一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「将棋ペン倶楽部」2012年秋・第58号

2012-09-20 00:07:32 | 将棋ペンクラブ
10日(月)、拙宅に「将棋ペン倶楽部」58号が届いた。その内容を紹介する。

表紙「会津東山温泉の旅館」…中原周作

第24回将棋ペンクラブ大賞
大賞選考会、受賞のことば、受賞作紹介、推薦作ひとこと集、など。
「大賞選考会」は、木村晋介将棋ペンクラブ会長、文芸評論家・西上心太氏、所司和晴七段によって行われた。選考過程がキメ細かく記されているので、読者が納得できる。
文芸部門大賞(ノンフィクション)は、「われ敗れたり」を書いた米長邦雄永世棋聖。「受賞のことば」では、後半部分に意味不明の記述がある。将棋ペンクラブにケンカを売っているとしか思えないのだが、あれはどうなのだろう。
「受賞作紹介」は、観戦記は丸ごと再掲されているが、書籍は、内容と著者を紹介しているのみ。以前は本文を何ページか、縮小コピーして紹介していたが、予算の関係か、いつの間にかなくなってしまった。ちょっと物足りない。

愛棋家坂口安吾(下)4…本多俊介
安吾の観戦記などを紹介。筆者は安吾に造詣が深く、各資料を相当読み込んでいる。本作は数年前から断続的に掲載されている。もうけっこうな分量になっているはずで、完結したら1冊にまとめてもらいたい。私が買うかどうかは分からないが。

加藤治郎先生の贈りもの…澤田多喜男
加藤治郎名誉九段と筆者との、指導対局の自戦記。これが指されたのが昭和19年7月。いまから70年近く前の将棋がリアルタイムで蘇る。これが将棋の素晴らしいところ。アマ相手に「お世辞負け」はしない、という加藤名誉九段の姿勢も素晴らしい。

将棋お道具考…北川茂
最近はネット上での将棋がさかんで、そうなると将棋盤・駒一式の道具がいらなくなる、と筆者は危惧する。

日本将棋の起源:二中歴…今泉忠芳

盤と駒による世代間コミュニケーション…三宅英治
ゲーム機で遊ぶより、盤を挟んで対峙し、コミュニケーションを図ろう、と筆者は説く。

まわり将棋…榊原智
息子さんとのまわり将棋。いずれは本将棋を指したいと願う父親であった。

オレたち将棋んゾンビ…バトルロイヤル風間
都合により載せられなくなった没ネタ3本。いずれも羽生善治王位・棋聖が登場しているのは、さすがの存在感である。

第24回将棋ペンクラブ贈呈式は、あす21日(金)、JR四ッ谷駅・麹町出口「スクロール麹町」で、18時30分から行われる。
会費は男性8,000円、女性6,000円。非会員でも参加はOKである。
ヒトの受賞なんかお祝いしたかねえや、といいたいところだが、今年は米長永世棋聖が大賞を獲ったということもあり、行ってお目にかかりたいと思っている。
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偉大なる将棋バカ

