク、ハイリターンを好む危険もある。

 

 

 サイコパス疑惑のある歴史上の人物に、著者は織田信長、毛沢東、ピョートル大帝、マザーテレサを挙げている。

 別のインタビューでは、トランプ大統領もサイコパスかもしれないと言っていたようだ。

 

 

 

コメント
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