一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

冬の北海道旅行2016(3)

2016-02-19 22:56:17 | 旅行記・北海道編
旭川冬まつりの歴史上、最も観客を集めたのは、数年前に来旭した小島よしおだろう。海パン一丁でパフォーマンスをやるのかと注目が集まり、この広い湖畔会場が人、人、人で埋め尽くされた。
今年はその時ほどの混雑ではないが、それでも大変な人出だった。
然るにとにかく明るい安村は、何と服を着ていた。正確に書けば、オーバーを着ていた。横に進行役と思しき人がいて、トークショーの趣になっていた。
しばらく経つととにかく明るい安村にラーメンが供され、彼が美味そうにズズズとすする。
…何じゃこりゃあ!?
私は服を着たとにかく明るい安村を見に来たのではない。裸のとにかく明るい安村を見に来たのである。それなのに服を着てトークショーで間を持たせ、ラーメンをすするなど期待外れもいいところ。あれじゃ堤下と見分けがつかないではないか。
どうもこれは、ラジオの公開録音だったようだ。…なるほどこれなら、着衣もやむを得ないか。ちなみに12時の回はオープニングセレモニーで、とにかく明るい安村の旭川観光大使委嘱式があった。ああ、特急を使ってでも、こちらを見るべきだった…。
ところで湖畔会場に来れば、必ず寄る古本屋がある。さっきバスで通った時は閉まっているふうだったが、どうか。
入口の付近では、北方領土の署名活動を行っていた。私も記帳し、ティッシュをいただく。これが正常で、昨日の深川の粗品が豪華すぎたのだ。
念のため古本屋に出掛けると、案の定シャッターが下りていた。
まあよい、再び会場に取って返し、本格的に雪像の鑑賞である。旭川冬まつりはここ何年か、大雪像のキャラクターと提携してイベントを行っている。今年は旭川独自のキャラクターらしい。
中雪像のある1基もそのキャラだったが、五郎丸の例のポーズをやっていた。雪まつりは前年話題になった人物がモデルになるのが慣例だが、今年は札幌でも五郎丸関連がありそうである。
ステージ横では、今年もミニ列車が運行されている。今年は北海道新幹線が開通するので、その看板が出ている。私も列車に乗りたいが、私の年齢ではムリだ。
ステージの向かいは冬マルシェが開かれている。昔は食事処も少なかったが、ここ何年かは出店が飛躍的に増え、賑やかになった。ただ、さっぽろ雪まつりもそうだが、食事処が派手になるのは雪まつりの雰囲気が薄れ、私はあまり好きではない。
その一角にとにかく明るい安村のブースがあり、観光客が列を作っていた。ここは後で入る。
私は隣接する常盤公園に向かう。昔はここも冬まつりの一部で、大氷像がメインだった。広場ではイベントも行われていた。無料休憩所もあり、たいそう賑わっていたものだ。
それが年を追うごとに規模は縮小され撤退となり、いまは見る影もない。
常磐公園内には市立美術館があり、この入館も楽しみのひとつである。ところが、今年は休みだった。土曜日を休館にするココロが分からないが、拍子抜けした。
湖畔会場に戻ると、meecoという歌手がミニコンサートをやっていた。ステージでは何かしら催し物をやるのがよい。ここが閑散としていると、辺りが沈黙していけない。
私はマルシェ内にある藤城製麺で、たぬきそばを食べる。製麺所だけあって300円と安くて、美味い。去年、おととしは400円に値上げたが、今年元の値段に戻ったのがありがたかった。
2時半からは敦賀はるきのピアノ弾き語り。元は女性だが現在は男性という、異色の経歴だ。声がハスキーで、いい歌だった。
3時からは大野英二歌謡ショー&元祖スコップ三味線「無弦」のステージだ。これをけっこう楽しみにしていたのだが、スコップ三味線は、若干…期待外れだったか。ちょっと、平均年齢が高かった。
買物公園通りに向かう。ここ何年か、贔屓にしている蕎麦屋があり、ここに寄るのも定跡だ。
その前に例の古本屋に寄ると、店を開けていた。私は入店し、買わずもがなのマンガを買う。これも年中行事のひとつだ。
買物公園通りの入口に着いた。…が、蕎麦屋を通り過ぎてしまった。?? 威厳のある和風の建物が、ない。確かこのあたりだったはずだが…。
これはまずいパターンである。鹿児島の山ちゃんラーメンや釧路のラーメン屋の再現か。ここも、廃業してしまったのだろうか?
私は辺りを行きつ戻りつするが、やはり、ない。この新築のビルがそうか、その横の空き地がそうか。
実は旭川で馴染みの蕎麦屋がなくなったのは、これが初めてではなく、3軒目だ。いずれも廃業らしく、そのたびに私は新規を開拓して、確か2年前にこの蕎麦屋にたどり着いた。それなのに…。
私はボウ然として、買物公園通りに入る。ここでは氷彫刻世界大会が11日まで催される。これも毎年の楽しみなのだが、たしか昨年から、市民に制作過程を見せたいということで、会期中の氷像制作になった。そのあおりを食って、私は昨年、完成品を観られなかった。
今年もイヤな予感がしたのだが、案の定、氷像はなかった。今年は昨年よりひどく、各スペースに太い氷がデンと置かれているだけだった。昨年は開催2日目だったが、今年は初日にお邪魔したから、こんな事態になったのだろう。
何だか立て続けに落胆があって、一気にテンションが下がってしまった。
時刻は3時50分である。夜の冬まつり会場も楽しみたいが、いっそのこと小樽に行っちゃおうかと思う。特急電車は利用しないが、今から札幌行きの高速バスに乗れば、「小樽雪あかりの路」に間に合いそうだ。
私は中央バスターミナルに向かった。
(つづく)
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冬の北海道旅行2016(2)

