おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
8月最終日の昨日(31日)は、10:00~17:30にヒューマン・ギルドで アドラー・カウンセラー養成講座 の2日目を行っていました。
主な内容は、次の3つでした。
1.感覚タイプの確認
2.ライフスタイル調査表の聴取法のデモンストレーション
3.ライフスタイル調査表の聴取演習(ペアで)
(舟崎さん、野口さんによる演習風景)
鋭い質問も入り、中身の濃い講座になりました。
次回の3日目が楽しみにです。
◆ヒューマン・ギルドのホームページには、カウンセラーになりたいについてわかりやすく書いてあります。
さて、『自己成長の基礎知識 1深層心理学』(R.フレイジャー+J.ファディマン編著、吉福伸逸監訳、春秋社)という、トランスパーソナル心理学系統の著者による、すでに絶版になっている本を読んでいたら、この本の第3章が「アルフレート・アドラーと個人心理学」に割かれていました。
その中に「アドラーの知的系譜」としてアドラーが影響を受けた理論が5つ紹介されていました。
1.ダーウィンの進化論
2.フロイトの精神分析
3.ニーチェの哲学
4.ファイヒンガーの「あたかも」の哲学
5.スマッツのホーリズム
アドラーの伝記を読むと、このことが書いてありますが、ご存じない人が多いので、簡単に本に書かれていた内容を箇条書きしておきます。
1.ダーウィンの進化論
(1)精神内力動に関心を持っていた同時代の心理学者とは対照的に、アドラーは「エコロジカルな心理学者」だった。
(2)器官劣等性や補償に関する初期の著作は、主としてダーウィン的見地の医学の適用で、このことはフロイトにも歓迎された。
(3)アドラーがフロイトと別れて後の著作では、器官劣等性が、人生の戦いにおいて必ず敗北の原因になるという考えの代わりに、それが我々を刺激し、より優れた達成に到達することを可能にすると信じた。
(4)またアドラーは、人間の進化のプロセスにおいては、協力と共同体感覚のほうが競争や戦いよりも重要であると論じた。
2.フロイトの精神分析
(1)フロイトと出会う前から理論的な仕事をしていたアドラーは、リビドーやエディプス・コンプレックスという概念を決して受け入れたことはないが、精神分析理論から深い影響を受けた。特に母―子関係の重要性、6歳までの心理的発達の役割、神経症的症状の解釈、夢の分析などがそうである。
(2)フロイトは、アドラーのことを弟子と考えていたが、アドラーはそのことを一貫して否定し、フロイトの見解に応答しつつ自分自身の理論を発展させていった。
(3)フロイトが子ども時代の抑圧された無意識の性的な素材が神経症の中核であるという主張に対して、アドラーは、人間の根本的な動機づけ要因がフロイトのリビドーではなく、力を求める努力であると主張した。
3.ニーチェの哲学
(1)アドラーは、あの時代のほとんどの知識人と同様にニーチェの影響を受けたが、皮相な模倣者でなく、ニーチェの権力への意志よりも広い概念の「優越を求める努力」を定着化させた。
(2)「優越を求める努力」の概念は、創造的な成長と発達の役割を強調するものであり、それに加えて、共同体感覚の概念は、ニーチェの考えと基本的に対立する。
4.ファイヒンガーの「あたかも」の哲学
(1)アドラーがかなり影響を受けたハンス・ファイヒンガーは、人間は自分の実際の経験によってよりも、自分たちの期待感によって影響を受けると主張し、彼はこのアプローチを「虚構主義」ないし「<あたかも>の哲学」と読んだ。
(2)アドラーは『神経症的構成』(1912)において、人間のすべての思考、感情、行動が「あたかも」の線に沿って進むと述べている。
5.スマッツのホーリズム
(1)1920年代の中半にアドラーは、南アフリカの軍事指導者、政治家、哲学者であるジャン・スマッツのホリスティック(全体論的)哲学の影響を受けた。
(2)スマッツは、システムはしばしば、その部分の属性とは違った属性を持ち、すべての個人の中には、統合を増大させ全体性に向かう衝動がある、と書いていた。
(3)アドラーは、ホリスティック哲学の中に、彼自身の考えの多くが確認されていると考え、個人心理学の哲学的基礎を見出した。
少々難解かもしれませんが、理論に関心のある方には参考になると思います。
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