連休は東京近県で大人しくしていたので、この週末は関西に出てきた。朝から生憎の雨で、春寒のような気温。着替えのつもりで持ってきたセーターを無理やり重ね着して震えている。初日はまず、京都御所の北側を東西に走る今出川通り近辺の小さな美術館を3つまわった。
■楽美術館 春期特別展『楽家の系譜 歴代の名品』
http://www.raku-yaki.or.jp/museum/index-j.html
楽美術館は3度目かな? ようやく道に迷わなくなった。初代長次郎から15代吉左衞門まで楽家歴代の代表作品を展示する特別展を開催中である。1階の展示室には初代から14代までの茶碗が、平等に1点ずつ。うーん、各人の作風を代表する「この1点」を選び出すのは苦労だったに違いない。企画者の苦労がしのばれる。
2階に上がると、水指、花器、香炉など、多様な楽焼の世界が広がる。それから、楽焼を語るに外せない、本阿弥光悦作の飴釉樂茶碗(銘・立峯)。これは奇麗だ。形状は同じ光悦作の「乙御前」にそっくり。飴釉の色は「熟柿」という別銘が似合いである。最後に、ご当代(十五代)吉左衛門氏の作品「紅爐」を見た。朝焼けの空のような、ピンクとグレーの混じり合った赤楽茶碗である。ご当代の茶碗には珍しく(?)人の手になじむ、優しい形をしてる。
私は、黒楽茶碗に比べて、赤楽茶碗をいいと思ったことは少ないのだが、こういう雨の日、ほの暗い日本間には似合うなあ、と思った。楽家歴代の「この1点」も、実は半数近くが赤楽茶碗である。覚入の「連山」とか、弘入の「亀背」とか、結構いい。
■茶道資料館 春季特別展『裏千家所蔵 絵画展-屏風を中心に-』
http://www.urasenke.or.jp/textc/kon/gallery/gallery.html
楽美術館から北に上がると、裏千家センターに併設された茶道資料館がある。現在の展示は、屏風を中心とした絵画資料展。狩野探幽や英一蝶の作品が見られる。面白かったのは『祇園祭母衣武者図』。屏風の断簡と思われる小さな画幅である。派手な扮装の若者たちの横で、巨大な母衣を背負った武者が、少し疲れた顔で腰を下ろしている。江戸初期の風俗なのかなあ。見物の女性たちは髪をアップにしているけど。
■北村美術館 春季特別展『吉野懐古』
http://www.raku-yaki.or.jp/culture/japan/kitamura.html
今出川通りを東に進み、下鴨神社の三角州にほど近い北村美術館へ。どうして「吉野懐古」なんだろう?と思ったら、北村家は、奈良県吉野地方で代々林業を営む旧家なのだそうだ(Wikipedia)。珍しさで圧倒的に目をひくのは『正平六年御免皮裂』。大小多様な形状のなめし皮がボードに貼り付けられている。護良親王の弟・懐良親王が、正平六年(1351)熊本の八代で皮工に命じて染めさせたものだという。白地に「正平六年六月一日」という文字と獅子牡丹唐草が紺色で染められている。撫子のような小花だけ赤い染料を使っているのが愛らしい。ほか、玩具のような可愛らしい茶器も楽しめる。乾山の色絵、小さな筒型の茶碗には、春らしくスミレや蕨が描かれていていた。
■楽美術館 春期特別展『楽家の系譜 歴代の名品』
http://www.raku-yaki.or.jp/museum/index-j.html
楽美術館は3度目かな? ようやく道に迷わなくなった。初代長次郎から15代吉左衞門まで楽家歴代の代表作品を展示する特別展を開催中である。1階の展示室には初代から14代までの茶碗が、平等に1点ずつ。うーん、各人の作風を代表する「この1点」を選び出すのは苦労だったに違いない。企画者の苦労がしのばれる。
2階に上がると、水指、花器、香炉など、多様な楽焼の世界が広がる。それから、楽焼を語るに外せない、本阿弥光悦作の飴釉樂茶碗(銘・立峯)。これは奇麗だ。形状は同じ光悦作の「乙御前」にそっくり。飴釉の色は「熟柿」という別銘が似合いである。最後に、ご当代(十五代)吉左衛門氏の作品「紅爐」を見た。朝焼けの空のような、ピンクとグレーの混じり合った赤楽茶碗である。ご当代の茶碗には珍しく(?)人の手になじむ、優しい形をしてる。
私は、黒楽茶碗に比べて、赤楽茶碗をいいと思ったことは少ないのだが、こういう雨の日、ほの暗い日本間には似合うなあ、と思った。楽家歴代の「この1点」も、実は半数近くが赤楽茶碗である。覚入の「連山」とか、弘入の「亀背」とか、結構いい。
■茶道資料館 春季特別展『裏千家所蔵 絵画展-屏風を中心に-』
http://www.urasenke.or.jp/textc/kon/gallery/gallery.html
楽美術館から北に上がると、裏千家センターに併設された茶道資料館がある。現在の展示は、屏風を中心とした絵画資料展。狩野探幽や英一蝶の作品が見られる。面白かったのは『祇園祭母衣武者図』。屏風の断簡と思われる小さな画幅である。派手な扮装の若者たちの横で、巨大な母衣を背負った武者が、少し疲れた顔で腰を下ろしている。江戸初期の風俗なのかなあ。見物の女性たちは髪をアップにしているけど。
■北村美術館 春季特別展『吉野懐古』
http://www.raku-yaki.or.jp/culture/japan/kitamura.html
今出川通りを東に進み、下鴨神社の三角州にほど近い北村美術館へ。どうして「吉野懐古」なんだろう?と思ったら、北村家は、奈良県吉野地方で代々林業を営む旧家なのだそうだ(Wikipedia)。珍しさで圧倒的に目をひくのは『正平六年御免皮裂』。大小多様な形状のなめし皮がボードに貼り付けられている。護良親王の弟・懐良親王が、正平六年(1351)熊本の八代で皮工に命じて染めさせたものだという。白地に「正平六年六月一日」という文字と獅子牡丹唐草が紺色で染められている。撫子のような小花だけ赤い染料を使っているのが愛らしい。ほか、玩具のような可愛らしい茶器も楽しめる。乾山の色絵、小さな筒型の茶碗には、春らしくスミレや蕨が描かれていていた。