中山祐次郎著『逃げるな新人外科医 泣くな研修医2』(幻冬舎文庫な46-2、2020年4月1日幻冬舎発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
雨野隆治は27歳、研修医生活を終えたばかりの新人外科医。二人のがん患者の主治医となり、後輩に振り回され、食事をする間もない。責任ある仕事を任されるようになった分だけ、自分の「できなさ」も身に染みる。そんなある日、鹿児島の実家から父が緊急入院したという電話が……。現役外科医が、生と死の現場をリアルに描く、シリーズ第二弾。
雨野隆治は、2年間の初期研修(シリーズ第一弾『泣くな研修医』)を終え、本作品では東京下町の総合病院「牛之町病院」で新人外科医として奮闘する。
雨野隆治:医者になって3年目の27歳。付き合いかけたはるかに連絡していない。鹿児島の父が入院した。真面目で不器用だが、患者にはついつい迎合的になってしまい、辛い事を言えない。
佐藤玲:美人で冷静な外科医。雨野の4学年上。ポニーテイル。
岩井:雨野の指導医。
川村:雨野と同期の要領の良い耳鼻科医。
西桜寺(さいおうじ)凛子:研修医。最初は外科から研修に入る。父は世田谷区長。華やかで型破り。勉強熱心。
吉川佳代:愛想のよい看護師。態度の大きい看護師は佐久間。
水辺一郎:雨野が主治医。入れ墨のある72歳。ステージⅣの大腸がん患者
柴野博:雨野が主治医。太ってニコニコの66歳。ステージⅡの大腸がん患者。妻と娘がいる。
矢島愛香:22歳。腹痛で外来へ。コマーシャル・セックスワーカー。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)
あっという間に読める。文章は平易、展開は想定内で、安心して楽しめる。
冷徹、強気、美人の佐藤玲のキャラは魅力だが、最後の方の涙はいかがなものか。教授と恋愛し、突拍子もないくせに患者・医師とのコミュニケーションが巧みな凛子が、意外と勉強熱心で勤勉なのは良いが、やはり最後で涙を見せるのは、常道すぎる。
雨野の患者に厳しい見通しを告げられない気の弱さは間違えたやさしさだと私は思うので、イライラする。しかし、小説を読んでこんな風に思う私は、本人の思いとは違って、単純で、小学優等生だと自分でも思ってしまう。