見もの・読みもの日記

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極楽寺・釈迦如来と忍性塔

2006-04-09 23:09:59 | 行ったもの(美術館・見仏)
○極楽寺(神奈川県鎌倉市)釈迦如来特別御開扉と忍性塔公開

 極楽寺の本尊・清涼寺式釈迦如来は、毎年4月8日~10日に限って開扉となる。また、境内の北側にある、開山・忍性(にんしょう)上人の墓は、4月8日にだけ一般公開される。

 私が2001年の春から2年間、逗子に住み始めたとき、ちょうど4月8日が週末に当たっていた。忙しい引越しの合間に、まだ地理に不慣れな鎌倉で、桜の花散る極楽寺を訪ねて、秘仏のご本尊に見(まみ)えた。2年後、仕事の関係で東京に戻ることになったときも、やはり、ご本尊に挨拶をして、戻ることにした。だから、年に1度しかお会いできなくても、なんとなく個人的な思い入れの深い仏様である。

 いわゆる「清涼寺式」の釈迦如来像であるが、京都・清涼寺の本尊が、ぷっくりした下ぶくれであるのに対して、極楽寺のお像は、細面で、鼻筋が通り、若々しい好男子の顔をしている。私は、同じお堂の中にある、説法印を結んだ坐像の釈迦如来も好きだ。いかにも東国仏らしい、意志の強さと人間臭さにあふれている。開きかけた口もとから、今にも言葉が漏れてきそうだ。

 忍性塔の拝観は、2001年の春以来である。裏木戸をくぐり出て、谷戸(やと)の住宅地を歩いていくと、そうそう、この道だった、と記憶がよみがえってくる。忍性塔は、大きな石造りの五輪塔だ。最下段に、わずかに蓮弁模様が施されているが、あとは何の装飾もない、碑文もない、実に素っ気ない石塔である。ただその大きさ(高さ3メートル)には圧倒される。すぐ隣には、北条重時の墓(宝篋印塔)があった。どこからか、風に乗った桜の花びらが飛んでくる。周囲は深い杉木立で、桜の木など見えないのに、まるで天が降らす散華のようだった。

 ちなみに、極楽寺の旧寺域には、もう1つ巨大な五輪塔があって、三代長老・順忍の墓と判明している。残念ながら、こちらは檀家さんの私有地に属するため、現在は公開されていない。宝物館の説明をしてくれたお爺さん(和尚さん?)の話では「わしも今朝早く行って、お経だけあげてきましたけどな」とのこと。

 極楽寺は、境内も忍性塔も撮影禁止のため、写真は案内札だけ。



■中世の石塔画像データ(むかしは撮影できたのだろうか? 写真はこちらで)
http://homepage1.nifty.com/sawarabi/ninnsyou/sekitou-data/sekitou.htm
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