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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた (149) 長尾家 62

2024年07月24日 09時15分21秒 | 甲越軍記
 勇み立つ味方の先陣の先を見ると、天衝の指物は長尾武蔵守であった
武蔵守は武功秀でたる歴戦の勇士、景虎はこれを見定めると先陣の諸将に遣いを出して「あの旗印は長尾武蔵である、勝ちに誇って無謀の合戦をするべからず、守りを固めよ」と戒めた
味方の先陣はこれを聞いて歩みを止め、守りを固めたのち山村、新発田、大熊の先鋒が長尾武蔵の陣に攻め寄せた。

武蔵守は馬印を押し立てて五百騎あまりを左右に従えて大熊勢の中に突入
左右に奮戦して切り開けば、大熊勢は勢いに押されてたちまち後退した
脇備えの山村若狭守は三百騎を従え真っ先に進み、武蔵守の横合いより攻め寄せる、武蔵守勢もこれに応じて勇気を奮えば互いに油断なき激戦となる
中でも魚住十郎左衛門と名乗り近寄る敵を十ニ、三騎薙ぎ倒す
山村勢の中からも石島隼人が大太刀を振るって魚住に斬り寄せる
石島は真っ向から魚住に向かって大太刀を振り下ろすところ、魚住はこれを見極めて大太刀をさっと一閃、石島の右腕を切り落とし、返す先で馬の腹を切れば人馬もろとも崩れ去る
魚住はますます勇み立って瞬く間に七、八騎の敵を討ち倒す
山村勢には魚住の勢いを止められず、遠巻きにして備えるばかりのところに、山村若狭守の嫡子、右京生年十八歳が大刃の槍を頭上に振りかざし「山村右京見参」と魚住に突きかかる
魚住もこの槍を大太刀で受け流し、互いに声を張り上げて誰をも寄せ付けず切り結ぶ、その時魚住の血刀は鍔元よりぽっきりと折れ、これは叶わじと逃げ出すを右京が追い、魚住の鎧の胸元から首の骨にかけて貫けば、魚住はたまらずず落馬して討ち死にする。

砂土原伝内、これは良き敵と右京に討って懸かる、右京は燕の如く軽やかに飛びかかり砂土原の肘から脇腹に槍を突きとおせば、砂土原はたまらず落馬して討ち死にする
右京の槍のすさまじきことは猛虎千里を走る如し、武蔵勢は息をのんで右京の槍を恐れて崩れ去る
右京の奮闘を見た長尾武蔵守は「武蔵の手並みを見せようぞ」と喚いて右京めがけて大太刀を振るう
これを見た武蔵勢も勇気を取り戻して攻め戻るところに、新発田尾張守、新発田掃部介が「右京を討たせるものか」と三百余騎を率いて討って出る
しかし武蔵の猛威は激しく、たちまち新発田勢は崩れた
新発田掃部介はこれを見て大いに怒り、只三騎で引き返し武蔵守に渡り合った
しかし無勢なればここに討死する
武蔵守、しばし休息せんと備えを元に戻すところへ山村若狭勢三百騎で攻め寄せる、武蔵守はたちまち陣形を円陣にしてこれに立ち向かう
武蔵の采配まことに見事なり、山村勢はたちまち崩れ去るところに山村右京が士卒を励まして取って返す。



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