小泉首相の靖国神社参拝後の熱気が一巡してようやく落ち着いたところで、各メディアの報道姿勢の違いをザット見てみた。国内では朝日・毎日新聞とその関連のテレビ局が最も厳しく批判する報道をしていたようだ。中韓は予想通り幾分抑えた反応だった。
一方で、15日NHK特番でライブ電話アンケートの結果、圧倒的に参拝支持の結果が出た。NHKの電話アンケートでは20―30代の参拝支持が70%を超え、50―60代は賛否相半ばしていた。
朝日新聞が多数世論の反対を押し切って参拝したと伝え、テレビ放送は参拝反対の声ばかり流し、電話アンケートとは全く反対の結果で一体どちらが正しいのだろうか。ニュース番組で流すインタビューを見ると、何を伝えるか恣意的な選択があったように感じた。
しかし参拝反対の社説を打つ新聞やテレビでも、ニュース報道という観点からは幅広く国民の意見を正確に伝えその上で報道各社の意見を伝えるといういわばジャーナリズムの大前提は守るはずだ。事実報道にバイアスがかかっていると分かれば読者・視聴者の信頼を傷つけ、結局ビジネスとして成り立たなくなる。何故偏向とも思える報道をするのか。
ライブドア・ニュースの記事は私の疑問に答えてくれた。15日午後の書き込みによればネチズン(インターネット市民)は参拝賛成派が圧倒的に多かった。ヤフーやライブドアの事前アンケートでは参拝支持が80%を超えていたそうだ。(話は違うがライブドア・ニュースの報道姿勢はホリエモン報道でも軸がぶれず好感が持てた。)
NHK電話アンケートの多数派はネチズンと重なっていると説明がつく。両者に共通するのは聞かれなくても積極的に自らの意見を主張した人達である。一方新聞社の世論調査は聞かれれば意見を言うタイプの人達である。
手元にデータが無いが、年齢のデモグラフィーはネチズン・電話アンケート・新聞社世論調査の順で若い世代の比率が高いと考えれば、結果は相互に矛盾しないというのが私の仮説だ。
私は靖国参拝賛成論者(注)ではないが、同じ主張をするにしても朝日など一部新聞社の報道の仕方には問題があると考える。何を伝え、何を伝えないかの選択基準が不透明で、都合のよい国内・海外世論のみピックアップして無理やり自説に帰結させようとする姿勢は報道のあるべき姿を逸脱している。
注)私はA級戦犯分祀論者、その理屈は下記参照下さい。http://blog.goo.ne.jp/ikedaathome/d/20060610
日本のネット参加者は中庸さを失い左右どちらかの極端に走る傾向があるように私には思える。この傾向があるとすれば、それは何故か、日本特有か、既に誰かが研究に取り組んでいるテーマか、例えば社会心理学的に説明できるテーマか、等が新たに湧いてきた私の疑問である。
ネチズンはビジネスと同様に政治や社会に大きな影響力を発揮することになるだろうという予感がする。その時健全な意思決定に貢献できるだろうか。又、欧米のように新聞の発行部数が減少したとき自己主張の強いネチズンを取り込めるだろうか。■