hiyamizu's blog

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中村文則『その先の道に消える』を読む

2019年02月19日 | 読書2

 

中村文則『その先の道に消える』(2018年10月30日朝日新聞出版発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

僕は今、正常だろうか?僕が求めているものは、何だろう? アパートの一室で発見されたある“緊縛師”の死体。重要な参考人として名前があがる桐田麻衣子は、刑事・富樫が惹かれていた女性だった。疑惑を逸らすため、麻衣子の指紋を偽装する富樫。全てを見破ろうとする同僚の葉山。だが事態は、思わぬ方向へと突き落とされていく。犯人は誰か。事件の背後にあるものとは、一体何なのか。やがて、ある“存在告白”が綴られた驚愕の手記が見つかり―。

 

アパートの一室で市川一成の死体が見つかる。手帳に挟まれていた数少ない名刺の中に 桐田麻衣子のものがあった。刑事・富樫は麻衣子にクラブで出会い、惹かれていた。死体のあった部屋には麻衣子のくせを示す暮らしの痕跡が多く見られた。麻衣子の話を聞きにいった富樫は、市川が麻衣子を厳しく縛ったとい聞く。市川は緊縛師だった。

富樫は疑惑を逸らすために中国人女性の指紋と掌紋を麻衣子のものとして鑑識に提出する。部屋の契約者は麻衣子の前の同棲者・伊藤亜美だったが行方がわからない。同僚の葉山は富樫の行動に疑惑を持つ。

 

Y:事件の裏にいる謎の緊縛師。麻衣子との関係は?

山本真里:風俗店で「何をしてもよい女性」として紹介された。

神沼:先生とよばれる緊縛師。神社の宮司。 

 

表紙の写真は、垂れる縄の網の中で緊縛された女性の写真だ。作者あとがきによれば、世界的ロープ・アーティストで緊縛師であるHajime Kinoko による本書のためのオリジナルとのこと。

 

初出:「小説トリッパ―」2015年夏季号、……、2018年秋季号

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?)(最大は五つ星)

 

中村さんの『掏摸』は面白かったのに、どんどん変な方向へずれて行ってしまうと私には感じられる。せっかく『掏摸』で外国で評判になったのに、これでは……。

 

美しいとは言えない性描写が多く出てきて、がっくり。逆に、緊縛を神道、日本の古代史と結び付けたり、神聖で、神的なものとしようとしたりするが、私には思わせぶりなだけと思えてしまう。

 

 

中村文則(なかむら・ふみのり)
1977年愛知県東海市生れ。福島大学行政社会学部卒。作家になるまでフリーター。
2002年『銃』で新潮新人賞、(芥川賞候補)
2004年『光』で野間文芸新人賞、
2005年『土の中の子供』で芥川賞、
2010年『掏摸』で大江健三郎賞を受賞。
その他、『最後の命』、『悪意の手記』、『何もかも憂鬱な夜に』、『世界の果て』、『去年の冬、君と別れ』、本書『その先の道』

 

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