2012-09-19 00:49:36 | 愛棋家
Fuj氏が中をパラパラと見せる。見覚えのある文面が並んでいる。しかしモノスゴイ分量だ。これだけの文章を、誰あろう私自身が書いたわけで、それもスゴイことだと思う。
よく見ると、文章のいくつかに下線が引かれていた。これは画面上のブログをそのままプリントアウトしたのではなく、Fuj氏がいったんワードに落とし、気になった箇所に、下線を引いてからプリントしたものらしい。
読者のコメントは基本的に削除しているが、面白いものは残し、自分なりの一言コメントを記していた。何とも手がかかっているのだ。これを制作?するのに、いったい、何時間かかったのだろう。
聞くと、Fuj氏は9日(日)に、テレビの将棋を観たあとから「作業」を開始。最後のコメントを書き終えたときは、翌日の午前4時になっていたという。それまで彼は、私のブログを見続けていたのだ。そしてプリントは翌日、まとめて行った、とのことだった。
それにしても…と思う。Fuj氏がこのブログを愛読しているのは知っている。しかしプリントアウトまでするものだろうか。
例えば、棋士では米長邦雄永世棋聖や渡辺明竜王のブログが有名だが、それをまるごとプリントアウトしたなんていう話は聞かない。それがふつうである。
しかしFuj氏は、その「まさか」をやった。その感覚が、私には理解不能だ。
「だって大沢さん、この前のジョナ研で、私に『まだブログの読み込みが甘い』って言ったじゃないですか。だからまとめて読もうと思って…」
とFuj氏がつぶやく。ああ、そんなことを言ったかもしれないが、それを聞いてブログをプリントアウトして読み込もう、とは誰も思わない。
私としては涙が出そうなくらい光栄なことなのだが、目の前にある印刷物がこの世の物に思われなくて、的確な反応ができないでいた。
「一公の将棋雑記まとめ」は、すでにW氏らに見せていたらしい。反応はみな同じで、「そこまでやるか!?」というもの。W氏によると、Hanaちゃんなどは、目を丸くしていたらしい。まあ、そうであろう。
午後7時15分、私たちはとりあえず、夕食に出た。店は久しぶりに、駅前にある「ガスト」。参加者は大野八一雄七段、植山悦行七段、W氏、Fuj氏、私の5人である。この組み合わせも、最近はなかったように思う。ふだんはここに、Minamiちゃんが入っているのだ。
5人中4人がおトクなセットメニューを頼む。食事を待つ間、食事の間、将棋界の話題は出るのだが、傍らでFuj氏が例の束を取り出し、何かというとブログの話に持っていってしまう。
「大沢さん、ここでこんなことを書いてましたけど、これはどういう意味ですか」
と聞かれても、こんなこと書いたかなあ…と、ポカンとするだけである。一応答えはするが、Fuj氏の熱心さに呆れる…恐れ入るばかりだ。
ところで女流棋士の話になって、大野七段が、室谷由紀女流初段を知らないと言ったのには呆れた。
パーフェクト室谷女流初段は、女流棋界の時代を担うエースである。その彼女を知らないとは…。大野七段が女流棋士に関心がないのは知っているが、ここまで無知だとは思わなかった。
