付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「彼女を言い負かすのはたぶん無理」 うれま庄司

2010-11-27 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「人は進化の過程で言語を習得し、社会を作った。その言葉を用いた争いは、人の上に立つ者として当然のたしなみとは思わないかね」
 ディベート部部長・本郷桐彦の言葉。

 自分が本当に信じているいないに関係なく、与えられた命題に賛成か反対かの立場を与えられ、それを主張して議論を戦わせるのが競技としてのディベート。初めてプレイしたのは、1988年のことであったと思う。1988年と断言できちゃうのは、「ネットゲーム'88」のプレイヤー同士でやりあったのが最初だから。はるばる東京で、名古屋で、大阪で、ゲームの情報交換のために生身で行き来して、暇ができるとタホイヤかディベートかネーヴァル・ウォーをしていた気がします。
 そういう知的ゲームばかりに興じていた時代だったよね……と何でも回顧のネタにしてしまうのが年寄りの証拠。でも、みんな上手かったよね。レッサーパンダの集団だった。

 “ディベートの天才”九重崎アイラと出会ったのをきっかけに、平穏な日々に飽き足らない思いを抱いていた桜井祐也の世界は変わり始める……。

 冒頭の壺のエピソードは不要、というか浮いてるよね。あれじゃあ、ディベートの天才ではなく、単なる三流詐欺師だ。キャラ立てとしては失敗だと思う。
 それを除けば、ディベートをテーマとした小説としては及第点。でも、やっぱり最後のオチは予想通りのミエミエ。
 最初と最後が惜しい作品でした。

【彼女を言い負かすのはたぶん無理】【うれま庄司】【しらび】【ディベート】【ドラえもん】
コメント
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