地味な展覧会を2題。
○根津美術館 特別展『唐物茶入』
http://www.nezu-muse.or.jp/
茶入は、濃茶を入れる陶製の小壺。会場で見たものは、どれも渋い茶褐色で、釉薬の微妙な濃淡が味わいどころらしい。形状も、わずかな差異によって「茄子」「文琳」(リンゴの意)「肩衝」「大海」などと呼び分ける。
茶道辞典によれば「唐物茶入」は「中国(宋・元代)産の陶製の小壷を、日本で茶入に用いたのもの」だそうだ。つまり、はじめから濃茶専用に焼かれたものではなく、茶人が適当な大きさの小壺を見つくろって、転用したものらしい。何の壺だったのかな。いずれにせよ、中国の博物館では、こんな地味な陶器を見た記憶がないので、庶民の日用品だったのだろう。
○国立能楽堂資料展示室『生田コレクション展』
http://www.ntj.jac.go.jp/exhibition/
大阪の能楽愛好家生田家により蒐集された鼓胴約100点を展示したもの。私は鼓の胴と打つところがこんなふうに取り外しできる構造だとは初めて知った。鼓胴は、ワイングラスを2つ逆向きに重ねたような形をしている。紐をかけてしまうと目立たないが、実は美しい薪絵が施されている。
2つの展覧会には、おもしろい共通点があった。それは、どちらもナマの展示品と一緒に、普段それらの展示品が保管されている状態を見せているのだ。茶入のほうは、衝撃から守るため、厚手の布袋に入れたうえ、木箱に納める。壺の形に合わせて丸く縫い綴じた巾着袋には、「仕覆(しふく)」」という名前もあるようだ。
一方、鼓胴のほうも、1点ずつ同様の巾着袋に収められ、格子状の仕切りのついたトランクに。きっちり整理されていた。モノを大切に、そして美しく守ってきた古人の心がけに触れたようで、いい気持ちだった。
○根津美術館 特別展『唐物茶入』
http://www.nezu-muse.or.jp/
茶入は、濃茶を入れる陶製の小壺。会場で見たものは、どれも渋い茶褐色で、釉薬の微妙な濃淡が味わいどころらしい。形状も、わずかな差異によって「茄子」「文琳」(リンゴの意)「肩衝」「大海」などと呼び分ける。
茶道辞典によれば「唐物茶入」は「中国(宋・元代)産の陶製の小壷を、日本で茶入に用いたのもの」だそうだ。つまり、はじめから濃茶専用に焼かれたものではなく、茶人が適当な大きさの小壺を見つくろって、転用したものらしい。何の壺だったのかな。いずれにせよ、中国の博物館では、こんな地味な陶器を見た記憶がないので、庶民の日用品だったのだろう。
○国立能楽堂資料展示室『生田コレクション展』
http://www.ntj.jac.go.jp/exhibition/
大阪の能楽愛好家生田家により蒐集された鼓胴約100点を展示したもの。私は鼓の胴と打つところがこんなふうに取り外しできる構造だとは初めて知った。鼓胴は、ワイングラスを2つ逆向きに重ねたような形をしている。紐をかけてしまうと目立たないが、実は美しい薪絵が施されている。
2つの展覧会には、おもしろい共通点があった。それは、どちらもナマの展示品と一緒に、普段それらの展示品が保管されている状態を見せているのだ。茶入のほうは、衝撃から守るため、厚手の布袋に入れたうえ、木箱に納める。壺の形に合わせて丸く縫い綴じた巾着袋には、「仕覆(しふく)」」という名前もあるようだ。
一方、鼓胴のほうも、1点ずつ同様の巾着袋に収められ、格子状の仕切りのついたトランクに。きっちり整理されていた。モノを大切に、そして美しく守ってきた古人の心がけに触れたようで、いい気持ちだった。