「ムロヤさんとムロタさん?を間違いちゃいまして…」
と大野七段。名前云々より、室谷女流初段の顔を知らない、ということが信じられない。
…と、そのそばから、またもFuj氏がブログネタにすりかえる。
「3時休みにこの冊子を見せようと思ったんですけど、植山先生との将棋をピリピリムードで考えていたんで、声を掛けられませんでした」
「そりゃそうだよ。あの将棋は気合入れてたから」
「何ですかそれ!(苦笑)」
それぞれFuj氏、私、植山七段の言葉だったのは、説明不要であろう。
と笑っているそばから、また当ブログの話になる。
改めて、冊子がモノスゴイ量だ。「数は力」というが、こうやってまとめられてみると、立派な書物に見えるから不思議である。眠いときも、辛いときも、旅行中も、年末年始も、体調が悪いときも、1日も休まず書いてきた。その集大成がここにある。
手前味噌だが、米長永世棋聖や渡辺竜王のブログよりも、面白い自信がある。
しかし…ここまでブログに注力したものを、何か別の物――いまの仕事の知識に替えていたら、私はもう少し親孝行ができたに違いない。その意味でこの冊子は、「現実逃避の産物」と云えなくもなかった。
それはともかく、この冊子を見るFuj氏の眼が、少年のようにキラキラ輝いている。これからはパソコンがなくても、自分の好きなときに好きな箇所を、思う存分読むことができるのだ。それは例えば、DVDのBOXセットを購入したときの満足感、達成感に似たものではなかったか。
先にも書いたが、束には、黄色い付箋がビッシリ付けられていた。Fuj氏はKyoto大学の出身である。この冊子の中に、一流学校に合格するためのノウハウが詰まっている気がする。
テーマ別に分類する。気になった箇所に下線を引く。太線にする。自分なりの感想を書く。付箋を付ける。分からないところは人に聞く…。回答を得れば、メモをする。
W氏が、「何だかきょうは、Minamiちゃんに来てもらいたかったね」と苦笑交じりにつぶやいたが、その通りだと思った。
Fuj氏は言う。
「将棋バカの話が出たとき、私は大沢さんに大駒1枚敵わないと書きました。それはこのブログを読んだからです。ここまで圧倒的なブログを書く人に、私が勝てるわけがありません。私が将棋バカを名乗るのは10年早いです」
しかし私も思う。これだけの分量をワードに落として、それぞれにコメントを書く熱意と根気。私もこれだけのエントリをよく書いたと思うが、Fuj氏の作業は、それに優るとも劣らないものだった。
Fuj氏はまた、
「今年の年末の、『一公ブログカルトクイズ2012』が楽しみです」
とも言った。
冗談ではない。Fuj氏はすでに、答える側から出題する側に回っている。たぶん、私より当ブログが頭に入っているだろう。彼こそが出題者に適任である。
今年の年末は、Fuj氏に枠を差し上げるから、私が唸るようなクイズを出題してもらいたい。
偉大なる将棋バカ・Fuj氏に、乾杯(完敗)。
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三十四たび大野教室に行く(後編)・ためになる自戦解説

