hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

『アリ ハンドブック』を読む

2010年02月06日 | 読書2

寺山守解説、久保田敏写真『アリ ハンドブック』2009年11月、文一総合出版発行を読んだ。

文一総合出版の書籍案内」にはこうある。
誰もが知っている反面、身近すぎて見逃しがちな昆虫、アリ。本書はそんなアリのバラエティに富んだ姿や暮らしを、識別点を明確にした標本写真と迫力ある生態写真で紹介。詳しい採集や飼育方法も収録。足もとの小さなアリの世界を楽しむ入口となる本。

この本の特色
■日本で見られるアリのすべての亜科を網羅
■コンパクトな作りながら、80種を収録。身近なアリならこの1冊で十分
■迫力ある生態写真でアリの暮らしぶりを紹介
■識別点がわかりやすい、引き出し線付きの標本写真も各種ごとに掲載
■アリを楽しむための採集や飼育の方法をていねいに解説
■外来アリなど各種コラムも充実


ほとんどが写真で、80ページほどのポケットサイズの小さな本だ。最初の数ページでアリの形態、生活、採集方法、標本の作り方が解説され、後には、10亜科、67種のアリの分布・特徴・生態と写真が続く。

アリは「アリ科」と呼ばれるハチ目の中のグループで、スズメバチなどの親戚。世界で22の亜科、11,500種、日本で10亜科、280種が知られている。女王を中心に複数の個体が巣の中で集団生活を送る「社会性昆虫」だ。オスと、女王と働きアリのメスに分かれる。
(そう言われれば、女王ハチ、女王アリなどアリとハチは似ている。)



私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば)

アリ好きだがとくにアリに詳しくない人、そんな人がいればおすすめだ。良く分類され、分かりやすいが、玄人(アリの)には常識であることがほとんどなのではないだろうか。専門家には底が浅すぎる。小さな本なので、地面のアリを見ながら、持ち歩くには最適だろう。

小さなアリの細かいところまでくっきり撮れた写真、そしていきいきと働く動き出しそうな写真が見事だ。長年一つのことに打ち込んできただけのことはある。これは皮肉ではありません。何一つ誇れるものがない私のひがみです。



子どもの頃、部屋の中にアリの行列があり、たどって行くと、台所の砂糖壺や、甘いものに一杯アリがたかっていて、おふくろが嘆いていたことがときどきあった。庭を歩き回るアリをいつまでもじっと眺めたり、棒で突っついたり、巣穴をほじくったりした。大多数は黒い小さなアリだったが、赤っぽいアリもいたし、ときどきやけに大きく黒いありもいた。子どもの頃は、アリはごく身近な退屈なときの友達みたいなものだったが、大人になってからは、アリはじゃまな存在でしかなくなった。今回、あらためてこの本を読んで、アリとハチが親戚だとか、アリについて全体的に知ることができた。しかし、まあ、マンション住まいになって、アリとはご無沙汰だし、もはや興味を持つこともないだろう。



寺山守は、1958年秋田市生れ。サイエンスライター。東京大学他で非常勤講師を兼任。専門は昆虫系統分類学など。著書に『昆虫のふしぎ』など。理学博士。

久保田敏は1956年東京生れ。都立高校教諭。長年、アリの生態写真撮影に取り組み、専門書から幼児教育書まで幅広く、生態写真を提供している。



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小川糸『喋々喃々』を読む

2010年02月05日 | 読書2

小川糸著『喋々喃々(ちょうちょうなんなん)』2009年2月、ポプラ社発行を読んだ。

宣伝文句はこうだ。
東京・谷中でアンティークきもの店「ひめまつ屋」を営む栞(しおり)。きものを求めるお客ばかりでなく、ご近所さんもふらりと訪れては腰を落ち着ける、小さなこの店に、ある日、父とそっくりの声をした男性客がやってくる。その人は、栞の心のなかで次第に存在感を増していき――人を大切に思う気持ち、日々の細やかな暮らしが、東京・下町の季節の移ろいとともに描き出される、きらめくような物語。
谷中・根津・千駄木近辺に実在するお店や場所も多数登場し、街歩き気分も楽しめる作品。『食堂かたつむり』で鮮烈なデビューを果たした小川糸の第二作。

