付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「翼の帰る処2(上)」 妹尾ゆふ子

2012-12-08 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「(鍋は)盾にもなるし、兜にもなる。煮炊きもできるし、洗いものにも使える。水だって汲める」
 だから、君は親友の鍋になれと告げるヤエトの言葉

 北嶺は世界に開かれてしまった。
 太守としての皇女の派遣、北方の蛮族との戦いと勝利。戦士を乗せて大空を飛翔する鳥の群の再発見。
 忘れられた辺境であったはずの辺境にはいつしか周囲の注目が集まり、皇帝は自治区から国への格上げを決める。何人もの皇子皇女それぞれに統治すべき国土を与え、真に帝国を継ぐ資格のある者を見出そうというのだ。
 しかし、それは皇女と尚書官ヤエトを権力闘争のただ中に放り込むことを意味していた……。

 見た目は若造、精神と肉体は老人級で、なんとか隠居したいと思っているのに「本日をもって、そなたを貴族に列す」と来たもんだ……という青年官僚ヤエトの立身出世物語にして隠居願望ファンタジー。前作の直後から話は始まりますが、隠居したい人間は辞めたい辞めたいと思うたびに出世していくもののようです。
 前作同様あいかわらずサクサクと読めて、なおかつ張り巡らされた伏線の行方とドラマの進展にドキドキさせられる作品です。久々に一気読みして下巻を一日千秋の思いで待ち続けることに……。
 新装版のイラストは、おしゃれな北嶺王とか鍋の人とかラフがいろいろ愉しいです。(2009/08/21 2012/12/08改稿)

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「わしらは怪しい雑魚釣り隊 マグロなんかが釣れちゃった篇」 椎名誠

2012-12-08 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
『よく考えてみるとこれは釣り雑誌なのであった』

 釣り雑誌「つり丸」連載エッセーをまとめた3冊目。あいかわらず、釣り以外のバカ話にそれまくり、釣りをほとんどしない人間でも愉しく読めるというのは、成功しているのかいないのか。
 今回は北海道遠征の自給自足の貧困旅とか、雑魚釣り隊にあるまじき“マグロなんかが釣れちゃった”話とか、釣れたり釣れなかったりの紆余曲折。

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