昨夜、静岡県で震度6強の地震があった。東京は震度3~4。いつもなら家で大騒ぎしているところだが、もう、揺れに鈍感になってしまっている。
7日(月)は、LPSAマンデーレッスンS・スピンオフ「ジャンジャンマンデー」に行った。この日は第1期の最終3日目。最多勝、最高勝率、最多対局の各賞が決まる、重要な1日だった。
部員も10名前後が集まり、午後6時、今回の部長・Sa氏の開会の言葉で、対局が開始された。
私の第1局目はミスター中飛車氏と。ここまで私の戦績は6勝2敗。三賞すべてに射程圏内に入っており、もう負けられぬところである。
私の居飛車明示に、中飛車氏は両方の銀を上がる。中飛車氏とはこれが4局目だが、過去3局はいずれも中飛車氏の普通中飛車だった。今回は中飛車氏の矢倉志向か…? と思いきや、中飛車氏はツノ銀にしたあと、けっきょく中飛車に振った。私は一段玉だから意表を衝かれた形だが、中飛車氏も居玉だ。
私は☖7五歩と仕掛けたが、やや無理気味。しかし中飛車氏の攻め急ぎがあり、居玉も祟って、私がきわどく勝利を収めた。
続いては将棋ペンクラブの若手幹事、Hak氏と。Hak氏は努力家で、会社の行き帰りに電車の中で詰将棋を解き、小冊子を読んで勉強している。しかし棋歴が浅く、私とは若干手合いが違う。何か駒を落とすべきではないだろうか。
それを松尾香織女流初段に申し出たら、「ジャンジャンマンデーは原則的にオール平手だから…」と言われてしまった。Hak氏も平手を所望したので、振り駒をし、私の先手番になった。
将棋は私の居飛車明示に、Hak氏の四間飛車。☗5七銀左から☗3五歩と仕掛け、よくある展開になったが、私が☗2四歩の突き捨てを怠ったため、指しにくくなった。
元女流棋士の藤田麻衣子さんが見える。思わず「師匠!」と叫んでしまった。師匠は前週の金曜日にも見えたが、そのときに今回の参加を表明していた。藤田さんは昨年3月に現役を退き、LPSAも退会したが、将棋への熱意は変わっていないようである。
私は桂損を承知で☗3七桂と跳ねる。これにHak氏がひるみ、私の疑問手が好手に変わってしまった。結果は私の勝ち。しかしHak氏は大健闘だった。もう、初段はあるのではないか。
3局目は、藤田さんと。ここまで私の戦績は8勝2敗。藤田さんも含め、残り2局を勝てば、三冠王が見えてくる。これは負けられない一戦となった。
ところで前週の金曜日、藤田さんに
「最近の大沢さんのブログは品がありません。あれではほかの人に勧められません」
との苦言を頂戴した。私はヒトの意見でブログスタイルを変えるつもりはないが、師匠の意見は千金の重みがある。少しは大人しいブログにしようかなとも思う。
藤田さんとの対局は、藤田さんが退会直前に、江東区のイベントで教わって以来だから、1年振りになる。戦績(平手)は私の5勝7敗。しょっぱなからの5連敗が痛かったが、その後はよく盛り返したというべきだろう。
将棋は私の横歩取りに、藤田さんの☖8五飛(中座飛車)戦法となった。藤田さんは居飛車急戦が得意で、LPSAで現在この手を指すのは中井広恵女流六段と石橋幸緒天河のみ。LPSAは貴重なキャラクターを失ったと、あらためて感じる。
私は☗2六飛。ここで後手は☖4一王だろうから、私は角を換わって☗9六角を指すつもりだった。現在男性プロ間では、この手では先手不利と結論が出ているのだろうが、それは「わずかながら」の但し書きがつく。☗9六角からの手将棋は、先手も指せる、が持論である。
しかし☗2六飛を着手後、藤田さんは、定跡最前線の☖5二王を指す気がしてきた。藤田さんは現在も竜王戦や棋聖戦の観戦記者を務めており、その辺のじ事情には詳しそうである。
まずい…。これではこちらが研究で負けてしまう。
果たして藤田さんは☖5二王。やっぱり…。クサッたが、私は新山崎流に構え、攻勢を取る。しかし藤田さんの指し手は的確で、徐々に私の模様が悪くなった。
ここで中盤の一場面の駒の配置を記す。
先手・一公:2九飛、3四歩、3八金、4七歩、4八銀、5七歩、5九玉、7七歩、7八金、8八銀 持駒:角、桂、歩…
後手・藤田さん:2一桂、2五歩、3五飛、3六歩、4四銀、5二王、5四角 持駒:桂…
☖3六歩の存在が大きく、後手優勢。ここで私は☗4六歩と突き、次の☗4七桂から☗2五飛を目指したが、よくなかった。すかさず☖6五角と覗かれ、ナナメのラインが受けにくい。
私は読み筋とばかり、文字どおりノータイムで☗4七桂と切り返したが、構わず☖同角成と切られ、☗同金に☖5五桂とされては、収拾がつかなくなった。以下は受けても一手一手なので、私はここで投了した。
あー、☗4七桂では☗5六桂だったか。もし☖5五銀なら、☗2五飛の十字飛車が爽快だ。それなら後手も自信がない、という藤田さんの感想を聞いて、私は
「うわあああああ!!」
と叫んで、席を立つ。
しかしいま冷静に考えると、☗5六桂~☗4四桂と銀を取っても、☗2九の飛車取りが残るから忙しいし、左辺の壁もひどい。☗5六桂でも、やはり先手の容易ならざる形勢だったようだ。
しかし対局時は、模様がよくなった将棋を一瞬でダメにしたとの思いが強く、気持ちの整理がつかなかった。そしてこのあとの対局で私は、ヒドイ将棋を指すのである。