【喋々喃々(ちょうちょうなんなん)】男女がうちとけて小声で楽しげに語りあう様子。


ゆったりと話は進み、登場人物の行動も奥ゆかしく、舞台も情緒あふれる東京・下町の古めかしい小説だ。谷中、根津、千駄木エリアの老舗居酒屋、カフェ、鳥鍋屋などが実名で登場する。
主人公の栞は小さなリサイクル着物店をやっていて、自身も取っ換え引っ換えTPOに合わせた着物を着る。こった料理の作り方もくわしく説明される。
何もかもがしっとりと落ち着いていて、古めかしくアンティークな小説だ。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

話は、いつもの不倫もので、女性はこのままで良いと思っていても、やがて・・・。そして、彼はいつも限りなくやさしく、床上手だが、家庭第一の原則はけして崩さない。

生活苦は少しも感じられず、向島百花園での月見の会や、有名店を食べ歩くなど優雅なお楽しみが続く。



この作品は「asta*」2008年5月号-2009年2月号に掲載されたものに大幅加筆修正したもの。

小川糸は、1973年生れ。山形市出身。著書に絵本『ちょうちょう』、小説『食堂かたつむり』はベストセラーとなり映画化。その後、本書と、『ファミリーツリー』。
浜田省吾がメロディを作るfairlifeという音楽集団で、作詞を担当、編曲はご主人で、ミュージシャンの水谷公生。ホームページは「糸通信」。






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林真理子他「売れる小説の書き方。」を読む

2010年02月03日 | 読書2


林真理子、大沢在昌、山本一力、中園ミホ「売れる小説の書き方。」エンジン01(セロワン)選書、2009年10月、ぴあ発行を読んだ。

流行作家3人と人気脚本家の4人がパネルディスカッションというか、公衆の前で公開の座談会を行った記録だ。テーマ名は題名の「売れる小説の書き方。」よりも、表紙に副題的に書いてある「作家は本当に儲かるのか?」が適切。

収入について
文筆家の3分の2以上が年収300万円以下。ごく一部の人、10名程度だけが派手に暮らしている。作家には印税として、本の売価の1割入る。1000円の本で源泉徴収10円引かれて90円入る。

デビューについて
28冊目までは全部初版で終わりだった。本屋さんへ行くと、赤川次郎の新刊の台になっていた(大沢)。

仕事でえらい借金をつくり、元手いらずで借金が返せると思って新人賞に応募した。でも「そんな話は聞いたことがない。本出して借金つくった奴はいっぱいいるけど」と言われた。ゴールは見えたがまだ返していない。オール読物の新人賞をいただいて受賞後第一作が出るまで2年かかり、12作くらい編集者に赤を入れて突き返された。それが良かった(山本)。

小説は書きたくないのに作家になりたい人が多い(林)。

「脚本家って呼ばれて、書いて行くと、みんなにものすごいこと言われるのですよ。・・・まずそこに耐えられない人はなれないんですけど、中にはとても誇り高い人がいて、『そんなに言うなら小説書いてやる』って泣きながら飛び出していったりする人がいるんですよ。それで本当に作家になった人というのはひとりもいないので、・・・」(中園)



その他
現代ものは数年経つといかにも古くなる。高齢者社会だし、時が立っても絶対に古くならない時代小説はこれから強い。

3人とも、文庫本なら20万部以上でるが、佐伯泰英などはそれを毎月続けている。

「・・・彼(石田衣良)は、あの中身のなさがすごいじゃないですか。」「本当に、素でもああだけど。しゃべってることにまったく心がこもってないでしょう。あれ、素でもそうですからね。あれは、素を出さないから飽きられないんだと思う。」(大沢)「私もそこまでは言えませんね」(林)





私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)