2016-02-18 12:56:22 | 旅行記・北海道編
(15日のつづき)
島式ホームに戻ると、彼方に上り列車が見えた。ほかの旅行者はそろってカメラを構え、さしずめミニ撮影会だ。ちょっと異様な光景ではあるが、その中に身を投じている自分が誇らしくもある。
キハ40は線路の見えない路面をシュルシュルと入線する。私たちは撮影開始。車輪がズズズと粉雪を押しやり、無事に停止した。おおぅ…。さすがに北海道の車両だ、頼もしい。
私たちは大いに満足し、下りの車内に戻る。再び超ローカル線の旅が始まり、09時28分、列車は新十津川に着いた。
札幌では雪がなかったが、この辺りはドカ雪である。駅舎は例年とと変わらぬ風格を漂わせており、感激である。舎内には旅ノートが置かれており、私は署名をした。



もっとのんびりしていたいが、新十津川役場前から滝川行きのバスがすぐ出るので、バス停に向かわねばならない。

バスは9分遅れの09時50分に到着し、すぐに出発。なお、運転手さんは女性だった。
旭川の冬まつり会場に昼頃着くには、10時22分滝川発の特急スーパーカムイに乗らねばならないが、自由席でも2,200円は、バカ高くて利用できない。とにかく明るい安村は12時、午後1時と2回登場するから、後のほうに間に合えばいい。
そこで普通列車を見ると11時55分発があったが、そこまで待つくらいなら、滝川(バス)ターミナルから深川→旭川とバスを乗り継いだほうがいい。
しかし現状はバスが遅れを回復していないので、このままだと10時00分滝川ターミナル発のバスに乗れない。
焦った私は運転手さんに質し、滝川の1つ前、NTT前のバス停で降ろしてもらった。深川行きのバスが、ここを通過するからである。
深川行きの空知中央バスも2分ほど遅れており、私は無事乗ることができた。しかし、車内の乗客はゼロ。路線バスの閑散ぶりは鉄道以上だ。
空は快晴になり、快適なバス旅である。ただ冷静に考えたら、路線バスで旭川に行くのは時間がかかるばかりか、意外におカネもかかるのだった。
これなら滝川周辺の観光をしながら11時55の普通列車を待つ方がベターだったが、もう後戻りはできない。結局、こういう行き当たりばったりの旅をしていると、最終的には損をする。やはり事前に計画を立てておいたほうがよいのだ。
11時20分ごろ、深川十字街着。接続は11時46分の旭川行きバスだが、その後から出るJRの普通列車のほうが料金が安く、到着も早い。ちなみにこれは、滝川を11時55分に出る、例の列車である。
まったくいまいましいが、やはりJRを使うしかない。とりあえず駅に向かうと、商店の窓ガラスに、「ふかがわ氷雪まつり」のポスターが貼られていた。
この時期の北海道は「犬も歩けば雪まつりに当たる」状態だが、深川にこんな祭りがあるなんて知らなかった。しかも今年で47回目である。これは行くしかない。
店の人に聞くと、会場はここから近いらしい。数分歩くと、とある神社の敷地内に、まつり会場があった。
正面奥に大雪像が作られ、女性司会者の進行でゲームが行われていた。
