hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

10年前の妄想-モバイルトイレ

2010年04月06日 | 個人的記録
部屋を整理していたら、2000年7月に書いた紙が出てきた。当時、私が開発に関わっていた公衆電話は、驚異的に普及しはじめた携帯電話に追いまくられていた。精一杯携帯電にケチをつけようと、負け惜しみで書いたのが、この妄想だ。



2010年、ますます病的に潔癖となった若者の間でモバイルトイレがはやっている。出先で使用する携帯トイレのことで、局部に当てて利用すると、粉末化して水分を蒸発させ残存物を微細化し、カセットに収める。最初は大きくて、いったいだれが使うのかと言われたが、学校でトイレに行けない生徒が自宅から持ち込み、陰でこそこそ利用していた。

しかし、あっという間に機器が小さくなり、ちょっとかがんでスカートやズボンに手を差し入れる格好が「いいじゃない」ということになり、からかっていたマスコミも煽るような記事を書くようになった。

一方、公衆トイレは汚い、古い、ダサイと敬遠され、利用者が減り、邪魔にされ撤去されるものも出てきた。そうなると、イメージはますます低下し、手入れもされず、汚くもなって利用し難くなった。

流行を引っ張っていると思い込んでいる若者の中には電車の中で、着替えて、化粧して、モバイルトイレを利用するしまつ。機器は驚異的に進歩したが、においと音が多少もれるのはいかんともし難く、さすがに大人たちから非難の声があがり、「お客さまの迷惑になりますので、車内でのご利用はお控えください」と車内放送するようになった。
車を運転中に利用したことが原因の事故が増えたことから、運転中のモバイルトイレの利用は減点となる施行令がだされ、流行に多少のブレーキをかける動きもでてきた。

また、高齢者から公衆トイレが汚くて利用できないとの声があがり、マスコミの論調も「公衆トイレは皆で使うので本来経済的で、エコロジーにかなう。個々人がモバイルトイレを購入し持ち運ぶより共同利用の公衆トイレに金をかけてきれいに保つべき」と変化してきた。

公的資金が公共性の高い駅の公衆トイレに導入され、壁面の環境スクリーン、音楽、さらにトイレに座れば、血圧から排泄物分析による健康診断結果が表示されるなどリラクゼーションセンターとして復活してきた。
そうなると皆で使うものだからきれいに気持ちよく使おうという動きがでてきた。ちょっとした汚れは紙を落として足でぬぐうなど、使う前よりわずかでもきれいにすると、どんどんきれいになってきた。

モバイルトイレは目立たぬところで相変わらず利用され、”なに”多少不安のあるお年寄りも利用するようになり、社会生活に定着した。そして、公衆電話、おっっと違った、公衆トイレとのすみわけがなされるようになった。
以上



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