付け焼き刃の覚え書き

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「人生で一番時給が高かったバイトの話」 とみながけい

2021-08-23 | 伝記・ノンフィクション
 まだ最低賃金が400円台の1980年代の日本で、バイト先が倒産して日々の生活費にも困った専門学校生が見つけたのは、新宿歌舞伎町の喫茶店のウェイター仕事。体格の良さが条件だけれど、時給がなんと1800円の日払い。交通費は1日1万円出るし、大入り袋も頻繁に出るし、とにかく金払いがいいのだけれど、喫茶店とは表の顔。気を抜けば客に刺されかねないヤクザの裏カジノだった……。

 完全アウトで竜の如くなヤクザ世界の片隅に足を踏み入れたカタギの学生のバイト物語。
 こういうアウトサイダーの話ってのも、たまに読む分には面白いのです。それも完全に腰まで使った人間ではなく、ちょっと足を踏み入れたら意外に深そう……くらいの人間の視点は、あっちの常識とこっちの常識がクロスオーバーする魅力があります。

 そういえば、前に違法カジノや海外カジノの話を聞いたことがありますが、常連さんになると電話一本で自宅までタクシーの送迎が来て、そのまま空港から海外のカジノまで飛行機で送ってくれたんだそうな。つまり、それだけ良いお客さんってことですね。ずらりと並べられた色とりどりの顔写真付き会員証が綺麗でした。
 裏カジノではないけれど、学生時代に通っていた喫茶店には麻雀ゲーム機がテーブル代わりに置いてあって、そこで勝ち続けてクレジットが貯まるとマスターがこっそり現金で払い戻してくれたって、先輩が言ってました。100円100ゲーム分を閉店時間過ぎて延々とやられるより、その分の現金を渡して帰ってもらって、また利用してもらえばいいということだったのかしら。これも常連の顔見知りとオーナーの間だけの話だったらしく、自分が役満あがってクレジットが跳ね上がったとき、ウェイトレスさんに「見てみて」と言ったら「スゴいですね~」と言われて終わりでした。

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