付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「翼の帰る処 (下)」 妹尾ゆふ子

2012-12-05 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 皇女から静養を命じられ、ヤエトは間もなく冬を迎えようという北嶺から都に帰還し、第三皇子の館に滞在することになる。だが、都は皇帝の老いを感じ取った皇子たちの権力闘争の場となっており、そこでヤエトは皇女暗殺の陰謀を察知するのだが……。

「人の上に立つ者には、全員の賛成を待つなどという贅沢は許されません。嫌われることを覚悟で、信じることを推し進めるしかないのです」
 セルクに伝える尚書官ヤエトの言葉。

 病弱な尚書官が、何度も何度もぶっ倒れながら北嶺に迫る陰謀に挑み、皇女を守る話といってしまえば簡単だけれど、面白かったよ。続編も書こうと思えば書けるだけの伏線も残しているけれど、これだけでも完結した話と読めて満足。
 すぐに意識を失い、何度も死にかけ、目が覚めたときの周囲の剣幕に「これがあの世なら、とうぶん死にたくない」とぼやく軟弱主人公のふんばりが見物。それで、あくまでヤエト視点で話が進むので、けっこうあれこれあるらしい宮廷劇もなかば軟禁されているのでほとんど伝聞のみ。武力衝突も右に同じ。なので、エピソードの割には話がさくさく進みます。←ここ重要。
 おっさんや老人がなかなか良い味を出しているのもチェックポイントです。(2009/01/23)

「親友でしょう。彼の鍋になっておやりなさい」
 グランダクを説き伏せるヤエト。
 鍋は盾にも兜にもなるし、煮炊きもできるし、水もくめる便利な存在だと。

【翼の帰る処】【妹尾ゆふ子】【ことき】【幻冬舎コミックス】【幻狼ファンタジアノベルス】【幻視】【竜】【鈍感】
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「女子高生=山本五十六 リローデッド4」 志真元

2012-12-05 | VRMMO・ゲーム世界
 次世代リーダーの育成を目的とした、バーチャルゲーム世界での第二次世界大戦を描いた『女子高生=山本五十六』のシリーズも、無印2冊、リローデッド4冊で完結。開き直ったゲーム世界ものは面白い。

 連合軍の反攻が開始された。
 帝国海軍の機動部隊をミサイルの飽和攻撃で壊滅させた米軍は北海道へと進攻。欧州でも大陸反攻が始まり、連合軍がオランダへと上陸開始した。
 そのとき、山本五十六の「中の人」は呼び出されてアキバのメイド喫茶にいた……。

 打ち切りオチかよ!と言いたくなる急展開も、まとめて読めば「これしかないな」と思えてくる不思議。戦争だけれど戦争じゃない。ゲームだけれどゲームじゃない。勝負だけれど勝負じゃない。そんな不思議にさわやかで壮快で軍事オタとアニメオタクの妄執が詰まった話でした。

「恋は漸進主義、愛は速戦即決よ」
 メイド喫茶<オリバー・ツイスト>の店長、米田輝の言葉。

 よくある架空戦記物の後知恵的な発想と展開を、ゲームだから当然!と開き直っているので、どんな超兵器、革新的戦術が登場しても驚かない……というか違和感なし。それでもリソースの割り振りがあるし、相手のある勝負なので、決して一方的にならない面白さ。ジャンプ系バトルマンガに通じるバカバカしさなので、もしコミック化するなら是非とも宮下あきら先生にお願いして、「むぅ……あの艦影は……」「し 知っているのか、雷電!」とかやって欲しいなあ。

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