2012-09-18 00:05:19 | 大野教室
手合いはもちろん角落ち。私は2筋の歩を切ったあと、棒銀に出て、3筋の歩も切る。しかし△3四歩に▲4六銀と、こちら側に引いたのは失敗だったか。
大野八一雄七段に△3三桂と跳ばれ、△4五歩に▲3七銀と引くようではうまくなかった。
私は矢倉に組んだが、居玉のまま。大野七段に△4四銀と上がられ、5筋攻めを目指され、この将棋も守勢に立たされてしまった。
私は▲7七桂と跳ねて6五で桂交換。しかしその数手後の△9五歩の端攻めが厳しかった。ここからは筋に入ってしまい、もういけない。
私は金桂交換を甘受し粘るが、こういうのは粘りとはいわない。ただだらだらと指しているだけだ。
指導対局を終えた植山悦行七段が覗きに来たが、私が余りにもヒドイ将棋を指しているので、「どういうことですか」と呆れている。私と指しているときのあの強さはどこへ行ったんですか、というわけだ。こちらは返答のしようがない。
△8六歩▲同歩△同飛。ここで▲8七歩と指そうとしたら、△8九角▲同玉△8七飛成▲8八歩△7八金以下の詰みがあった。といってほかに受けもなく、ここで私は駒を投じた。
感想戦では、6五での桂交換後に私が▲6六歩と金を追ったのが最後の失着で、ここは▲6六銀とぶつける一手。△同金▲同角と8四の飛車に当てて、勝負だったという。
たしかに▲6六歩は冴えない手で、これで下手の駒の働きが全部止まってしまった。こんな気合の悪い手を指していてはダメである。
大野七段は多面指しを続けていたが、W氏との飛車落ち戦は、上手がいつの間にか植山七段に代わり、しかも実戦がそのまま感想戦になっていた。
W氏の飛車落ち下手は右四間飛車が定番だが、きょうは三間飛車を指していた。囲いは銀冠だったが、いつも平美濃のW氏がここまで手厚く囲ったのも珍しい。
感想戦では、▲3六歩と突き上げる手を植山七段が推奨していた。
我々アマチュアから見ると、自分の囲いを崩す▲3六歩はなかなか突きにくいが、ここは下手の制空権なので、恐れる必要はないという。
この辺の機微がもう少し理解できれば、下手はもう少し強くなるのだろう。
さてもう一局ぐらい指したいところである。私はHon氏に恐る恐る聞く。前回誘ったらやんわりと断られ、私ひとりが将棋好きにされてしまった。今度は同じ轍は踏まない。
今回はHon氏もOKだった。振り駒で私の先手。私の居飛車明示にHon氏は三間飛車。▲4六歩には△4三金と上がった。藤森奈津子女流四段が得意にしている形で、Hon流でもある。
しかし△4二角から△6二銀と引いたのが不用意で、私が▲4五歩から▲1一角成と労せずして香を取れては、一遍に指し易くなった。
ところが、▲1一馬・2五歩・3六歩・3七銀・4八飛、△2三歩・3二飛・3三桂・3四歩・4三金・6四角…の局面で、私が▲2八飛と回ったのが悪手。
すかさず△3五歩と突かれ、一遍に有利が吹き飛んでしまった。▲6六香は△3七角成▲同桂△3六歩で敗勢。私は▲2四歩だが、△3六歩▲2三歩成△3七歩成に▲2四飛の辛抱がまた疑問手で、これでハッキリ悪くなった。
▲2四飛では当然▲3二とと飛車を取るところ。以下△2八と▲3三とと進めて勝負するのだった。
本譜は以下、Hon氏に緩急よろしく指され、私の完敗。植山七段が見たらまた顔をしかめられそうな、ヒドイ将棋にしてしまった。
植山-W戦?の感想戦も終わったようである。そこで私は植山七段に、先日の王位戦・甲斐智美女流四段との自戦解説をお願いする。私が大野教室で最もためになる勉強、それは指導対局でも感想戦でもなく、棋士の自戦解説だと思っている。
プロが心血を注いで指した対局を、当時の読み筋も交えて再現してくれるのだ。私たちの筋違いの質問にも、丁寧に答えてくれる。アマにとって、これ以上の上達手段があるだろうか。
植山七段が、初手から並べてくれる。男性棋士の読み筋で、最も感心するのは序盤の構想である。何気ない一手に数十分考えて、何をそんない考えることがあるんだと私たちは訝るが、そのヨミを聞くと、なるほどと唸るばかり。私たちと同じ手を指していても、中身がまるで違うのである。当然とはいえ、お互いのレベルの違いを痛感する。
解説は淀みなく続く。途中、植山七段は、「甲斐さんは男性棋士と見紛うばかり。強かったですよ」と何度も口にした。
早いと思われた投了図も、解説をいただくと、納得できるものがあった。
約40分の実戦講義が終わり、植山七段に感謝して、さあ食事をどうしようかというとき、Fuj氏が私に、A4判の束を見せた。
何これ、と表紙を見ると、「一公の将棋雑記まとめ(大野教室編)」とあった。まさか…!? こ、これ、私のブログ記事を、プリントアウトしたものか!?
中を見ると果たしてそうで、用紙の表と裏にびっしり文字が印刷され、その端には付箋がビッシリ貼られていた。これ…大変な作業だったんじゃないか!?
しかもA4の束はそのほかに7つあって、それぞれ「ジョナ研編」「合宿・イベント編」「その他イベント編」「棋友・懇意棋士編」「社団戦編」「主張編」「傑作編」とタイトルが付けられていた。はああーー!?
「『似ているシリーズ』とか旅行記とか、将棋に関係ないものはプリントしなかったんですけど…」
と、何事もなかったようにFuj氏がいう。
何とFuj氏、3年半に亘るこのブログの、将棋に関するエントリを、すべてプリントアウトしてきたのだった。
何だこれ。何だこれ!? 何だこれーっ!!
…私は開いた口が塞がらなかった。
(つづく)
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三十四たび大野教室に行く(前編)・僥倖の勝利

