○ブリジストン美術館 『雪舟からボロックまで』
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/
週末関西旅行から帰ってきたところ。しかしながら、実はまだ、その前の週末に行ったもののことを書いていない。そこで、取り急ぎ。
この展覧会は、石橋財団の設立50周年を記念して、雪舟、応挙などの日本・東洋美術から、印象派や20世紀のマティス、ピカソ、さらに新収蔵したポロック(20世紀、アメリカの抽象画家だそうだ)まで170点を一挙に公開したものだ。
順路に従って進むと、まず洋画の展示室に案内される。印象派をはじめとする泰西名画と、日本の洋画が「混ぜこ」になって並んでいる。思えば、私が東洋美術をヒイキするようになったのは、つい最近のできごとである。小学生の頃は、「絵」といえば西洋画のことだと思っていた。いつか自分も、モネやルノワールみたいな、あるいはレンブラントみたいな「絵」が描けるようになりたいと思っていた。それが、東洋美術にどっぷり浸かるようになって、久しぶりに泰西名画を見てみると、はじめ、なんとも言えない、不思議な違和感があった。描かれているものが、人間であるとか、風景であるとかいうことを認識するのに、一瞬、超えなければならない敷居のようなものを感じたのだ。明治の頃の日本人も、こんな気持ちだったのかあ、と考えた。
と言って、西洋絵画が嫌いになったわけではない。だんだん、西洋絵画の感覚がよみがえってくると、雲の流れる川辺の風景や、白い肌の人物や、それらを表すためにキャンバスに置かれた「色」そのものを、美しいと感じた。日本の洋画もいい。私は岡鹿之助の『雪の発電所』にひかれる。
それから、日本・東洋美術の部屋に移る。物慣れた表現を前にして、「目が落ち着く」のが、自分でも分かる。雪舟の『四季山水図』は、淡彩を用いた小判な作品である。個人的に気に入ったのは『保元平治物語絵扇面』という、六枚の扇面から成る、宗達派の作品。物語の筋が全く分からないのが悔しい。人物の描きぶりは、現存の『平治物語絵詞』によく似ていて、武士は基本的にブサイクなおじさん顔なのだが、4枚目、荷車から舟に俵を積み込んでいる美形の若衆が気になる。
『高野切』もいいなあ。「古今集」巻一の断簡で、有名な「あだなりとなにこそたてれ桜花 年にまれなる人もまちけり」が書かれている。小ぶりな文字、軽やかな線は、あたかも桜の花びらの舞い散るような華やぎを感じさせ、心が躍る。
最後に、階下のティールーム「Georgette(ジョルジェット)」で一休みして帰った。本格的なスコーンが美味。店の名前はルノアールの絵の女の子の名前である由。
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/
週末関西旅行から帰ってきたところ。しかしながら、実はまだ、その前の週末に行ったもののことを書いていない。そこで、取り急ぎ。
この展覧会は、石橋財団の設立50周年を記念して、雪舟、応挙などの日本・東洋美術から、印象派や20世紀のマティス、ピカソ、さらに新収蔵したポロック(20世紀、アメリカの抽象画家だそうだ)まで170点を一挙に公開したものだ。
順路に従って進むと、まず洋画の展示室に案内される。印象派をはじめとする泰西名画と、日本の洋画が「混ぜこ」になって並んでいる。思えば、私が東洋美術をヒイキするようになったのは、つい最近のできごとである。小学生の頃は、「絵」といえば西洋画のことだと思っていた。いつか自分も、モネやルノワールみたいな、あるいはレンブラントみたいな「絵」が描けるようになりたいと思っていた。それが、東洋美術にどっぷり浸かるようになって、久しぶりに泰西名画を見てみると、はじめ、なんとも言えない、不思議な違和感があった。描かれているものが、人間であるとか、風景であるとかいうことを認識するのに、一瞬、超えなければならない敷居のようなものを感じたのだ。明治の頃の日本人も、こんな気持ちだったのかあ、と考えた。
と言って、西洋絵画が嫌いになったわけではない。だんだん、西洋絵画の感覚がよみがえってくると、雲の流れる川辺の風景や、白い肌の人物や、それらを表すためにキャンバスに置かれた「色」そのものを、美しいと感じた。日本の洋画もいい。私は岡鹿之助の『雪の発電所』にひかれる。
それから、日本・東洋美術の部屋に移る。物慣れた表現を前にして、「目が落ち着く」のが、自分でも分かる。雪舟の『四季山水図』は、淡彩を用いた小判な作品である。個人的に気に入ったのは『保元平治物語絵扇面』という、六枚の扇面から成る、宗達派の作品。物語の筋が全く分からないのが悔しい。人物の描きぶりは、現存の『平治物語絵詞』によく似ていて、武士は基本的にブサイクなおじさん顔なのだが、4枚目、荷車から舟に俵を積み込んでいる美形の若衆が気になる。
『高野切』もいいなあ。「古今集」巻一の断簡で、有名な「あだなりとなにこそたてれ桜花 年にまれなる人もまちけり」が書かれている。小ぶりな文字、軽やかな線は、あたかも桜の花びらの舞い散るような華やぎを感じさせ、心が躍る。
最後に、階下のティールーム「Georgette(ジョルジェット)」で一休みして帰った。本格的なスコーンが美味。店の名前はルノアールの絵の女の子の名前である由。