6月2日(土)は埼玉県川口市の「大野教室」に行った。今回も「4時から男」である。
入場すると、大野八一雄七段の多面指しが行われていた。奥の和室は自由対局で、Tod氏やKaz氏、Shin氏の姿があった。
しばし待って、Tok氏と対局が付いた。私の飛車香落ちで、今回は氏の希望でチェスクロックを使う。
対局開始。Tok氏は定跡通り、飛車で1筋の歩を換える。▲1四同飛に、私は△2三銀。あぶないようだが、これで飛車が成れないのだ。以下▲1八飛に△1四歩と収めてまずまず。
その後Tok氏は4筋に戦いを求めたが、私も応戦して、下手▲5六銀、上手△3七角・4六歩の形から、△5五歩▲同銀△4七歩成として私の銀得が確定。こうなっては負けられないと思った。
その後私は△4三歩と銀取りに打ったのだが、次善手だった。ここは強く△6五歩と角取りに突きだす手が正解で、受けのない下手は暴れてくるが、そこで受け切って勝つべきだった(ここはとてもおもしろい局面だったのだが、局面を失念してしまった)。
私は下手の大暴れが恐くて怯んだのだが、正確に読んでいれば恐くない。厳しさが足りなかった。
本譜はTok氏の攻めが続き、私の優位は動かないものの、締まらない展開にしてしまった。結果は私の勝ち。
終局後Tok氏が
「私は上手が攻めてくるのを待って、そこで駒を蓄えて反撃するのが好きなんです」
と言った。
それは上手の戦術なので、そう言われてはこちらも答えようがない。じゃあ今度△3四歩▲7六歩の時、△8八角成▲同銀△6五角とでもやってみようか。
2局目はIi君と指す。私の後手で、中飛車に振った。Ii君は▲3七銀と棒銀の明示。対中飛車に棒銀は割に合わない戦法だと思うが、Ii君は愛用している。
私は5筋不突きの利点を活かして△5四銀と揺さぶることも考えたが、大人しく△5四歩。
しかしこの後Ii君にじわじわ抑え込まれる。私の飛車は3一に移動し、△4二歩の屈伏。△2三金の形もひどく、バカバカしくなって、適当なところで投げた。
感想戦で私が△5四銀の応手を問うと、いくつか変化を述べた後、「▲6六歩」を示され、ひっくり返った。こんな軟弱な手を指してくれるなら、△5四銀と出る価値はあった。
いずれにしても私は、もっと中飛車の指し方を勉強しないとダメだ。
3局目は少年と二枚落ち。私が右金を使って敵角を詰ましたのだが、すぐに角を取ったのはどうだったか。
二枚落ちの上手は右金が命で、実は相手の角より価値が高い。よって、角を取るぞ取るぞと見せかけて下手の失策を待つのがいいのだ。本譜はすぐに角を取ってしまい、味消しだった。
最後は少年が上手玉を詰ましにきた。やや迂回手順だったが、見事に詰まされた。
W氏に勝敗を伝えると、「大沢さん負けたの?」とうれしそうだ。私はまた手持ち無沙汰になったので、少年に泣きの再戦をお願いする。今度はしっかり指して、私の勝利となった。
しばらくして洋室に行くと、W氏が「また負けたんだって?」とニコニコしている。「大沢さんが連敗するなんて珍しいね」
「バカな。2局目はオレが勝ったよ」
少年はすでに帰ったが、W氏が勝敗を聞くと、「勝った」と言い残したという。
これはなかなかおもしろい少年だ。よほどの負けず嫌いか、ウソをつくのに抵抗がないのか。
いずれにしても、もう彼にはひとつも負けられないな。次も全力で勝ちに行く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/cc/19ce1f05a76e53219c0efc6770502bfc.png)
5局目はKob君と指す。私の先手で、相矢倉になった。Kob君は振り飛車党だが、今日は居飛車を指している。子供が戦法の幅を拡げるのは、視野が広くなるからいいと思う。事実、彼に居飛車を覚えられると厄介だと思った。
Shin氏が社団戦に私を勧誘する。
「大沢さんが参加してくれたら、私監督をやりますよ」
ありがたい申し出だが、「○○したら○○する」という条件付きの事柄は、どうなのだろう。
少年は後手番ながら先攻し、私は受け一方の展開。しかしKob君に攻め疲れが出てきて、気が付けば私が受け勝ちの雰囲気である。なおも数手進んで、これは私の勝勢がハッキリした。
しかし優勢の時間が長かったKob君は投了できない。だが私の玉は大海が開けているので、ここまでくれば勝敗は動かない。
しかしKob君は投げない。数年前のNHK杯の、阿部光瑠六段の指し手を見るようである。
いやさすがにそこまでは粘らず、投了した。
敗勢の将棋を諦めないのと、負けの将棋を諦めないのとは、微妙に違う。負け将棋はさっさと投げ、次の将棋にあたるべきだ。