小説を書いてみたいと言う人、作家に憧れる人は、是非読んで欲しい。
「小説は門戸が広い。大量にデビューして、大量に消えていく。あり続けるのは大変だ。」という発言があった。一方で、次も書きましょうと言われたときに、これだけあれば1年食べられますからいいですと断ったり、編集者からこの部分を直したらもっと良くなりますから」と言われて、「じゃあいいです」と自分の嫌なことはまったくしない若い人が多いという。一冊でも本を出せば、もう満足で、身を粉にして、苦労して小説を書き続けるなどゴメンだという気持ちは私にもわかる。



初出はエンジン01文化戦略会議オープンカレッジin名古屋、講座「文学と言う夢で食えるか」、2008年11月8日、会場:名古屋国際会議場

林真理子の略歴と既読本リスト



大沢在昌
1956年名古屋市出身。慶応大学中退。1979年『感傷の街角』で小説推理新人賞、1986年『深夜曲馬団』で日本冒険小説大賞最優秀短編賞、1991年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞長編部門、1994年『無間人形 新宿鮫Ⅳ』で直木賞、2004年『バンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞を受賞。

山本一力
1948年高知県生まれ。中学3年の春、上京して新聞の住込み配達員に。都立世田谷工業高等学校電子科を卒業後、10年間、近畿日本ツーリストに勤務。その後、様々な職業を経て、1997年『蒼龍』で第77回オール讀物新人賞受賞、作家としてデビュー。2002年『あかね空』で直木賞受賞。著書に『ワシントンハイツの旋風』『欅しぐれ』『梅咲きぬ』『だいこん』など。
バブルのときの妻の実家の億単位の借金を抱え込み、その返済のために小説を書き始めた。

中園ミホ
1959年生れ。日本大学藝術学部卒。1988年『ニュータウン仮分署』の脚本でデビュー。主な作品は、連続ドラマ『FOR YOU』『不機嫌な果実』『ハケンの品格』、映画『東京タワー』、ドラマ『あの日、僕らの命はトイレットペーパーよりも軽かった』など。2007年放送文化基金賞、2008年放送ウーマン賞受賞。


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わんぱく相撲を見る

2010年02月01日 | 日記

わんぱく相撲吉祥寺場所を見に行った。



大会に先立ち、和太鼓サークル「空」による演奏?が行われた。



開会式での世話人の方のあいさつによれば、今年20周年だそうで、よく続いているものだ。なんと、このわんぱく相撲に2年生から6年生まで参加していた子が、今年3月、中学卒業後に伊勢ヶ濱部屋に入門するそうだ。武蔵野市出身の力士が誕生する。しこ名はまだ決まっていないそうだが、武蔵○か、井の頭か?? 身長がすでに186cmでどうどうの体格だったから数年後にTVで見られるかもしれない。また、2,3年前に行司として入門したこの大会出身の子も、木村照一という名で頑張っているそうだが、こちらはTVに写るようになるには15年以上かかるようだ。

競技上の注意として、大人が禁止行為を実演した。たとえば、大相撲では正式な技のひとつである手四つも、ここでは危険として禁止され、ストップされる。



小学低学年生2、3人と大人との勝負も行われた。



出場者は、写真右端の幼稚園年少から左端の小学6年まで。2、3年生が多く、何人かは女子も参加している。



低学年の子どもの中には仕切りのしかたを知らない子もいて、取っ組み合いも形をなしていないのがほとんどだ。しかし、懸命に頑張る姿には、微笑ましくなる。



女の子も力任せの大技でなく、地道に粘る子が多いので、長い勝負になる場合が多かった。



私は子どもの頃相撲が大好きだった。小学5年生の頃だろうか、教室でクラスの男子全員が相撲をとった。小さい方から対戦していくのだが、私は10人位勝ち抜いて自信をつけた。そこで、お寺でのわんぱく相撲に出場したのだが、最初の相手に負けた。たちあって、組合ったところで、思いがけなく突然、相手が私の手の指をつかみ、土俵につけたのだ。なんと卑怯な手だ!60年近く経った今でも思い出すと悔しい。
卑劣なことする奴は、半世紀以上恨まれるのだぞ!


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