一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

新・悪夢の社団戦(3)

2018-07-06 00:08:50 | 社団戦
引き続き3回戦を行う。相手は「白門棋道会3」。ゼッケンは「C」をあしらったものだが、中央大学と関係があるのだろうか、またも若手で構成されている。
私は三たび大将である。ほかのメンバーも同じだ。また七将は女性同士の戦いとなった。
振ってもらって奇数先手となった。▲7六歩△8四歩。私は居飛車党だと思うが、矢倉にすれば急戦で来られるだろうし、角換わりにすれば、△6二金~△8一飛形になるのだろう。そういう流行りの形は指したくないので、私は▲6八銀~▲6六歩から、中飛車に振った。
対して後手氏の対策が奇妙だ。△6三銀~△7三桂を早め、△8一飛と引く。これは糸谷流右玉であろう。
こういう見慣れぬ戦法は、相手が本で勉強しているのに対し、こちらは無策だ。早くも1本取られたが、回避のしようもないのだった。
後手氏の手つきは跳ねるようで、私はカチンとくる。けっこう私は相手の所作にイライラするタイプで、そこで平静を乱し、自滅することが多い。
後手氏は角を1三に上がり△3一飛と振り、3筋から攻める構想。対して私は▲3七金と上がり、▲1六歩~▲1五歩と角をいじめにいくが、△2四角と軽く躱され、アテが外れた。
その後3五の地点で金銀交換になり、指しづらさを感じた。

第1図以下の指し手。▲3二歩△同飛▲3六歩△5八金▲3五歩△4九金▲3八銀△3九金▲4八銀△3八金▲同玉△3七歩(第2図)

第1図では▲4五飛と走りたいが、△5七角成~△3八銀がある。しかも▲4五飛が成りの先手にならないので、私は▲3二歩△同飛とやってから、▲3六歩と打った。
とはいえここは後手の決め所で、△5七角成▲同角△5八金もあり、これでやられたと思っていた。
本譜はたんに△5八金。これも厳しいが私も角を取り、後手氏が△4九金と飛車を取った形が一段金なので、もう少し粘れそうに思った。
しかしその金の取り方がダサかったのか、金銀交換後、△3七歩と打たれてシビれた。

第2図以下の指し手。▲3七同銀△4六銀▲4八銀△6九飛▲3六金△8九飛成▲7九金△9九竜▲4五金△4七歩▲4六金△4八歩成▲同玉△9六竜(第3図)

第2図の△3七歩を▲同桂は△6九飛。▲同玉も△6九飛。▲同銀は△5八飛。▲2八玉は△3八飛。どう応じても先手壊滅で、実はこの局面で投げようかと思った。
しかしそれでは相手に、「ちょろいオッサンだった」と嗤われるだけである。しかも舞台は社団戦である。勝敗は個人の問題だけではないのだ。
そこでいま一度考えると、▲3七同銀△5八飛には、▲4七玉でギリギリ耐えている。
私は落ち着いて▲3七同銀と取る。後手氏は読み筋とばかり、△4六銀と打ってきた。これを▲同銀△同歩▲同角は今度こそ△5八飛だ。よって▲4八銀と引いた。このあたり、苦しいながらも私の受けの長所がよく出ている。やはり私は受けの棋風なのかもしれない。
△6九飛には▲3六金と入れた。とにかく、一方的に攻め潰される展開は避けたい。
これで後手氏も攻めあぐねたようである。以下数手進んで▲4八同玉に、後手氏は△9六竜と歩を補充した。これでこちらも一息ついた形で、いよいよ反撃である。

第3図以下の指し手。▲4四歩△4二歩▲4一銀△3一飛▲5二銀成△同銀▲2二角△8一飛▲1一角成△8七竜▲4七金△2七銀(第4図)

右の副将氏は、今度は対振り飛車に左美濃の玉をしっかり7九まで収め、戦っている。これはいい将棋になりそうである。
私は▲4四歩。拠点を作って▲4三銀の狙いだ。ここ、単に▲4一銀より、攻めに厚みが出ると思った。
後手氏は△4二歩と辛抱する。しかし後手はこれで、4筋に歩を打てなくなった。
私はやっと▲4一銀とし、△3一飛には▲5二銀成と金に換えた後、▲2二角と攻めた。
△8一飛に▲1一角成はややソッポだが、相手の飛車を僻地にやりたかったのと、小駒を入手したかった。

第4図以下の指し手。▲8三歩△3六銀打▲7七金△9八竜▲8四香△4七銀成▲同玉△3六金▲5七玉△4五香▲8二歩成△同金▲同香成△同飛(第5図)

△2七銀はボンヤリしているようだが、△3六銀打や△3八銀と絡む狙い。私は目をつぶって▲8三歩と垂らした。これには△同金でこちらが苦しかったが、後手氏は△3六銀打と攻めてくる。
私は▲7七金と入れ、△9八竜には▲8八香も考えたが、それでは後手玉が遠くなる。再び目をつぶって▲8四香とし、後手にプレッシャーを掛ける。果たして、後手氏の動揺がちょっと見て取れた。どうもこの手を軽視していたようだ。
△4七銀成~△3六金には、玉を5八か5七か迷ったが、上部に逃げる味を残して、▲5七玉と寄った。これには△6五桂打の筋があるが、▲同歩△同桂▲同銀で、凌げると思った。
後手氏は意味不明の△4五香だが、私は予定通り▲8二歩成とする。これは駒得の意味もあるが、最終△8二同飛で飛車の横利きが消え、▲2一馬が実現するのが大きい。
この▲2一馬、間接的に相手竜に当たっているのが自慢で、次の▲7五歩が絶品なのだ。
あの悪かった将棋がここまできた。辛抱の将棋がようやく花開いて、私の名局になるのではないか。今日この将棋が指せて、本当によかったと思った。
しかしその時、4五香がタダなのに気付いた。…この香は、さっきからタダだったのか?
こちらを取る手もあるか?
どちらを取ってもよさそうで、私は混乱した。

(つづく)
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