かぶれの世界(新)

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リーマンショック後7年目の風景

2015-12-17 17:17:51 | ニュース
イエレン議長の予測された決断
FRB(米連邦準備銀行)イエレン議長は実質ゼロ金利政策の解除を決定した。市場にとって12月の金利上昇はほぼ確定、来年からどういうペースで利上げされるかが焦点だった。原油価格暴落を受けて先週末から急落した先進国株式市場は、FRBの利上げ決定を予期して昨日から上げに転じた。米国経済の復調を改めて確認し緩和的な利上げになると好感した為と伝えられている。

今見える風景
私はFRBが利上げする時が2008年に世界を震撼させたリーマンショックが終わった時と考えていた。この7年間で何が起こって今どういう風景になったか、例によって誤解を恐れず大胆な分析をしてみたい。中国を始めとする新興国が世界経済を牽引したが最近は停滞感が漂う。一方、米国はリーマンショック前の状態に戻ったが、日欧の先進国経済は後遺症に苦しんでいる。

イエレンオバサンの決断から見えて来る風景を、私なりに出来るだけ目線を上げて一望し、表面の出来事より底流に何があるか探ってみたい。

最も傷が浅かった米国
リーマンショックが勃発した時、日本の金融機関は不良債権(サブプライムローン)を紛れ込ませた金融商品を殆ど保有しておらず対岸の火事視した。だが、その後信用危機が世界に拡散し最も経済が落ち込んだのは日本で、皮肉にも米国経済は最も落ち込みが小さく回復も早かった('09の経済成長は米-3.1%、EU-4.4%、日本-5.5%)。その最大の理由は日本にはバーナンキがおらず、EUは一致した対応が出来ず、結果として迅速な政策対応が打たれなかった為だ。

発信源は各国中央銀行の金融緩和
私は最近までリーマンショックを米国発の世界経済危機と捉え、米国の責任(金融技術が生んだ証券化、政策が後押しした住宅バブル等)が極めて重いと考えていた。米国はそう思っていない、彼等は「大恐慌」と呼ぶらしい。ここに来て私も考えを変えつつある。世界中に信用危機を波及させたのは、世界全体を一つの「高度金融システム」として捉え、該システムが内包する欠陥が危機を増幅・伝搬させたからと今は疑う。

世界は一つ、対応はバラバラ
世界の中央銀行が金融緩和した金が「高度金融システム」を構成するグローバル金融機関を経由して米国の消費者に届きバブルが発生し崩壊した。不良債権は逆の流れで世界にまかれた。住宅バブルの大元の貸し手は世界の中央銀行であり、証券化された商品が売買され資金の仲介役になった。だが、「世界の金融システム」を監視して危機を認識し適切な措置をとる機関など存在しなかった。

EUの独、世界の米国
バブル崩壊時の危機認識を的確かつ迅速に政策対応した国は米国だった。世界経済を配慮はするものの先ずは米国優先だ。EUにおける一人勝ちの独と非常に似た構造だ。これがイエレンオバサンが決断する時に見えて来た風景だ。全体は上手く行ってないが、一国だけ先頭を切って泥沼からはい出した。

取り残される国々
他の国は自由に政策を選択できるはずだが、ポピュリズム政治下で思い切った手は先送りする。
リーマンショック後の世界を見渡すと米国MITやシカゴ大学で学び金融機関で経験を積み、英印IMF等で要職に付き金融政策の采配を振るっているのが目立つ。日本では世界的な経験を積んだ経済学者が活躍する姿を見ないのは残念だ。日本人経済学者がノーベル賞をとる日が来るのだろうか。

個人的なこと
米国の金利上げはドル高円安、新興国の通貨安のトレンドをもたらすのは間違いない。ただ、今後の利上げペースが早過ぎると新興国経済は資金流出危機に直面するだろう。私が新興国に投資した金融資産はこのところ下げ気味だ。イエレンオバサンお手柔らかにお願いします。■
コメント
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