ステージからみかんを放るのだが、その中に当たりクジが入っていて、それで景品をもらえるらしい。文字通り、ローカル色満載のゲームである。
その手前には市民の手作りと思しき中雪像が数基。さらに氷像も数基設置されていた。小さいながらも市民のやる気が感じられる。
傍らには、食堂街も設えられていた。その中に「北方領土返還署名」のブースがあった。札幌や旭川の雪まつりでお馴染みのやつだ。記帳すると、粗品をくれた。ポリ袋の中にはレトルトの白がゆ3食分、ボールペン、ティッシュと、こんなに入っていた。名前を書いただけなのに過分な礼をもらい、こちらは恐縮するしかない。
うどん屋があったので、かけうどんを注文する。300円は市民価格でありがたい。しかもおまけでミルクせんべいまでくれた。今日最初の食物は、あつあつで美味かった。
早足で深川駅に向かう。と、名寄行きのJR深名線バスが目の前を通り過ぎていった。行程に余裕があれば乗りたかったバスだが、今回は見送るしかない。
深川駅に着いた。旭川へは12時04分の列車と認識していたが勘違いで、12時14分発だった。このロスも小さくないが、しょうがない。
駅構内の一隅では、地元の方が、牛乳の無料サービスを行っていた。私は無料大好きなので、1杯いただく。牛乳は地元深川産で、コクがあって美味かった。
「もう1杯いかがですか」
とおじさんが言う。所望する人が少ないようで、ステンレス製の鍋には牛乳がなみなみと残っている。改札待ちの乗客はいるのに、誰も手を出さない。これがさっぽろ雪まつりだったら、行列ができている。人の心理はかくもおもしろい。
その対面にあるKIOSKに貼り紙があり、「2月15日で閉店します」とあった。
店のオバチャンに聞くと、北海道にある主要駅のKIOSKが、親会社の意向で順次閉店するという。
「去年の11月には○○と遠軽がなくなりました」
「おおぅ、そうですか」
「○月には○○と○○のKIOSKもなくなります」
「そうですか、私も何度かここを利用していたので、残念です」
実は利用したことがないのだが、一応話を合わせる。
「私もここに20年務めたからね」
「……」
あんたの顔は知らない、とオバチャンの顔が語っていた気がする。
12時14分の列車が遅れている。私は暇を持て余し、もう1杯牛乳をもらった。
無料サービスてんこ盛りの深川に感謝し、私は13分遅れの列車に乗った。
旭川には定刻を15分遅れの12時54分に着いた。しかしこの遅れは致命的で、午後1時からのとにかく明るい安村のイベントに間に合わなくなった。
駅前から無料シャトルバスが出ており、ちょうどバスが来たので、乗った。車内は満員で、やはり外国人が多い。
買物公園通りを横切り、1時15分ごろ、旭川冬まつり湖畔会場に着いた。
ステージ前は黒山の人だかりで、とにかく明るい安村の声がした。まだ出演していたようだ。注目の大雪像は、何かのキャラクターだった。私は黒山の後方からとにかく明るい安村を窺う。その姿が、私の予想とかけ離れたものだったので、私は唖然とした。
(つづく)
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16日の朝方に見た夢

