付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「風雲児たち1」 みなもと太郎

2021-09-12 | 時代・歴史・武侠小説
『時に午後三時十五分過ぎ。生き残った者以外はひとり残らず死んでしまったのであった……』
 関ヶ原の戦いの結末。

 ギャグ漫画作家が、動乱の幕末期を描こうとしたらどう考えても関ヶ原の戦いから描くしかないことに気づき、とりあえず400年前に遡ってみたら語ることが尽きなくなり、10巻くらいでまとめようとしたら潮出版社の希望コミックス版全30巻で収まりきらないうちに雑誌が廃刊。リイド社よりワイド版として全20巻で復刻し、そこからさらに「コミック乱」で幕末篇として連載再開して34巻まで出ていましたが、2021年8月7日に肺がんのため74歳で死去。未完の大作となりました。

 あくまでギャグ漫画なんだけれど、作者が通史や一般に広く知られている物語ではなく、きちんと自分で調べて再構成しているのでそこらの教科書や参考書より分かりやすくて面白いのです。そして、常に新しいものに手を出してネタにする柔軟さ。Twitterの追悼でも「ガルパン+艦これ」ネタとか「まどか☆マギカ」ネタでウケた話で盛り上がっていました。そりゃ威風堂々対馬に向かう、イギリス軍艦エンカウンター&リンクダブ(by岡昌平)は雑誌で読んで愕然として、ネットでも騒然としていました。
 初めて読んだのは中学生のとき。教室の学級文庫に希望コミックスの1巻が混ざっていたのです。ちょいエッチなギャグも入れ込みながらの関ヶ原の戦い。島津の正面退却をこれで知りましたし、だいたい徳川三代までの知識はこれで学びました。
 それから追いかけて追いかけての40余年。もうちょいで幕末まで届いたのにと思うと残念でなりません。

【風雲児たち】【みなもと太郎】【潮出版】【リイド社】【工藤綾】【歴史大河ギャグ漫画】
コメント
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