付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「異世界食堂1」 犬塚惇平

2015-04-29 | 食・料理
 商店街の雑居ビル地下にある老舗の洋食店「洋食のねこや」は、オフィス街の客足が途絶える週末は定休日だ。けれども土曜日にこっそりこの店が営業していることを知る者は、この世界には多くない。
 そんな土曜日の特別営業に来店するのは、トレジャーハンターの少女に旅のエルフ、逃避行を続ける男女、老サムライ、敏腕商人親子。生まれも育ちも種族さえばらばらなお客が異世界から訪れる名店なのだ……。

 美少女か美青年のアップばかりがやたらと目立つ書店の平台で、ひときわ目立っているのがこの古ぼけた木製の扉と猫の看板の表紙イラスト。スタイリッシュな絵柄で老若男女から怪物でもメカでもレンガの街並みでも描いてしまうエナミカツミの投入に、編集サイドの本気を見ました。この小説のキモが何か、すごく理解した本作りだと思いました。
 話の構成は入れ替わり立ち替わり、さまざまな境遇のお客が異世界の各地から現代日本の洋食店を訪れる形式の連作短編が22編。旅先で訪れた店で思いも寄らぬ美味な料理に巡り会ったお客の感動を語るというグルメ紀行ものの王道だけれど、深夜食堂というよりは孤独のグルメの方がイメージは近いかな。
 その回の語り手であるお客のファンタジー世界での境遇事情が語られ、そして出会った洋食がもたらしたものが語られていきます。1つ1つの話は短いけれど、本当に美味しそうなんです。そして常連客同士の絡みも愉しみであり。

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