2016-02-17 00:06:48 | 
16日の朝方に見た夢を記しておく。

私はどこかの街にいた。建物から考えるに時代は大正末期か昭和初期で、網走番外地の雰囲気があった。
私はどこかで行われる演劇に出演する。しかし台本はまだ配られておらず、内容は分からなかった。
劇場の集合時間は午後1時だが、今12時49分。劇場へのメモは簡易的なものしかなく、近くの店に入って場所を聞いたがみんな分からない。ようやく場所が分かる人がいて、事なきを得た。
この辺りから「私」がT倉健に変わって、それを私が神の目で見るという形になった。
劇場に着いて台本をもらうがそれはペラもので、自分のセリフが書かれている1ページ分しかなかった。けどセリフはビッシリで、それをこれから憶えるから大変だった。
今回の劇はダブルキャストである。T倉健のもう一方は、パンクブーブーの佐藤哲夫が務めていた。
大通りに面して掘っ立て小屋があり、そこがT倉健の仕事部屋だった。表には人が歩いているが、まさか中に彼がいるとは思わないから、誰も関心を示さない。
掘っ立て小屋の裏側は全面ガラス張りで、強烈な陽が射していた。
相方の吉田羊が読み合わせに協力してくれた。自分のセリフは完璧に憶えていないが、吉田羊の話に合わせると何とか出て来た。ただ、松阪牛や淡路島牛?などの固有名詞は、憶えるのに時間がかかった。
劇場らしきところの裏口に戻ると、T倉健の影武者がタクシーの近くにいて、その近くに吉田羊もいた。そこにT倉健が戻って来て、タクシーの運転手に100万円を渡したところで、何となく夢が覚めてしまった。

私の夢はいつも脈絡がないが、今回の夢はストーリー性があって、とても面白かった。
なお、今回登場の俳優陣にも、ギャラは払いません…。
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イチヨの金・2

2016-02-16 00:10:09 | 女流棋士
里見香奈女流名人と清水市代女流六段の女流名人戦五番勝負。清水女流六段が初戦に勝った時は、おおっ、と次局に期待を抱かせたが、第2、3局を里見女流名人が連勝してみると、やはり里見防衛か…という雰囲気が漂った。
そんな中、14日に第4局が行われた。
午前10時過ぎにスマホを繰ると、相居飛車になっていたのでビックリした。
後手番の里見女流名人が居飛車を採択したわけだが、タイトル戦という重要な場で用いるとは、大胆不敵である。芸域を拡げようの意だろうが、私がその立場だったらとてもできない。
もっとも里見女流名人は、グローバルな視点で将棋を捉えている。居飛車の指し方を体得することが、のちの将棋に大きく活きると見ているのだ。居飛車党の女流トッププロは絶対数が少なく、本局の相手に不足はない。防衛に若干の余裕がある本局が、絶好の機会だったのだろう。
清水女流六段は右玉に構えていた。これが清水女流六段、裏の十八番で、2003年8月21日に指された第52期王座戦一次予選、金沢孝史四段(当時)との一戦では、右玉(△6二玉)に構えた清水女流六段の作戦が秀逸で、仕掛けの前なのに、金沢四段に「投了も考えた」と言わしめたほどだった(結果は金沢四段の勝ち)。
それなのに、里見女流名人の指し手が雑だった。手順を尽くして角を得したものの、急所に作られたと金が大きく、早くも敗勢となってしまった。
実は私も昔、ソフト相手に似たような筋で快勝したことがある。「と金>角」の公式が成立する稀有なケースが、ここでも当てはまったのだ。
清水女流六段は銀桂を取って駒損を回復し、と金も残った。ネット解説では、「先手勝勢」の声も出た。
しかし将棋は勝ちになってからが大変だ。清水女流六段は百戦錬磨の手練れだが、里見女流名人も現役奨励会三段の信用がある。簡単には終わらないと思った。
数手進み、清水女流六段の▲2九飛が意外だった。敵玉に狙いを付けた手だが、玉飛接近にもなっている。流れ弾に当たらないかと心配になったのだ。ちなみにここ、清水女流六段の持駒に金があったなら、▲5七金と打ちつけただろう。
里見女流名人は△4二金引と辛抱する。悪くなると動きたくなってしまうが、また来る春を楽しみに堪える。この姿勢が参考になる。
清水女流六段▲7四との催促に、里見女流名人は角を切り、返す刀で△5五歩。これを▲同歩だと、△7八角や△5六角がある。私だったら慌てるところである。
ここで清水女流六段は▲7七金! 里見女流名人は△5六歩と取り込むが、清水女流六段はさらに▲6七金左!

