おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
さて、「アドラー心理学ブームについて」の5回目です。
トラウマを巡っては2回目です。
今回は、(1)そもそもトラウマとは何か?、(2)アドラー派の人はトラウマをどう研究していたか?(代表例は、アルフレッド・アドラーの次女、アレクサンドラ・アドラー)の2点について書きます。
一種の「余話」として読んでください。
「心的外傷」と訳されるトラウマについて『精選版 日本国語大辞典』では、次のように書かれています。
「恐怖・ショック・異常経験などによる精神的な傷。それ以後の行動に、強い制限や影響を及ぼす」
このトラウマ体験によって以後障害として残るものを「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」と言って、以下を特徴とします。
1.侵入的反復的想起:
①トラウマを受けた状況を繰り返し思い出したり、その夢を見る。
②その状況に関連のある場所や人を避けるようになる。
2.感情麻痺:感情が麻痺して、周囲に対して反応しなくなったり、興味を失う。
3.覚醒亢進状態:悪夢で眠れなくなったり、周囲への出来事に過剰に反応したり、怒りやすかったりする。
次に、アルフレッド・アドラーの次女のアレクサンドラ・アドラー(1901~2001)は、実は、PTSDの歴史に残る研究家で、1942年11月28日 ボストンのナイトクラブ(ココナツ・グローブ)で起きた火災(492人が死亡)の500人の生存者に対するPTSDの初期の調査研究を行っています。
ニューヨークのアルフレッド・アドラー研究所のアレクサンドラ・アドラーに関する記載を読んでみると、次のことが書いてあります。
意訳でお伝えします。
アドラーは、生存者について研究し、次の発見をしました。
彼らは、罪悪感、怒り、士気阻喪、生きる活力の喪失を含む人格変化を伴う未解決の悲哀を体験したのです。
アレクサンドラ・アドラーは、1年後も、被災者の50%が相変わらず睡眠が妨げられ、緊張感や不安が高まり、生き残ったことに対する罪悪感に悩まされ、火に関係することに恐れを抱いていることを明らかにしました。
まさに、今日のPTSD研究の先駆者だったのです。
<お目休めコーナー> 3月の花(12)
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