2012-09-17 00:04:26 | 大野教室
きょうは冒頭からクイズ。私は15日(土)に「大野教室」に行ったが、そこでFuj氏にあるものを見せられた。それはA4判の用紙が束になったもので、テーマ別に8つあった。果たしてそれは何か。
ちなみにこれを見せられた私たちは、目を丸くし、呆れ、絶句したあと、Fuj氏に最大級の賛辞を贈ったのである。超難問ではあるが、このブログの読者なら、答えられるだろう。まさか、と思ったそれが答えである。ヒントは、私に関係あり。

というわけで改めて、15日は埼玉県川口市にある「大野教室」に行った。午後1時45分に入ると、講師の大野八一雄七段が、Fuj氏、Ii君、Sa君に指導対局を行っていた。ほかにスタッフのW氏。
奥の部屋では、特別講師の植山悦行七段がHanaちゃんに指導対局を行っていた。
まずは植山七段に教えていただく。
「手合いは?」
「角落ちでお願いします」
「グフフ」
という挨拶代わりがあって、対局開始。私の居飛車明示に、植山七段は素早く右銀を繰りだす。私は居玉のまま突っ張った。しかし植山七段に8筋を破られそうだ。私は玉の薄い将棋は得意ではないが、植山七段との指導対局では、よくこんな展開になる。
大野七段との対局を終えたSa君、Ii君が入ってくる。いつの間にかこちらのほうが、局数が多くなってしまった。
私は▲2五飛と浮き、▲7六銀と耐える。このとき上手の8筋は△8二飛・8六銀。下手は▲7八金・8八角・8九桂というところ。ここで植山七段は△7七歩。▲同桂の一手に△同銀成▲同角△8九飛成▲6九銀。
ここで△8六桂▲6八金△7八歩なら下手負けと読んでいたが、植山七段は△7三桂と味よく跳んだ。
私は△8五桂を防いで▲8六歩。これを植山七段は軽視していたようだ。けっこう植山七段が苦考しているので、これは下手悪くないのかと思い始めた。
右で指しているHanaちゃんは相変わらずの「Hana攻め」。私には通用するが、本局は相手が悪い。ガリガリ攻めているが、植山七段にいなされている。ついに自陣の美濃囲いに手がついた。
植山七段が中座したとき、Hanaちゃんは▲4四金。すでに敗勢だが、さらにココセが出た。△4四同銀が、自動的に△1八金▲同香△同歩成▲3九玉△2八銀までの詰めろになってしまう。
植山七段が戻ってきて、△同銀。ここでHanaちゃんが投了した。感想戦では、植山七段の丁寧な講義があった。これがすこぶる勉強になるのである。
Hon氏が来たようだ。きょうはこの7人で終わりそうである。土曜日にしては、ちょっと少ない。世間では3連休だが、それと関係があるのだろうか。
私は▲3五歩と桂頭を攻める。是非ない△4三金に、▲3四歩△同金▲2六桂△3五金▲3四歩△4二銀▲4四角△4六金▲4三歩△同玉▲3五角。
ここで植山七段は△4八歩と手裏剣を放ってきた。前局も4筋の歩が切れ、△4八歩の痛打を喰らった。指導対局で勉強になるのは、上手の歩の使い方である。たかが歩、されど歩。上手の手にかかると、たった1歩でも、死命を制すほどの強力な武器になる。
ここで3時休みになったが、私は盤の前を離れられない。お菓子も口にせず、こんこんと読み耽る。その局面が下である。

上手(角落ち)・植山七段:1一香、1三歩、2三歩、3三桂、4一金、4二銀、4三玉、4六金、4八歩、5四歩、8九竜、9一香、9三歩 持駒:銀、歩4
下手・一公:1七歩、1九香、2六桂、2八飛、2九桂、3四歩、3五角、4九金、5七歩、5九玉、6五銀、6九銀、7四歩、7八金、8六歩、9七歩、9九香 持駒:桂、歩3

再開後の指し手。▲4四歩△3二玉▲3三歩成△同銀▲4八金△7七歩▲同金△6八歩▲同玉△6七歩▲同金△8八竜▲7八桂△6六歩▲同金△4五金▲5四銀!△3五金▲4三歩成△2二玉▲3四歩△2四銀▲3三歩成(恥のやり直し)△同銀▲同と△同玉▲3四歩△4二玉▲4三歩 まで、一公の勝ち。