(つづく)
入場すると、大野八一雄七段の多面指しが行われていた。奥の和室は自由対局で、Tod氏やKaz氏、Shin氏の姿があった。
しばし待って、Tok氏と対局が付いた。私の飛車香落ちで、今回は氏の希望でチェスクロックを使う。
対局開始。Tok氏は定跡通り、飛車で1筋の歩を換える。▲1四同飛に、私は△2三銀。あぶないようだが、これで飛車が成れないのだ。以下▲1八飛に△1四歩と収めてまずまず。
その後Tok氏は4筋に戦いを求めたが、私も応戦して、下手▲5六銀、上手△3七角・4六歩の形から、△5五歩▲同銀△4七歩成として私の銀得が確定。こうなっては負けられないと思った。
その後私は△4三歩と銀取りに打ったのだが、次善手だった。ここは強く△6五歩と角取りに突きだす手が正解で、受けのない下手は暴れてくるが、そこで受け切って勝つべきだった(ここはとてもおもしろい局面だったのだが、局面を失念してしまった)。
私は下手の大暴れが恐くて怯んだのだが、正確に読んでいれば恐くない。厳しさが足りなかった。
本譜はTok氏の攻めが続き、私の優位は動かないものの、締まらない展開にしてしまった。結果は私の勝ち。
終局後Tok氏が
「私は上手が攻めてくるのを待って、そこで駒を蓄えて反撃するのが好きなんです」
と言った。
それは上手の戦術なので、そう言われてはこちらも答えようがない。じゃあ今度△3四歩▲7六歩の時、△8八角成▲同銀△6五角とでもやってみようか。
2局目はIi君と指す。私の後手で、中飛車に振った。Ii君は▲3七銀と棒銀の明示。対中飛車に棒銀は割に合わない戦法だと思うが、Ii君は愛用している。
私は5筋不突きの利点を活かして△5四銀と揺さぶることも考えたが、大人しく△5四歩。
しかしこの後Ii君にじわじわ抑え込まれる。私の飛車は3一に移動し、△4二歩の屈伏。△2三金の形もひどく、バカバカしくなって、適当なところで投げた。
感想戦で私が△5四銀の応手を問うと、いくつか変化を述べた後、「▲6六歩」を示され、ひっくり返った。こんな軟弱な手を指してくれるなら、△5四銀と出る価値はあった。
いずれにしても私は、もっと中飛車の指し方を勉強しないとダメだ。
3局目は少年と二枚落ち。私が右金を使って敵角を詰ましたのだが、すぐに角を取ったのはどうだったか。
二枚落ちの上手は右金が命で、実は相手の角より価値が高い。よって、角を取るぞ取るぞと見せかけて下手の失策を待つのがいいのだ。本譜はすぐに角を取ってしまい、味消しだった。
最後は少年が上手玉を詰ましにきた。やや迂回手順だったが、見事に詰まされた。
W氏に勝敗を伝えると、「大沢さん負けたの?」とうれしそうだ。私はまた手持ち無沙汰になったので、少年に泣きの再戦をお願いする。今度はしっかり指して、私の勝利となった。
しばらくして洋室に行くと、W氏が「また負けたんだって?」とニコニコしている。「大沢さんが連敗するなんて珍しいね」
「バカな。2局目はオレが勝ったよ」
少年はすでに帰ったが、W氏が勝敗を聞くと、「勝った」と言い残したという。
これはなかなかおもしろい少年だ。よほどの負けず嫌いか、ウソをつくのに抵抗がないのか。
いずれにしても、もう彼にはひとつも負けられないな。次も全力で勝ちに行く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/cc/19ce1f05a76e53219c0efc6770502bfc.png)
5局目はKob君と指す。私の先手で、相矢倉になった。Kob君は振り飛車党だが、今日は居飛車を指している。子供が戦法の幅を拡げるのは、視野が広くなるからいいと思う。事実、彼に居飛車を覚えられると厄介だと思った。
Shin氏が社団戦に私を勧誘する。
「大沢さんが参加してくれたら、私監督をやりますよ」
ありがたい申し出だが、「○○したら○○する」という条件付きの事柄は、どうなのだろう。
少年は後手番ながら先攻し、私は受け一方の展開。しかしKob君に攻め疲れが出てきて、気が付けば私が受け勝ちの雰囲気である。なおも数手進んで、これは私の勝勢がハッキリした。
しかし優勢の時間が長かったKob君は投了できない。だが私の玉は大海が開けているので、ここまでくれば勝敗は動かない。
しかしKob君は投げない。数年前のNHK杯の、阿部光瑠六段の指し手を見るようである。
いやさすがにそこまでは粘らず、投了した。
敗勢の将棋を諦めないのと、負けの将棋を諦めないのとは、微妙に違う。負け将棋はさっさと投げ、次の将棋にあたるべきだ。
(つづく)