付け焼き刃の覚え書き

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らのべヒロイン列伝「リリオン(カボチャ頭のランタン)」

2018-04-12 | 雑談・覚え書き
○リリオン 「カボチャ頭のランタン」mm(ダッシュエックス文庫)

 その世界の迷宮特区には、別の空間につながる何百もの迷宮が口を開け、それを攻略することが基幹産業となっていた。深い穴の底に起重機を使った昇降機で送り出される探索者たちだが、未帰還になる者も少なくない。
 ランタンは迷宮に挑む探索者の中でも珍しいソロで潜る探索者。どこか別の世界から落ちてきて、記憶もこぼれているため、自分の年齢もはっきりしない黒髪の少年だが、その腕には侮りがたいものがある。今日も自分のねぐらに棲み着いていたゴロツキ探索者の一団を返り討ちにしている。
 だが、そんなゴロツキたちの置き土産の処分に、さすがのランタンも戸惑った。彼らが運び屋として使っていた奴隷少女だ……。

「だってランタンの言うことよくわからないわっ! きれいにしないと、なんでごはん食べられないのよっ!?」

 この物語のヒロインは、奴隷として使われていた巨人族のクォーターのリリオン。巨人の血が混じっているので、小柄で華奢なランタンより頭2つ分は大きい長身で痩せぎす、見た目は大人の女性。でも本当はまだ9歳。感謝の言葉も疑問の問いかけも、「ありがとう、ございます」「やったあ!」「ねえ、どうして?」と何のてらいもなく素直に言葉にします。表紙イラストの美女は誰なんだ?と1冊読み終わっても迷うくらい。
 身体は大人・頭脳は幼女なので、無垢で無知で無恥で小心。飢える生活が続いていたせいもあって、食べるの大好き。魔物の肉だって食べたい、食べたい。でも戦わせれば、体格に物を言わせてランタンの身長ほどの大剣を振り回して大暴れします。

 キャラとしてのタイプは違うけれど、「ファファード&グレイマウザー」みたいなテイストの、しっかり書き込まれて面白い正統派のファンタジー。小柄ながら大きな戦鎚を振り回して戦う少年ランタンと、巨幼女リリオンという、デコボコ・パワーヒッター・コンビによる迷宮探索譚です。
コメント
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