おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』(小倉広著、ダイヤモンド社、1,600+税)がいよいよ7万部になったそうです。
昨日(3月28日)の夕方は、3つの保育園を経営する社会福祉法人の理事会に参加してきました。
私は、3月10日からこの社会福祉法人の非常勤理事に就任していたのです。
保育の中にアドラー心理学を生かすことを期待されてのことでした。
仲間の理事・監事が大学教授、弁護士、税理士、人権擁護委員、他の社会福祉法人理事長など多彩な人たちで、懇親会での話題も勉強になりました。
さて、「アドラー心理学ブームについて」の4回目です。
今までの1~3回目は以下をご参照ください。
3月18日 アドラー心理学ブームについて(1)
3月19日 アドラー心理学ブームについて(2)
3月25日 アドラー心理学ブームについて(3)
今回から各論に入ります。アドラー心理学ブームの中でも決めつけは危険であることに触れておきます。
なお、このことは、3月6日付のヒューマン・ギルドのメルマガ「アドラー心理学の学び方、伝え方」に加筆しています。
アドラー心理学を学び伝える上での留意点のご提案です。
トラウマを巡っての所説を2回にわたってお伝えします。
アドラー心理学を学び伝える人たちへのお願いは、「決めつけ」をしないでいただきたいのです。
特に『嫌われる勇気』は、決めつけて読んだり伝えたりすると、あらぬ誤解を招くことがあります。
『嫌われる勇気』では、「トラウマは、存在しない」のように言い切った見出しの表記が用いられています。
岸見さん自身も「アドラー心理学では、トラウマを明確に否定します」(P.29)と語ってもいます。
しかし、その後の文章を読むと、内容はタイトルを忠実に反映しているとも言えないのです。
例を示しましょう。
「トラウマは、存在しない」の中で、岸見さんは「いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因でもない。われわれは自分自身の経験によるショック ― いわゆるトラウマ― に苦しむのではなく、経験の中から目的にかなうものを見つけ出す。自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定するのである」と、アドラーの言葉を引用しています。
アドラーは、経験それ自体を認めているわけですし、岸見さんも「大きな災害に見舞われたとか、幼いころに虐待を受けたといった出来事が、人格形成に及ぼす影響がゼロだとはいいません。影響は強くあります。しかし大切なのは、それによってなにかが決定されたわけではない、ということです」と語っているにもかかわらず、見出しには「トラウマは、存在しない」と表記されるのです。となると、慎重な言い回しが捨象されて、見出しだけが独り歩きし、世間に流布してしまうとしたら危険です。アドラー心理学に対するあらぬ誤解を招きかねません。
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