hiyamizu's blog

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今野敏『花水木』を読む

2024年03月17日 | 読書2

 

今野敏著『花水木 東京湾臨海署安積班』(ハルキ文庫こ3-26、2009年4月18日角川春樹事務所発行)を読んだ。

裏表紙にはこうある。

五月も終わりかけた東京湾臨海署に喧嘩の被害届が出された。ささいな喧嘩でなぜ、被害届が? 疑問を抱く安積班の須田は、事件に不審な臭いを感じ取る。だが、その頃、臨海署館内に殺人事件が発生。殺された被害者からは複数に暴行を受けたらしい痕跡が・・・・・・。殺人事件の捜査に乗り出す安積たちだったが、須田は、傷害事件を追い続けることに――。それぞれの事件の意外な真相とは!?(「花水木」より)
五編を収録した新ベイエリア分署・安積班シリーズ、待望の文庫化。(解説・西上心太)

 

本作品は、安積班シリーズ12作のうちの一つ。

 

互いに女性を同伴した若者同士の喧嘩が起こり、本来なら地域課で処理するのだが、ケガした若者が告訴したので、傷害事件となり、刑事課強行犯の出番となった。村雨は双方から話を聞いて書類し、安積は書類のみの送検にした。告訴した男性が喧嘩の時にハナミズキの匂いがしたと言っていたことにこだわる須田が担当する。調べると、互いに知り合いではないか、芝居めいていると須田は感じた。

お台場の潮風公園で死体が発見され、安積班が駆け付けた。帳場(特別捜査本部)が立ち、本格捜査が始まった。本庁捜査一課からは相楽が来て、東京湾臨海署から須田、黒木を除く安積班と速水ら10人出た。

その他、コンビニ強盗、観覧車に登る事件が起こり、狼男が走り回っているという通報があった。また、先に因縁をつけた者が、訴えると言い、次に示談にすると言い出すなど、たわいない喧嘩が起こる。

 

 

安積警部補:主役。45歳。部下には絶対の信頼があり、上司には言うべきことははっきりと言う。決して信念を曲げない。仕事に熱心で離婚。娘との関係は良好で、元の妻とは微妙。

村雨部長刑事:安積に忠実に仕事し、部下を厳しく指導する。堅苦しいほど基本に忠実。嫌われ役。
桜井:村雨に厳しく指導されている。安積班で一番若い。
須田部長刑事:村雨と対照的で、ぽっちゃり体型で機敏でなく、簡単に他人に同情してしまう。しかし、勘は人一倍鋭い。本人は勘の根拠が乏しく自信がないが、捜査が行き詰った時には頼りになる。
黒木:須田と組む。常にキビキビと動き、整理整頓している。
速水警部補:安積と同期。交通課で飄々働く白バイ野郎。事件を斜め上から眺めるなどして、視界が狭まりがちな安積に有効なアドバイスを送る。
相楽:本庁捜査一課の刑事。安積をライバル視し、意地を張るタイプ。

 

 

本作品は2007年9月に角川春樹事務所から単行本として刊行。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星))

 

常に忠実、堅苦しいほど確実に仕事する村雨と、外見、態度は有能に見えず、本人にも自信がないが、行き詰った捜査では鋭い感が頼りになる須田の二人に助けられる安積は、部下に絶対の信頼があり、信念に基づき上司にも直言する。この三人のチームで、ライバル視する者たちをものともせずに様々な事件を解決する。
すべての話の中で、このフレームワークが安定しているので、安心して気楽に読める。逆に言うと、読み続けると読者の方もマンネリ化する。

 

今野敏の略歴と既読本リスト

 

 

コメント (2)
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