「神様のドＳ!!」 藍上イオタ

　でっぷり太って性格も悪い白山姫奈子は断罪された。婚約解消、家は没落、しかもショックを受けたせいなのか胸がキュウッとなってそのまま意識を失った。きっと不摂生で身体もダメになっていたんだね。
　そんな姫奈子に救いの手をさしのべたのは、稲荷の神様。１回だけやり直しのチャンスを与えてくれたのだ。気がつけば、まだ性格は悪いけれど可愛い少女だった12歳の頃に戻っていた……。

　現代日本の上流階級の世界を舞台に、物語のキャラに乗り移って軌道修正するタイプでは無く、人生やり直しで矯正していくタイプの悪役令嬢ものの学園ラブコメディ。先行有名作品をうまくリスペクトしてるなあと思うところは各所に。
　ポイントは、前世では自己中心的なワガママ娘にしていた「他人の気持ちが分からず空気を読めない」ところは改心しても変わらず、それが恋愛ポンコツ脳として機能しているところ。ギアが切り替わっただけでワガママ娘がポンコツ娘になっているだけで、人間の本質は変わっていないというあたりは上手いなあと思いました。意識しているかどうか別として、これが作者の基本スタンスみたい。敵はいる、どうしても嫌いなやつはいる。でも、存在そのものを否定するほどの悪人はいない……みたいな。

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