おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
Executives ask “What”.(「何」を尋ねるのが経営者)
Managers ask “How”.(「どうやって」を尋ねるのが管理者)
Consultants ask “Why”.(「なぜ」を尋ねるのがコンサルタント)
この言葉は、アメリカの経営大学院でMBA(経営学修士号)を取得し、コンサルタント会社を経て、若くして外資系企業の役員になった人から聞いた言葉です。
その人は、「“Why”という質問は、発する方は気が楽ですが、受ける方は大変なんですね」と、私の研修で“Why”の陥りやすい弊害を学んだ後に自戒気味に語ったことが思い出されます。
また、ある研修では、理学博士号を持つ受講生が私との間のロールプレイで部下役になって、“Why” を巡るやり取りをした際に、部下をさんざん“Why”で追及していたことを反省し、「自分が部下役で “Why” で責め立てられて初めて、どんなに悪影響を与えていたかを思い知りました」というメールを研修後にいただいたことがあります。
ある会社では、企画部門にMBA資格を持つ人が入ってからやたらと影響力を持ち始め、ライン部門の計画についてその人がGOサインを出さなければ、何度も計画の練り直しをしなければならなくて仕事が進まず、その人の常套文句の “Why” に泣かされているそうです。
私は、“Why”を否定的な過去の原因と関連付けて連発することの弊害について『勇気づけの心理学 増補・改訂版』(金子書房、1,800円+税)や『アドラー心理学によるカウンセリング・マインドの育て方』(コスモス・ライブラリー、1,600円+税)で書いています。
悪事探し、人格否定につながるからです。
比較的最近読んだ『申し訳ない。御社をつぶしたのは私です』(カレン・フェラン著、神崎朗子訳、大和書房だいわ文庫、860+税)は、その時期にはやっている経営理論を、まやかしの「専門用語」を使いながら “Why”.を連発する連発するコンサルタントをを告発した本です。
「マッキンゼー、デロイト…超一流コンサルが持ち込んだ理論(目標管理、KPI管理、ERPシステム導入など)もチャートも改革も、じつは何の意味もなかった」と、コンサル業界の驚くべき仕事の実態を、表から裏まで徹底的に暴露したエリート経営コンサルタント自身による全米騒然のベストセラー問題作。
「コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする」のサブ・タイトルの内容そのものの本です。
ただし、単なる告発本かというとそうではなく、「『人間性を向上させる』ことを考える」「『私生活ならどうか』を考える」など「健全な考え方の枠組み」を示してくれています。
目次は、次のとおりです。
はじめに 御社をつぶしたのは私です
序章 大手ファームは無意味なことばかりさせている
第1章 「戦略計画」は何の役にも立たない
第2章 「最適化プロセス」は机上の空論
第3章 「数値目標」が組織を振り回す
第4章 「業績管理システム」で士気はガタ落ち
第5章 「マネジメントモデル」なんていらない
第6章 「人材開発プログラム」には絶対に参加するな
第7章 「リーダーシップ開発」で食べている人たち
第8章 「ベストプラクティス」は“奇跡"のダイエット食品
おわりに
付録1 正しい方法を見分ける「真偽判断表」
付録2 「科学的方法」を生かす四つのステップ
解説:成毛眞
経営者・管理者、研修講師、経営に関心のある人などにお勧めです。
これだけ内容豊富な本が1,000円もかけずに手に入れられるのも文庫化のお陰です。
私の本を2冊文庫にしてくれている大和書房さん、ありがとうございます。

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<お目休めコーナー>3月の花(19)
