付け焼き刃の覚え書き

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「図説 宮中晩餐会」 松平乗昌

2022-05-03 | エッセー・人文・科学
 天皇の料理番を務めた秋山徳蔵が蒐集した宮中晩餐会や午餐会のメニューから日本の食文化の変遷を語ろうというもの。少なくとも食文化に関しては、西洋料理が宮中から一般に広まっていく流れだったそうな。そりゃ、食材から調理法まで庶民では一から調べて揃えるのは困難でしょう。
 明治8年の9月30日に太政大臣らを集めた午餐会からで、出席者は太政大臣の三条実美から陸軍少輔の大山巌まで。まだ洋食文化が馴染んでいないのでメニューに「牛羹タツピョーカ」とか書いてあっても何のことか分かりにくく、外国人を招いての食事で来賓用のドイツ語や英語のメニューが出てきて初めて分かることもしばしば。もう少しカジュアルな食事会になると、カレーを使ったメニューもちらほら出てくるらしく、インド植民地時代のイギリス料理の流れも入っているかもだとか。
 そして、昭和20年10月15日の午餐あたりになると、そのメニューの書き方からも世相を読み取れるものとなります。魚料理で「鮮魚」としか書かれなくなって何の魚か指定が無くなるのです。

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