(つづく)
7日(月)は、LPSAマンデーレッスンS・スピンオフ「ジャンジャンマンデー」に行った。この日は第1期の最終3日目。最多勝、最高勝率、最多対局の各賞が決まる、重要な1日だった。
部員も10名前後が集まり、午後6時、今回の部長・Sa氏の開会の言葉で、対局が開始された。
私の第1局目はミスター中飛車氏と。ここまで私の戦績は6勝2敗。三賞すべてに射程圏内に入っており、もう負けられぬところである。
私の居飛車明示に、中飛車氏は両方の銀を上がる。中飛車氏とはこれが4局目だが、過去3局はいずれも中飛車氏の普通中飛車だった。今回は中飛車氏の矢倉志向か…? と思いきや、中飛車氏はツノ銀にしたあと、けっきょく中飛車に振った。私は一段玉だから意表を衝かれた形だが、中飛車氏も居玉だ。
私は☖7五歩と仕掛けたが、やや無理気味。しかし中飛車氏の攻め急ぎがあり、居玉も祟って、私がきわどく勝利を収めた。
続いては将棋ペンクラブの若手幹事、Hak氏と。Hak氏は努力家で、会社の行き帰りに電車の中で詰将棋を解き、小冊子を読んで勉強している。しかし棋歴が浅く、私とは若干手合いが違う。何か駒を落とすべきではないだろうか。
それを松尾香織女流初段に申し出たら、「ジャンジャンマンデーは原則的にオール平手だから…」と言われてしまった。Hak氏も平手を所望したので、振り駒をし、私の先手番になった。
将棋は私の居飛車明示に、Hak氏の四間飛車。☗5七銀左から☗3五歩と仕掛け、よくある展開になったが、私が☗2四歩の突き捨てを怠ったため、指しにくくなった。
元女流棋士の藤田麻衣子さんが見える。思わず「師匠!」と叫んでしまった。師匠は前週の金曜日にも見えたが、そのときに今回の参加を表明していた。藤田さんは昨年3月に現役を退き、LPSAも退会したが、将棋への熱意は変わっていないようである。
私は桂損を承知で☗3七桂と跳ねる。これにHak氏がひるみ、私の疑問手が好手に変わってしまった。結果は私の勝ち。しかしHak氏は大健闘だった。もう、初段はあるのではないか。
3局目は、藤田さんと。ここまで私の戦績は8勝2敗。藤田さんも含め、残り2局を勝てば、三冠王が見えてくる。これは負けられない一戦となった。
ところで前週の金曜日、藤田さんに
「最近の大沢さんのブログは品がありません。あれではほかの人に勧められません」
との苦言を頂戴した。私はヒトの意見でブログスタイルを変えるつもりはないが、師匠の意見は千金の重みがある。少しは大人しいブログにしようかなとも思う。
藤田さんとの対局は、藤田さんが退会直前に、江東区のイベントで教わって以来だから、1年振りになる。戦績(平手)は私の5勝7敗。しょっぱなからの5連敗が痛かったが、その後はよく盛り返したというべきだろう。
将棋は私の横歩取りに、藤田さんの☖8五飛(中座飛車)戦法となった。藤田さんは居飛車急戦が得意で、LPSAで現在この手を指すのは中井広恵女流六段と石橋幸緒天河のみ。LPSAは貴重なキャラクターを失ったと、あらためて感じる。
私は☗2六飛。ここで後手は☖4一王だろうから、私は角を換わって☗9六角を指すつもりだった。現在男性プロ間では、この手では先手不利と結論が出ているのだろうが、それは「わずかながら」の但し書きがつく。☗9六角からの手将棋は、先手も指せる、が持論である。
しかし☗2六飛を着手後、藤田さんは、定跡最前線の☖5二王を指す気がしてきた。藤田さんは現在も竜王戦や棋聖戦の観戦記者を務めており、その辺のじ事情には詳しそうである。
まずい…。これではこちらが研究で負けてしまう。
果たして藤田さんは☖5二王。やっぱり…。クサッたが、私は新山崎流に構え、攻勢を取る。しかし藤田さんの指し手は的確で、徐々に私の模様が悪くなった。
ここで中盤の一場面の駒の配置を記す。
先手・一公:2九飛、3四歩、3八金、4七歩、4八銀、5七歩、5九玉、7七歩、7八金、8八銀 持駒:角、桂、歩…
後手・藤田さん:2一桂、2五歩、3五飛、3六歩、4四銀、5二王、5四角 持駒:桂…
☖3六歩の存在が大きく、後手優勢。ここで私は☗4六歩と突き、次の☗4七桂から☗2五飛を目指したが、よくなかった。すかさず☖6五角と覗かれ、ナナメのラインが受けにくい。
私は読み筋とばかり、文字どおりノータイムで☗4七桂と切り返したが、構わず☖同角成と切られ、☗同金に☖5五桂とされては、収拾がつかなくなった。以下は受けても一手一手なので、私はここで投了した。
あー、☗4七桂では☗5六桂だったか。もし☖5五銀なら、☗2五飛の十字飛車が爽快だ。それなら後手も自信がない、という藤田さんの感想を聞いて、私は
「うわあああああ!!」
と叫んで、席を立つ。
しかしいま冷静に考えると、☗5六桂~☗4四桂と銀を取っても、☗2九の飛車取りが残るから忙しいし、左辺の壁もひどい。☗5六桂でも、やはり先手の容易ならざる形勢だったようだ。
しかし対局時は、模様がよくなった将棋を一瞬でダメにしたとの思いが強く、気持ちの整理がつかなかった。そしてこのあとの対局で私は、ヒドイ将棋を指すのである。
(つづく)