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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた(263) 甲越 川中島血戦 90

2024年12月02日 09時37分16秒 | 甲越軍記
 武田信繁は卯の花縅の鎧に、鍬形つけた兜を着し、武田家重代の幌、紺地に法華経の文を書きたるをかけていたが、今日を限りに思えば、これを解いて台に上げた。

ここに上杉の勢より、松本杢助と言う鉄砲の名手が狙い寄り、左馬之助めがけてどっと討つ
狙いは違わず、左馬之助信繁の脇腹を一発で貫くと、信繁はたまらず馬から真っ逆さまに落ちた
杢助はすぐに駆けよって、信繁の首を掻き切った
武田の臣、山寺妙之助は杢助を追いかけて打倒し、信繁の首を取り返した。

このとき、すでに左馬之助の備えは越後勢によって、散々に打ち破られて敗走する
諸角豊後守の備えも同様に打ち破られたが、豊後守は味方を叱咤して踏みとどまり、四面に敵を受けて奮戦する
萌黄縅の鎧、粕毛のの馬に乗り、大身の槍をすごいて勝ち誇る安田勢を追いまくる
さすがは武田家に名高き剛将であれば、血の乾く暇もなく次々と当たる敵を討ち取り、その数知れず
安田勢も豊後守には近寄りがたく遠巻にしてみているだけだ
そんな中で、安田、須田、山吉の脇に控えていた唐崎左馬之助、桃井清七郎、平賀志摩守は諸角の兵の弓手に回り込み、筒先を揃えて放てば、武田方打倒される者、数反れず。
これに勢いを得て、須田、山吉、安田勢は呪縛が解けた如く、いよいよ勇み立って「敵の一人も逃すまじ」と三方よりどっと攻めかかる

諸角の軍勢、粉の如く打ち砕かれて、七裂八栽になって敗走する
諸角豊後守は大いに怒り、郎党二十余人とともに踏みとどまり、敵の真ん中に乗り入れて無二無三に馳せまわって、死に物狂いに戦えば、越後勢の死傷はたちまち増える
須田、山吉勢は「敵の大将首、諸角を討って名誉とせよ」と一斉に襲い掛かるが、諸角豊後すこしも衰えず、攻め手の死傷は増えるばかりである
しかし諸角も、神ならぬその身には数多の手傷を負う、されどいまだ力は衰えず斬りまわる
三十ばかりいた味方の従卒も次第に減って、今は十五人のみ
諸角の左右にて戦えども、須田の組下、玉置肥前守、石黒五郎兵衛、高松源五郎、神藤近江守、堅田右馬之亟ら二十騎、士卒百余人にて諸角主従を取り囲み、一同にどっと討って懸かれば、諸角はこれを死期と定めて死出三途まで引き連れて呉れようぞと喚いて、近寄る武者二騎を切って落とす
さらに六、七人にも手傷を負わせた
されど無双の勇士と言えども無数の傷は体を弱らせ、心も疲れてくる
高松源五郎が繰り出した槍を受け損ねて、左の脇腹突き通されてどっと馬から落ちる
高松の郎党、深江八左衛門ら三、四人駆け寄り諸角の大将首を取る

されども、そこに諸角の組下、石黒五郎兵衛、浪人成瀬吉左衛門の二人が追いかけて、首は渡すまいと切って懸かり首を取り返し後陣に引き返す

すでに武田勢は緒戦で信玄の次弟武田の副大将武田左馬之助典厩信繁、武田の剛の大将諸角豊後守と相次いで討たれ、信繁勢、諸角勢は塵芥の如く消し飛んでしまった。


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