
自分が非道な行いをしてきたこと、領地に魔物の氾濫が迫る日も近いことを告白したボルマンへのエステルの答え。
30過ぎの営業マン、川流大介は外回りの帰りに歩道橋で足を踏み外して転落……目覚めると昔ハマったRPG「ユグトリア・ノーツ」に登場する12歳の少年、悪徳領主のドラ息子ボルマンになっていたのだ。
「あかん方の転生や」
この世界がシナリオと同じ運命を辿るなら、4年後には父親は没落、魔物の群に襲われて領地も壊滅するはずだった……。
「ゲームそのままの世界に転生していて、しかも悪役キャラなので破滅しないよう何とかする」話なんだけれど、チート能力があるわけでもなく、ゲーム知識はそんなに万能でもなく、記憶が戻るまでにしでかしていた悪行・悪評を簡単に払拭もできず……と、この手の話のお約束をひととおり封じた上で、真面目にコツコツやっていくところが面白いのです。
ヒロインであるエステルがもう1人の主人公状態で、それまで逃避して逃げ続け、ミエハル子爵領の子ブタ姫と嘲られていたのが、ダルクバルト男爵領の子豚鬼と呼ばれていたボルマンと出会ったことを契機に成長していく姿も見所。
書籍化にあたって、ウェブ版で冗長かなーと思う箇所は端折り、書き込むところは書き込んで、まとめて読んでも違和感なく楽しめる構成になってました。その際に、冥土なメイドさんとの邂逅がカットされたんで、そこは次巻以降のお楽しみですね。
【ロープレ世界は無理ゲーでした~領主のドラ息子に転生したら人生詰んでた】【二八乃端月】【フルーツパンチ】【ファミ通文庫】【チート不足の崖っぷちゲーム世界冒険譚】【努力と友情と舌先三寸】