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混迷するイスラエルのレバノン侵攻

2006-08-06 16:05:08 | 国際・政治

7月12日にイスラエル軍がレバノンに侵攻しヒズボラと戦闘を開始、以後戦線を拡大し4週目に入ったが被害者は両軍合わせて800人を超し収束の見通しは全く立ってない。国連や欧米の仲裁も今迄のところ全く効果が無い。中東情勢について評論できるほどの知識は私には無いが、疑問に思ったことと答と思わしきものを今後の理解の為整理しておく。

1.何故イスラエル兵士2人が誘拐されただけなのに執拗に攻撃を続けるのか? 就任したてのオルメルト首相が国民にアピールする為といわれたが、現在80%以上のイスラエル国民が戦争を支持している。ガザ地区撤退や度重なるテロ行為で国民の被害者意識は我慢できる臨界点を超えたのか。

2.何故イスラエルは苦戦しているのか? イスラエルは過去4度の中東戦争で勝ち続けてきた「不敗神話」があった。近代戦争は①制空権を取り、②軍事目標・インフラを破壊、③地上軍投入し戦闘力を喪失させ、④武装解除する段階を踏む。かつての中東戦争はまさに最初の数日で第2段階まで達し勝負がついた。

しかしヒズボラはよく訓練されたプロのゲリラで、イスラエルの正規軍はゲリラとのいわゆる「非対称戦争」の戦い方を訓練されてなく従来手法の戦い方で、目標が不明確な爆撃をし、民間人の被害を出し苦戦している。

3.何故アルカイダが関与していないのか? イラク・アフガニスタンと異なるのは、ヒズボラはシーア派民兵組織であり、今回の戦闘でヒズボラ・ハマス‐シリア‐イランのシーア派連合がアルカイダと並ぶ二大イスラム原理主義陣営となった。

もう少し長い目で見るとナセル大統領から始まったアラブ諸国を統合を目指す「汎アラブ主義」はフセイン大統領の拘束で終焉し、イスラム諸国が並立する「汎イスラム主義」の時代になった。このあとシーア派とスンニ派の主導権争いが起こる可能性すらある。

4.何故ヒズボラは持ちこたえているのか? ヒズボラは2000‐4000人の組織ながらレバノン政権に閣僚を送り込み国全体に浸透している。シリア・イランからかなりの資金・武器がわたっており、米国対イランの代理戦争的性格があるといわれている。更に言うとイランは核拡散では中国・ロシアの支援を受けている。

5.何故米国はイスラエルを支持し続けるのか? これは簡単、ユダヤ人はその人口以上に影響力があり票になるからだ。公明党票みたいなものである。それほど昔からではない、ユダヤ人票を取り込んだ最初の大統領はトルーマンだ。民主党はもっとイスラエル支持。それが嫌な人もいる、例えば飲酒運転で捕まったメルギブソン。

6.誰がキーマンか? 今のところライス国務長官だといわれている。大統領への助言ではなく彼女自身の手腕が問われている。米軍介入がありえない状況で、国務長官が結果を出すことは容易ではない。最高指導者ナスララ師に対するシリア政府の影響力を利用して小さい譲歩を引き出し、オルメルト首相の面子を保つ解を見つけ先ずは停戦することだ。

7.中東情勢への影響は? 今迄対テロ・イラク戦争で米国寄りの姿勢をとってきたサウジ、エジプト、ヨルダン等が子供の被害を見て米・イスラエルに対し非難し始めた。イスラエル爆撃の被害が続けば親米アラブ諸国が離反しイラク情勢にも影響を与えそうだ。

8.何故戦闘地域からの生々しい映像が多いのか? 爆撃を受けた現場の生の写真がカメラ付携帯電話で撮られリアルタイムでブログに貼り付けられている。イスラエルの爆撃で民間人約50人が犠牲となり、その内約30人は子供だった。

修正されて無い焼け爛れた子供の写真は実にショッキングだ。この悲惨な写真は直ちに世界に流れ同情を呼び、イスラエルは避難された。カメラ付携帯電話は最も新しい戦争報道の道具だ。世論に大きな影響を与える新たな報道の形になるかも。■

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