私はハッと我に返り、お菓子を食べつつ考える。本局の私は、けっこう気合が入っていた。
大野七段が様子を見に来たが、口出しはせず退室した。
約30分経って、再開。私はとりあえず▲4四歩。これには△5二玉や△5三玉もあるが、植山七段は△3二玉。私は桂を取って▲4八金と戻したが、この瞬間△7七歩が飛んできた。全然考えてなかった手だ。以下歩の連打で踊らされて、△6六歩。これを私は▲同金と取ったが、▲4六角と金を取ったほうが分かりやすかった。
本譜は△4五金と粘られ、めんどうなことになった。
こんなところで角を逃げていたら勝てない。私は▲5四銀と出る。△3五金に、▲4三歩成~▲3四歩。しかし△2四銀(△4二銀もあったと思う)と上がられ容易でないことに気付き、▲3三歩成の指し直し。植山七段が苦笑いをした。しょせん私は、高島弘光八段にはなれないということだ。
私はふつうに銀を取り、再び▲3四歩。△4四玉は▲5五銀で詰む。これは▲6六同金が生きた形だ。よって▲3四歩には△2四玉とされたら分からなかったが、植山七段は△4二玉。私は▲4三歩と叩く。この歩をしばらく眺めること数秒、植山七段が投了した。
「▲1四桂がピッタリで…。その手は指させたくないもんね」
投了以下△3二玉は▲3三銀△3一玉▲1四桂△同歩▲2三飛成で上手玉は必至。下手玉は詰まない。
終盤は負けにしたかと観念したときもあったが、何とか残した。しかしこの将棋、精査すれば、下手が負けていたように思う。
指導対局において、下手が終盤まで善戦すると、そこから下手が多少ヘマをやっても、「ここまで巧く指したのだから」と、上手が勝ちを譲ってくれることがあるような気がする。とくに植山七段に多い気がする。
感想戦。私は、△7三桂で△8六桂を恐れていたというと、それはのちに▲8五飛と回る手があり、優劣不明とのことだった。ただ、△8六桂には▲同角と取るつもりだったので、それなら私が負けていただろう。いずれにしても、僥倖だった。
自由対局では、Fuj氏とHanaちゃんが対局中である。私は次に、大野七段に教えていただくことになった。
(つづく)
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LPSA芝浦サロン・島井咲緒里女流二段3・「PJ」の話を添えて

2012-09-16 02:04:38 | LPSA芝浦サロン
「PJ(ピーチ・ジョン)」2012年夏号を買いそびれていたので、8日深夜、先月発売の秋号とともに、amazonで購入した。購入に勇気が要る「PJ」だが、こうして入手すれば、わざわざ本屋へ行くこともなく、本屋のレジで女のコに胡散臭い眼で見られることもなく、しかも送料もかからないので、いいことづくめだ。
しかしそれでいいのだろうか、と自問するところもある。もっと堂々と、本屋で購入すればいいじゃないか。と、もうひとりの自分が囁くのだ。
「PJ」の購入方法は、今後の課題としたい。
さて2冊は10日に届き、まず夏号のほうを、12日深夜に鑑賞した。
表紙はローラだが、巻頭特集は道端アンジェリカだった。ブルーのランジェリー姿は、JR秋葉原駅構内の大看板で見た記憶がある。彼女の登場が14ページ。さらに後半、別の特集にも登場して、やはり14ページ。裏表紙にも彼女が載っていて、夏号はさしずめ「アンジェリカ・ワールド」だった。これはアンジェリカファンの私にとって、堪えられない編集だった。
しかしひとつ気になったことがある。道端アンジェリカは、お腹にホクロが2つあるのだが、夏号ではそれが、デジタル処理で消去されていた。
ホクロも立派なカラダの一部である。最近はCGが横行していて、どれがウソかどれがホンモノか、判らなくなってきている。せめて女性のカラダぐらい、ナチュラルにしてもらえないだろうか。
いや…。ひょっとしたら、ホクロをレーザー除去したのかもしれない。もしそうなら、それは大悪手だ。
南野陽子の口元のホクロがチャームポイントであるように、ホクロも魅力の一部なのである。道端アンジェリカのお腹のホクロがなくなったら、それは道端アンジェリカではない。
それはともかく、このところ道端アンジェリカの登場数が激減していたので、正直、このままフェードアウトしてしまうのかと思っていた。しかしそれは杞憂だったようである。今後の彼女の活躍を期待したい。
なお「秋号」鑑賞は、後日の楽しみにする。

