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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた (143) 長尾家 56

2024年07月18日 18時43分15秒 | 甲越軍記
 かくして越後国は三分して諸将は思い思いにいずれかに加担した
府中の晴景の基には二万余騎が集まり、勢いのまま栃尾に攻め入ることが決した
天文十六年、晴景も出陣、その二日前には先陣の上田修理、泉澤河内守、松本大隅守、大崎筑前守六千余騎が出陣した。
下越後に至り、しばし馬を休めたが、本隊が来る前に城を乗っ取ろうと考え、ひしひしと城に迫った。
その勢いははなはだ鋭く「えいえい」と声を上げて押し寄せれば、城方も鉄砲を雨の如く放って防ぐ。
しかし寄せ手は意気盛んで、矢玉をものともせず勇み立ち攻め立てた

景虎は櫓に合って敵勢を見るに「この敵は今夜のうちに引き上げること必定である、逃げ道を討てば勝利は必定なり、おのおの兵糧を用意せよ」と下知した
これを危ぶんだ宇佐美は「今日攻め寄せたばかりの敵が何故今日の内に引き上げようか、ましてや鋭気充分であればその備えも固く、夜討ちなどするのは甚だ危険でありましょう、明日を待って合戦すべし」と言うのを、景虎は少しも用いず、宇佐美と本庄は首を傾げ不審に思うが、今までも景虎の戦術は全て的を得ていて外れたこと無し
二人は言われるままに用意して下知を待った。

寄せ手は夕刻まで休むことなく新手新手で攻めかけたが、城方もこれを防いで何の成果も無く、夜に入ると寄せ手は陣中に戻り、かがり火を激しくたいて、その後、後陣が加わったような体を見せていた。
すでに夜半となり、頃合いをずっと睨んでいた景虎は「時分は良きなり、いまぞ攻め立てよ、攻め太鼓を打て」と言い、早くも城門を開き真っ先に打って出る
案の定、敵はかがり火を激しく燃やして在陣を装ていたが、兵の大半は既に後方へ引き上げている途中であった、そこへ景虎軍が後ろから攻め込んだので敵は一戦に及ぶ間もなく崩れて敗走が始まった
景虎は采配を振り回し「勝ったぞ者ども、攻め立てよ」と言えば、味方は疾風の如く追い上げて、大崎の勇士、伴和泉、上田の勇士、斉藤河内ら十四、五人踏みとどまって迎え撃つと言えども、続く味方なくここに相次いで討死となる
その他のものは槍、刀を薙ぎ捨てて命ばかりはと、這う這うの体で柿崎の方へ引き退いていく。
景虎勢の大勝利、敵の首級百余級を得て、「夜中に長追いは無用なリ」と早々に城へ帰還した。

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