神様がくれた休日 (ホッとしたい時間)


神様がくれた素晴らしい人生(yottin blog)

「光る君へ」刀伊の入寇

2024年12月03日 19時48分43秒 | 韓国.北朝鮮.台湾.中国
 まひろ(藤式部)は帝をも掌で転がす最高権力者になったかっての想い人、藤原道長に別れを告げて、都を離れて九州大宰府に渡った。

そこでは道長の兄の子、藤原隆家が長官として眼病の治療を兼ねて赴任していた、更にまひろの娘の想い人、武者双寿丸、越前で出会った宋人周明らとも再会する。

だが事態は急変、異国の海賊「刀伊」が壱岐、対馬を襲い島民や役人を殺し、若者や婦女を拉致した、さらに博多にまで攻め寄せた
隆家は都では上皇に無礼を働くほどの無法者であったが、大宰府に来てからは地元の豪族らから慕われるほどの私欲を持たぬ清廉潔白な大人物に変身していたのである
そして大将として刀伊の侵入を防ぐのであった。

刀伊とは何者なのか
当初は高麗軍が押し寄せたという報せもあったが、刀伊の正体は高麗人ではなく、北方の騎馬民族が現在の沿海州から満州に広がる女真族の渤海国を侵略して「遼」を興したが、侵略されて流浪の民となった女真族が刀伊となって高麗の沿岸を襲い、博多までも押し寄せて来たのだ
ただし国家ではないから倭寇同様の少し大規模な海賊集団だったのだろう
恐らく元寇のような万単位の軍勢でなく、せいぜい数百だったかと思われる
それでも、まだ武士と言う者が存在しないこの時代だから、数百もの海賊がやってくれば、それはそれでたいへんな騒乱であっただろう
だがそれは、都の殿上人を脅かすほどの事ではなかったのかもしれない
都人は少しも危機感を持っていなかった、博多付近の防人だけで追い払えたのだから、海賊退治程度にしか思わなかったのだろう
それゆえ褒美を得たのも隆家に協力して戦った在地豪族二名が壱岐守、対馬守に任じられただけだったそうで、それさえ藤原実資などの口添えがあってしぶしぶ朝廷が与えたのだった
一番の功労者、隆家も何の行賞もなかったそうだ。

NHKの歴史番組では、隆家ら北九州の勢力によって追い払われた刀伊は高麗方面に逃げ戻ったが、高麗軍によって全滅させられて、拉致された壱岐、対馬の島民は送り返されてきたという。

周明は、まひろに再び「宋へ行かないか」と言ったけれど、この頃は宋も「遼」の侵略を受けていて、とても安心して行けるような状態ではなかったのだ。
「遼」は渤海国を滅ぼし、宋の北部を襲い、高麗の都「開京」を焼き尽くすなどの侵略を行ったが、その地に留まって政治を行うまでの力はなかった
このあと、「遼」をも滅ぼして朝鮮半島から中国全土、さらにイスラム国家を破り、モスクワまで到達した「蒙古」がまたしても博多を襲ったのは、これから250年ほどあとの鎌倉時代である。





「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた(264) 甲越 川中島血戦 91

2024年12月03日 11時34分27秒 | 甲越軍記
 穴山伊豆守信良の備えには、本庄越前守繁長、山吉玄蕃允の軍勢が鉄砲を撃ちかけ、矢を飛ばして攻め込む
穴山伊豆の勢も鬨を作って越後勢を迎え撃つ
互いに一足も引くまいと砂煙を踏み立てて馬を八方に馳巡らせ、切れども突けども気にもせず、命を惜しむ武者は一人たりともなく、義を盤石の重きにおいて
両軍の勇将、猛将しのぎを削って戦う

穴山の組には、保坂常陸介、芦沢伊賀守、佐野平右衛門、宇山無辺助など十指を越える週に優れたる勇士有りて敵を崩さんと喚き叫んで戦えば
山吉勢は、これに切り立てられて少し勢い落ちれば、山吉玄蕃は采配を振り立てて、鞍嵩に伸びあがって
「言い甲斐なき者どもかな、脇備えは早粉の如く打ち崩したるを、ただ平突きに突き崩せ、進め、進め」と罵る
これに励まされて、萬貫寺庄太郎、山吉備前守、北條秀之進、飯森摂津守がどっと叫んで短兵急に揉み立てる

北條秀之進は八方に目を配り、敵の大将穴山に組まんとここかしこを馳せ巡り、近寄る敵を斬って捨ていよいよ敵中に入るところ、宇山無辺助が北條の働きを見て、「無辺之助ここにあり、快く戦いて雌雄を決すなり」と喚いて槍を構えて突きかかる
北條はこれを尻目に見て、開き合わせ、槍を搦めて戦えども、双方たがいに譲らぬ勇士ゆえに勝敗はつかず
ここに木部新介走り来りて「相打ちぞ」と名乗って、北條が乗る馬の前足を撫で切れば、馬はたまらず後ろ足を跳ね上げてどっと前のめりに倒れる
北條は真っ逆さまに馬から落ちれば、新介走り寄って北條の首を獲る
、秀之進の子、北條内匠、十六歳「父の敵、逃さじ」と新介を一槍で突き殺して首を奪い返す
さらに無辺之助に突きかからんとしたところに、宇山の郎従に遮られ、むなしく無辺之助に逃げられて、内匠は大いに怒り、瞬く間に郎従ども七人を突き伏せて退く

そのほかにも、あちらこちらで武者の戦い火花を散らす
されども越後勢、萬貫寺庄太郎、飯森摂津守らの鬼神の如き当たるを幸いの働きによって穴山勢は次第に追い詰められて浮足立つ
大将、穴山伊豆守は一歩も引かず乗り回して兵を励まし続ければ、保坂常陸、佐野平右衛門、塩津治部ら獅子奮迅の勢いで迫りくる敵勢を追い戻す

この表にては穴山伊豆守、飫冨三郎兵衛の二備えは未だ一足も去らず、こらえる。