盤面を見ると、先手の金が遊んでいる。それをズズズッと寄せるのが名手だ。金1枚が戦力に復活して、△5六歩の取り込みなど物の数ではない。清水女流六段の金の使い方は独特だが、本局の金寄りはさすがプロと、私は唸ったのだった。
これで里見女流名人も観念したようで、いくばくもなく清水女流六段の勝ちとなった。

これで2勝2敗のタイとなった。里見女流名人は今年度21連勝を記録するなど手が付けられない強さだったが、4敗のうちの3敗は、清水女流六段が付けている。この五番勝負も、清水女流六段が互角以上に渡り合っている感じだ。もう、最終局の行方はまったく分からない。
最終第5局は、24日(水)に行われる。
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冬の北海道旅行2016(1)

2016-02-15 00:06:42 | 旅行記・北海道編
何と、路面に雪がなかった! 路肩に雪はたまっているが、車道はアスファルトが見えている。ここだけ見たら東京と変わらず、冬の札幌では初めての景観である。
日本の暖冬もここに極まれり、か。
私は時計台へ向かう。しかし何となく方角を間違えてしまい、道内時刻表にある札幌市内地図を参考にしながら、ようやっと時計台に着いた。
時刻は午後10時近くになっていた。今や札幌の一等観光地である時計台だが、さすがにこの時間では観光客もいない。私は向かいの建物の2階にのぼり、デッキから時計台を鑑賞した。
駅に戻る途中で、ラーメン屋に入る。時計台に行く前に目をつけていた店で、塩らーめんを一推しにしているのが珍しいと思った。
というわけで、塩らーめん(760円)とぎょうざ(380円)をオーダーする。
店はカウンターだけでこぢんまりしていた。さらに繁華街から外れているので不利感はあるが、それだけに私のような旅行者にはありがたかった。
出てきた塩らーめんとぎょうざは、どちらも美味かった。
両方とも食べ終えて満足していると、店主に「雪まつり見物ですか?」と話しかけられた。田中哲司のような無口な感じの人だったから、意外だった。
「さっき東京から来たところでして、この時期は毎年来てます」
「もう全部見て来たんですか」
「いえ、(ですから)さっき飛行機で着いたばかりでして」
私は今夜東京から着いたばかりと強調した。
「今年は4丁目で初の試みをやっていて、こう、雪像の一部が、前にせり出しているらしいです」
「ほう、それは楽しみだ。…でも今年は、雪がずいぶん少なくないですか?」
「昨年の11月に62年振りの大雪を観測したんですけど、それからはダメですね」
今期は北海道に何度か大寒波が襲ったはずだが、札幌は無縁だったのだろうか。いずれにしても、無事雪まつりが開催されたのだから、それでいい。
さて、駅前のネットカフェに向かう。信号の青が点滅したが、私は無理しない。早く店に入ると退店時間も早くなるからで、少しでも時間を稼ぎたいのだ。
「アイ・カフェ札幌センチュリーホテル店」には、10時25分過ぎに入った。最長のナイト9時間パックにしたが、明朝7時29分には出なければならない。
ネットで雪まつりを調べると、旭川は6日の12時からとにかく明るい安村、7日の12時より柳ジュンが登場する。またさっぽろは、6日の19時より水木一郎のライブ、7日は12時より、とにかく明るい安村、15時よりMay Jが登場となっていた。詳らかには調べないが、とにかく明るい安村が両方に出るのはスゴイ。現在の勢いを表しているようである。
なお、さっぽろでの自衛隊のコンサートは、11日(木・祝)となっていた。
以上を勘案すると、6日に旭川、7日に札幌としたほうがよさそうだ。
道内時刻表を繰ってみる。いまやJR路線は壊滅状態、路線バスも掲載が大幅に削減され、昔ほど読む楽しみはないが、それでも楽しい。
私の好きな札沼線を見てみる。と、下り新十津川行きの列車が2本に、新十津川発の列車が1本に削減されていた!! ここ数年は下り、上りとも3本で推移していたのに、突然の削減である。
JR北海道には留萌本線の留萌―増毛間や、札沼線の浦臼―新十津川間をどうかするというウワサがあり、その一環として普通列車の削減が図られたのかもしれなかった。
しかし本数が少なくなればなるほど、乗りたくなるのが鉄道マニアである。こうなったら、明日6日は早朝から札沼線に乗るしかない。
午前2時過ぎに横になったが、天井のライトが直撃して、眠れない。座椅子を立てかけたり横になったりしたが、どうもしっくりこない。しかも口の中は苦い。こんな感じで時間は刻々と過ぎてゆく。これはダメだな、と思った。

