見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

VRで故宮に遊ぶ/紫禁城・天子の宮殿(印刷博物館)

2008-06-29 12:57:24 | 行ったもの(美術館・見仏)
○印刷博物館・VRシアター 故宮VR『紫禁城・天子の宮殿』第一部

http://www.printing-museum.org/floorplan/vr/index.html

 印刷博物館へ『1950年代日本のグラフィック』展を見に行った。すると入口に北京・故宮のポスター。VRシアターにて「故宮VR『紫禁城・天子の宮殿』公開中」とある。次の放映開始まで、あと5分ほど。これはちょうどいい、と思って、まずシアターに向かった。

 私は”VR”が何を意味するのか、よく分かっていなかったが、シアターに入って、ようやく思い出した。ここには、図書館員対象の研修で、一度来たことがある。観客席を包むように設置されているのは、湾曲した(水平方向の視野角が120度)巨大スクリーン。スーパーコンピューターを駆使した映像コンテンツによって、VR(バーチャルリアリティ)を体験できるシアターなのである。

 40~50人ほど座れるシアターだが、観客は10人弱だった。コンパニオンのお姉さんの生ナレーションで(贅沢だな)プログラムが始まった。いちおう、今の故宮博物院ではなくて、清(あるいは建造当時の明?)に戻る、という設定のようだ。「明の紫禁城にようこそ」って言ったかな? 映像は太和殿の前庭から始まり、カメラは、大理石の階段の中央、龍の彫刻が施された、皇帝専用の”御成り道”の真上を上がっていく。おお、輿に担がれた皇帝の目線(?!)と思って、ちょっと嬉しくなってしまった。

 それから、太和殿の内部に入り、玉座の頭上に吊るされた龍の飾りに接近。再び建物の外に出て、高い視点から、故宮の全貌を眺める。波なす瑠璃瓦の背景には、景山の山頂に作られた四阿(あずまや)が見える。左手にさりげなく北海公園の白塔が見えるのも嬉しい(あれって、乾隆帝時代の建立だっけ?)。それ以外の街並みは、茫漠とした状態でごまかしてあるが、鐘楼・鼓楼だけは、ぜひとも付け足してほしいなあ。

 南側にもカメラを向けてほしかったのだが、まだコンテンツができていないらしく、北側だけで終わってしまった。正味5分くらいか。今後もコンテンツを増やしていくと言っていたので、期待したい。そのときは、時代設定と考証をきちんとやってほしいと思う。

 書き落としていたが、この春、東京都写真美術館の『紫禁城写真展』(3月29日~5月18日)を見た。明治の写真家・小川一真が1900年に撮影した写真で構成したものだが、紫禁城の内部は、今も100年前も目立った差がないように思った。ときどき、紫禁城の外部の街並みや、撮影作業を手伝う中国人の姿が写っていて、これが100年の時間差を確実に感じさせ、面白かった。
コメント
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