「冒険者物語」 蘭プロジェクト

　末期癌で死んだはずの赤須優司は、気がつけば異世界に転生していた。
　冒険者ユージーとして、この見知らぬ世界で生きていく覚悟をしたのだが、身体は小柄で魔力も最低レベルと前途多難。しかもたまたますれ違ったエルフの冒険者に、誤解から右フックを食らって死にかけてしまうのだが……。

　異世界に転生した男が、能力的にはいろいろ縛りを受けながら創意工夫による強力な独自魔法で頭角を現し、たまたま知り合ったエルフ少女をパートナーに冒険の旅をすることになる。その旅の過程で次第に多くの女性から慕われるようになるが、とある事情から一線を越えようとはしない。やがて、物語は彼の前世の因縁と絡まりクライマックスを迎える……という、ある意味オーソドックスな展開だけれど、その分、話やキャラクターがしっかりできていて、まさに王道。テンポ良く安心して読める爽快な作品です。誰もが餓えずに50，60までは生きられる世界を目指します。
　トップレベルに強くなり英雄と言われるようになっても、もともとの体格と魔力量はたいして変わらず、継戦能力と近接戦闘に弱点を抱えつつ、仲間となったエルフのヴェルヘルナーゼや女レンジャーのキーアキーラと役割分担し、欠点を補いつつ戦い続けます。
　そして、もう一つの見所は神話と歴史の関係。この話における神話というのはファンタジー作品ではあたりまえの「そのままの神話」ではなく、現実社会ではあたりまえに受け止められている「過去に実際にあった事実を言い換えている」歴史の変質した断片としての神話です。その神話を紐解いていくことにより、この国に隠された大きな闇を暴いていくことになります。

【冒険者物語】【蘭プロジェクト】【小説家になろう】【紅茶】【魔導馬車】【狙撃】【アンデッド】【疫病】【馬鈴薯】【小麦】