翌6日(土)。もう眠れないと諦め、パソコンを立ち上げた。
私はもう一度、道内時刻表を見る。と、札沼線の項が4ページあるのに気付いた。ここには新十津川行きが1本、新十津川発が2本書かれていた。つまり、新十津川発着の列車はちゃんと3本ずつあったのだ。私としたことが、前夜は2ページぶんしか見ていなかった。
これならあえて札沼線に乗らなくてもいいが、ネットカフェを出ても、ほかに時間をつぶすところがない。私は予定通り、札沼線に乗るしかないのだった。
札幌駅に入り、新十津川までの切符を買った。まず、06時59分の石狩当別行きの列車に乗る。
列車はロングシートの味気ないものだが、石狩当別の1つ先の北海道医療大学まではJR北海道のドル箱で、乗客も多いのだ。札沼線には学園都市線の愛称が付いているが、それも電化区間の北海道医療大学までと個人的には考えている。
車両には鉄道マニアも少なそうである。私の向かいに座った女性は白石美帆そっくりだが、強烈な眠気が襲っているようで、ガクン、ガクンと頭を揺らしている。
外は雪が降っている。列車は高架を淡々と走り、石狩当別07時38分着。ここで新十津川行きに乗り換えとなる。07時45分発で、ここから気動車のキハ40だ。乗り換えは私と同病が多かった。すなわち鉄道マニアで、週末ではあるが、例年より多い気がする。
1両の列車にはボックス席に1人が座り、それでほぼ埋まった。札沼線の末端区間は一級のローカルぶりだが、だからこそ乗る乗客がいる。とはいえこの列車が満席にならないと、営業的には辛いのだ。
定刻に出発する。窓外の景色を眺めながらのんびり行く列車旅は最高だ。積雪も札幌市内を離れ、だいぶ厚くなってきたようだ。
反対の席の青年は鉄道マニアで、一眼レフカメラやスマホで窓外を撮影している。
私は朝食を買いそびれたので、口ざみしい。そして口中が苦い。
数席先のオッサンは、列車が駅に停まるたびに、駅名板を撮影している。この手合いは私が一昨年根室本線を各駅停車で横断した時もいたが、ちょっとせわしない。私の場合、撮影できる範囲に駅名板や駅舎があったら、ちょろっと撮影する感じである。鉄道マニアには「乗り鉄」「撮り鉄」などいろいろあるが、私の場合は「乗り鉄」の成分が強いと思われる。
08時17分、石狩月形に着いた。ここで列車行き違いのため、23分停車する。
ここで私たちは外へ出る。これは定跡というか常識で、車両や駅舎を撮影するのだ。
ここまで来ると、やっぱり雪が多い。ホームから下を見ると、反対車線のレールに粉雪がかぶり、見えなくなっていた。この上を列車が通るとは思われない。大丈夫なのだろうか。
(18日につづく)
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