付け焼き刃の覚え書き

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「魔術探偵スラクサス」 マーティン・スコット

2015-04-15 | その他ファンタジー
 スラクサスは魔法の国トゥライで魔術探偵稼業を営んでいる。バクチ好きで呑んだくれ、でぶで大食い、借金だらけで女房には逃げられたダメ男だが、やる気になったときの腕はすごいらしい。
 そんな中年デブ探偵のもとに舞いこんだ依頼は、単純な王室スキャンダルのもみ消しに見えたが瞬く間に騒動は拡大。死体はごろごろ出てくるは、ドラゴン殺しが起きるわ、魔法の赤布が強奪されるわと大騒ぎになり……。

 魔法があってエルフがいてと完全なファンタジー世界だけれど、話の骨格は典型的なハードボイルドを踏襲してます。つまり身を持ち崩したかつての名探偵のところに怪しげな依頼人が胡散臭い依頼を持ち込んで、ひたすら欺し欺され殺し殺されの応酬。だいたいハードボイルドにおいて、依頼人が最初から探偵を欺して利用しようとするってのは『マルタの鷹』以来の伝統なんだよね。
 ただ、単にハードボイルドをハイファンタジー世界でやってみました……になっていないのは、スラクサスの相棒も務める美人剣士マクリの存在があるから。美人だけれど人間とオルクとエルフの混血なので恋愛事には不遇、普段は酒場の女給をしつつ学校に通って勉強しているけれど、いざというときには巨大な武器を振り回して乱入してきてくれる頼もしいパートナーなのです。
 非常に昨今のラノベ向きのキャラですね。

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コメント
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