付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「淡海乃海 水面が揺れる時」 イスラーフィール

2018-04-29 | 戦国転生・歴史改変
 近江にある朽木の地は、小領地ながら日本史の転換期に幾度も名前が登場する。追放された室町幕府の将軍が逃げ込み、捲土重来を図る足場となる土地柄なのだ。
 1550年、わずか2歳にして当主へ就任した少年がいた。その名は朽木基綱。正史に於いては信長、秀吉、家康の三英傑を救った唯一人の戦国武将でありながら、その彼らことごとくに嫌われたことで知られているが、この朽木基綱は、歴史好きな現代日本人の生まれ変わりであった……。

 史実に埋もれた軍略家の生涯を描く、仮想歴史大河ドラマ。
 日本酒作り、椎茸栽培、鉄砲の導入と、内政強化については歴史IFものの定番ながら、こちらについては軽く触れるだけで、本題はこうした史実以上の財貨を手にしたときに、一地方国主にどのようなフリーハンドが与えられるかというドラマです。合戦の勝敗もチートな内政の成果もあくまで外交のための手段の1つにすぎないといった位置づけで、主題は武家や公家を巻き込んだ外交戦にあるようです。
 語り口としては正統派なので、歴史チートとか関係なく、普通に面白い歴史小説として読めるということで、2016年から17年にかけては『陶都物語』と双璧をなすお気に入り作品でした。
 連載はそろそろ晩年で、どう幕が引かれるか楽しみに追いかけています。

【淡海乃海 水面が揺れる時】【三英傑に嫌われた不運な男、朽木基綱の逆襲】【イスラーフィール】【碧風羽】【TOブックス】
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