「人が集まって国となったとき、弱者を弱者のままにしては、意味がない。国がなすべきことは、なによりもまず弱者を救うことなのです。不幸に沈んだまま這い上がれない存在をなくしてこそ、国というものに意義が生まれます。その国に生きていることに、民が誇りを持てるようになります」
ヤエトは皇女に語りつつ、彼女が間もなく自分を越えていくであろうことを予感した。
心ならずも<黒狼公>の跡目を継ぐことになり、皇位継承争いの渦中に放り込まれた皇女を後に残して砂漠の領地へと赴任した尚書官ヤオトは、そこで「このかたこそ、予言された救い主である」と宣言されてしまう……。
見た目は若造、精神と肉体は老人級で、なんとか隠居したいと思っているのに「このかたこそ、予言された救い主です」と来たもんだ……という青年官僚ヤエトの立身出世物語にして隠居願望ファンタジー。
隠居願望ファンタジーの第2作もこれでおしまいだけれど、これで完結でも良かった前作に対して、こちらは完全に続く形で終わっています。ヤエトは「天地輪」の本当の意味を理解したものの、帝国の継承争いもまだ端緒についたばかりで、まだまだ北嶺へは帰れそうにもありません。隠居どころか、四大公家<黒狼公>の当主となり、さらには予言の救世主にまでされてしまったヤオトの命運はいかに?
間抜け宰相、馬鹿王、阿呆将軍のトリオが良い感じにかみ合いだして、ますます面白くなりました。でも上巻の引きは絶対、竜の飛翔なみの騒ぎになると期待していたのに……。
書き下ろし短編は「恋文の行方」。あの奥方に亭主がやきもきする一篇で、政治的な視野から状況を整理する話。(2009/09/24 2012/12/09改稿)
【翼の帰る処2】【妹尾ゆふ子】【ことき】【幻冬舎コミックス】【幻狼ファンタジアノベルス】【襲撃】【暗殺】【亡国の王子】【交易】【外交】【傭兵】
ヤエトは皇女に語りつつ、彼女が間もなく自分を越えていくであろうことを予感した。
心ならずも<黒狼公>の跡目を継ぐことになり、皇位継承争いの渦中に放り込まれた皇女を後に残して砂漠の領地へと赴任した尚書官ヤオトは、そこで「このかたこそ、予言された救い主である」と宣言されてしまう……。
見た目は若造、精神と肉体は老人級で、なんとか隠居したいと思っているのに「このかたこそ、予言された救い主です」と来たもんだ……という青年官僚ヤエトの立身出世物語にして隠居願望ファンタジー。
隠居願望ファンタジーの第2作もこれでおしまいだけれど、これで完結でも良かった前作に対して、こちらは完全に続く形で終わっています。ヤエトは「天地輪」の本当の意味を理解したものの、帝国の継承争いもまだ端緒についたばかりで、まだまだ北嶺へは帰れそうにもありません。隠居どころか、四大公家<黒狼公>の当主となり、さらには予言の救世主にまでされてしまったヤオトの命運はいかに?
間抜け宰相、馬鹿王、阿呆将軍のトリオが良い感じにかみ合いだして、ますます面白くなりました。でも上巻の引きは絶対、竜の飛翔なみの騒ぎになると期待していたのに……。
書き下ろし短編は「恋文の行方」。あの奥方に亭主がやきもきする一篇で、政治的な視野から状況を整理する話。(2009/09/24 2012/12/09改稿)
【翼の帰る処2】【妹尾ゆふ子】【ことき】【幻冬舎コミックス】【幻狼ファンタジアノベルス】【襲撃】【暗殺】【亡国の王子】【交易】【外交】【傭兵】