いまさら…という感じだが、昨年2月25日(金)、LPSA芝浦サロンにて島井咲緒里女流二段(当時女流初段)に教わった将棋を振り返ってみたい。
この日は午後6時前にサロンに入ったが、中井広恵女流六段と植山悦行七段がいたので驚いた。ドイツ人の盟友・フランクさんをサロンに招待したもので、植山七段はもちろんだが、フランクさんとの久しぶりの再会に、私の感激もひとしおだった。なお、私が大野教室に通い始めるのはこの直後、3月からになる。
ほかにはW氏、Y氏、Fuj氏ら。あとからKun氏も来た。私も含めたこのメンバーが、芝浦サロンで一同に会することは、もうない。
島井女流二段と対局。右ではW氏が指導を受けていた。これも今後、見られない光景だろう。もちろん「チョコレート勝負」の一局である。
▲7六歩△3四歩▲2六歩。ここで島井女流二段が長考して、△3二飛。これは珍しい。
指導対局のようなお気軽将棋?において女流棋士は、自分の得意形を指すか、別の戦形を試してみるか、の2つに分かれる。島井女流二段はどちらかといえば前者だが、本局はちょっと趣向に出た。
ちなみにジョナ研メンバーで「得意形」の代表はKaz氏、「チャレンジ形」はKun氏だろう。私はどちらかといえば、後者に属する。
△3二飛には▲2二角成△同銀▲6五角△7四角▲同角△同歩▲7五歩、もあるが、私は大人しく▲4八銀。
島井女流二段が、
「きょうは棋譜ノートはないんですか?」
と私に聞く。
指導対局を受けながら棋譜を付けるのは、ヨミが分断化される。そのため、私はこの何か月か前から、棋譜は紙キレに付け…つまり走り書き程度にして、帰宅してからノートに清書するようにしていた。
島井女流二段は16手目に角を換えた。私は▲同玉~▲7八銀~▲6七銀~▲7八金と囲いを構築する。島井女流二段は高美濃囲いに組んで△2二飛。
私は▲3六歩と1歩の入手を図るが、島井女流二段は、簡単に歩交換はさせませんよと、躊躇しながら△3四銀と立つ。しかしこれが大悪手だった。
私は▲5六角! これで△3四銀がどうにも助からない。△3四銀と指すときの島井女流二段のイヤな予感は、正しかったのだ。
島井女流二段は仕方なく△3二飛だが、▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲3四飛と労せずして銀得しては、早くも私の勝勢になってしまった。
そして終盤、▲6三桂が決め手。△同金ならもちろん、▲6一馬△同銀▲同飛成で下手勝ち。
島井女流二段は△8五角だが、▲7一銀△9二玉▲6二銀成まで、私の勝ちとなった。67手の短手数だった。
島井女流二段は上位陣にも一発入れる実力者だが、指導対局では、あれっ? という底抜けの手を指すことがある。このあたりが、私がいまひとつ島井女流二段を信用できない理由である。
なおこの日の島井女流二段は髪を切って、いっそう魅力的だった。この日私は、心の中で島井女流二段を「女流棋士ファンランキング」の1位とした。
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