「一度決めたら、それで終わりのものごとは、よく考慮して決めねばならぬ」
紀元前1世紀の詩人パブリリウス・シルスの言葉。このローマの詩人は本物のようです。クイーンの脚注の引用にはボルヘス並に創作が混じっているので油断なりません……。
事件の捜査には事件発生直後の着手が不可欠なのに、そのような好条件は滅多にないとぼやくクイーン警視。ところが、息子エラリーは別の事件調査のために立ち寄ったオランダ記念病院で事件の発生を目の当たりにしてしまう。
外科医が手術室でシーツをめくると、手術を受けるべき百万長者の老婦人エービゲール(アビゲール)・ドールンは絞殺死体となっていたのだ……。
まず確認しておきたいのは、この作品は1931年の発表だけれど、つまり、警察の科学捜査がやっと端緒についたばかりという時代なわけです。遺留品が山ほどあって容疑者が限定されているので、現在の科学捜査なら犯人は即座に逮捕されそうです。だからこそ、ロジックゲームとしてのミステリーを堪能できるわけで、クイーン親子やサンプスン地方検事らが事件を整理する「中入り」では読者の推理用に紙面にメモ余白が用意されていて謎解きさせる気満々です。。
でも、その時点で既にクイーン警視は退職し、エラリーとその妻子、そしてジューナらと共にイタリアで隠居していることになっています。そもそもエラリーは1905年生まれというのが定説。なんとなく洗練されている雰囲気だけれど、シャーロック・ホームズと年の差およそ50歳。晩年のホームズと若きエラリーが対面していた可能性だってないわけじゃない……って、26歳にして隠居した親父さんにつきあって「隠遁した作家生活」かい。
【オランダ靴の謎】【国名シリーズ】【エラリー・クイーン】【賢者の石】【外科医】
紀元前1世紀の詩人パブリリウス・シルスの言葉。このローマの詩人は本物のようです。クイーンの脚注の引用にはボルヘス並に創作が混じっているので油断なりません……。
事件の捜査には事件発生直後の着手が不可欠なのに、そのような好条件は滅多にないとぼやくクイーン警視。ところが、息子エラリーは別の事件調査のために立ち寄ったオランダ記念病院で事件の発生を目の当たりにしてしまう。
外科医が手術室でシーツをめくると、手術を受けるべき百万長者の老婦人エービゲール(アビゲール)・ドールンは絞殺死体となっていたのだ……。
まず確認しておきたいのは、この作品は1931年の発表だけれど、つまり、警察の科学捜査がやっと端緒についたばかりという時代なわけです。遺留品が山ほどあって容疑者が限定されているので、現在の科学捜査なら犯人は即座に逮捕されそうです。だからこそ、ロジックゲームとしてのミステリーを堪能できるわけで、クイーン親子やサンプスン地方検事らが事件を整理する「中入り」では読者の推理用に紙面にメモ余白が用意されていて謎解きさせる気満々です。。
でも、その時点で既にクイーン警視は退職し、エラリーとその妻子、そしてジューナらと共にイタリアで隠居していることになっています。そもそもエラリーは1905年生まれというのが定説。なんとなく洗練されている雰囲気だけれど、シャーロック・ホームズと年の差およそ50歳。晩年のホームズと若きエラリーが対面していた可能性だってないわけじゃない……って、26歳にして隠居した親父さんにつきあって「隠遁した作家生活」かい。
【オランダ靴の謎】【国名シリーズ】【エラリー・クイーン】【賢者の石】【外科医】