東芝の不正会計問題は全事業部門にわたって常態化し、5年間で1500億円を超す利益の水増しがあったらしいと今日の日本経済新聞は伝えていた。第三者調査委員会の調査結果までの中間報告的な内容だが、私が想像した最悪ケースの方向に向かっているようだ。不正会計は全社レベルで行われていた。
記事によると月例会議でトップが事業責任者に実績報告させ、そこで予算達成に向け強い圧力をかけたのが現場の無理を招いたという。月例会議が全社的な会計不正の道具立てだった。トップが現場に強烈な圧力をかけたからだというが、それだけ聞くと話は簡単、ブラック企業が店員に残業を無理強いしたのと同じだ。
一般論として月例会議でトップへの実績報告は至極当たり前のプロセスで、悪い報告する側は物凄く緊張を強いられる。だがそれだけで全事業部門の法を犯すような不正に繋がったとは考えられない。例によって私が憶測するに、トップの意向を受けてある組織(例えば本社会計部門など)が継続して各事業部門に異常に強い圧力をかけ、更には会計操作を示唆した可能性があると私は考える。
5年間で1500億円というと年平均300億円、事業部門当り数億から数十億円程度であり、東芝の所帯の大きさを考えれば目立つ金額ではなかった可能性がある。逆に言えば各部門は不正を認識して、気付かれないよう細心の注意を払って実行したのではないだろうか。
記事ではトップの責任をどういう形で取るかが今後の焦点と報じられたが、私はそれでは済ませられないのではないかと考える。報道を見る限り会長・社長と会計責任者が辞任して済む話ではなさそうだ。果して東芝が長年の膿を出し切り、企業文化を変えることが出来るか。腐っていたのは経営幹部か、会計部門か、全社員を含む企業文化なのか。
もう少し推移を見守る必要が あるが、私は4つの点を注目する。1)トップの意向を感じ取って全事業部門に継続して圧力をかけた本社部門とその責任が表面化するか、2)コンサルタント及び社内外の監査部門の関わり、3)事業部門で不正に関わった多数の社員がどういう扱いになるのか、4)彼等の中から一人でも良心的な内部告発が出て来るか。総てが表面化しない場合はもあり得るが、その場合は新社長と体制の中に答えがあるはずだ。
私が社会人になった時、三鬼陽之助の「東芝の悲劇」がベストセラーになっていた。東芝に就職が決まっていた親友を大丈夫かとからかったのを記憶している。だが、その後東芝は活力を取戻し山あり谷ありの経済情勢を乗り越えて、日本を代表する企業として存在し続けた。今はその時より事態は深刻だと思う。だが、痩せても枯れても大東芝、優秀な人間は一杯いる、全部取り替えてもまだ人材がいる。個人的にはそう期待したい。■
記事によると月例会議でトップが事業責任者に実績報告させ、そこで予算達成に向け強い圧力をかけたのが現場の無理を招いたという。月例会議が全社的な会計不正の道具立てだった。トップが現場に強烈な圧力をかけたからだというが、それだけ聞くと話は簡単、ブラック企業が店員に残業を無理強いしたのと同じだ。
一般論として月例会議でトップへの実績報告は至極当たり前のプロセスで、悪い報告する側は物凄く緊張を強いられる。だがそれだけで全事業部門の法を犯すような不正に繋がったとは考えられない。例によって私が憶測するに、トップの意向を受けてある組織(例えば本社会計部門など)が継続して各事業部門に異常に強い圧力をかけ、更には会計操作を示唆した可能性があると私は考える。
5年間で1500億円というと年平均300億円、事業部門当り数億から数十億円程度であり、東芝の所帯の大きさを考えれば目立つ金額ではなかった可能性がある。逆に言えば各部門は不正を認識して、気付かれないよう細心の注意を払って実行したのではないだろうか。
記事ではトップの責任をどういう形で取るかが今後の焦点と報じられたが、私はそれでは済ませられないのではないかと考える。報道を見る限り会長・社長と会計責任者が辞任して済む話ではなさそうだ。果して東芝が長年の膿を出し切り、企業文化を変えることが出来るか。腐っていたのは経営幹部か、会計部門か、全社員を含む企業文化なのか。
もう少し推移を見守る必要が あるが、私は4つの点を注目する。1)トップの意向を感じ取って全事業部門に継続して圧力をかけた本社部門とその責任が表面化するか、2)コンサルタント及び社内外の監査部門の関わり、3)事業部門で不正に関わった多数の社員がどういう扱いになるのか、4)彼等の中から一人でも良心的な内部告発が出て来るか。総てが表面化しない場合はもあり得るが、その場合は新社長と体制の中に答えがあるはずだ。
私が社会人になった時、三鬼陽之助の「東芝の悲劇」がベストセラーになっていた。東芝に就職が決まっていた親友を大丈夫かとからかったのを記憶している。だが、その後東芝は活力を取戻し山あり谷ありの経済情勢を乗り越えて、日本を代表する企業として存在し続けた。今はその時より事態は深刻だと思う。だが、痩せても枯れても大東芝、優秀な人間は一杯いる、全部取り替えてもまだ人材がいる。個人的にはそう期待したい。■